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選手の怪我を予防するのに必要な、たった3つの方法

こんにちは。カラガラ(kara_gara)です。

皆さんはスポーツで怪我をしたことはありますか?私はありがたいことに擦り傷程度しか経験がありません。

そんな私にとっては驚くようなニュースを読みました。

誤算は春季キャンプ終盤に始まっている。スイングしていて右手付け根に違和感を覚えた。開幕直前には転倒して腰付近を強打。下半身を使えず、手打ちを強いられた。
痛みをカバーすれば、ほかの部位にも違和感が出た。「右肩を開きたくないからです」。その1点だけは守った。ただ、結果は遊撃を向いて構えて遊ゴロを乱発。下半身の完治を迎えて投手に正対。「投手方向へ入っていける」状態になった。

中日スポーツ・東京中日スポーツより引用

この記事によると、高橋周平選手は開幕からいままで、怪我を押して出場していたことになります。昨年の遠藤選手や一昨年の大島選手も骨折しながらプレイしていましたね。

私個人としては、「怪我を押してまでプレイしなくても…」と思うわけです。これは私が理学療法士としてリハビリの仕事をしているのも影響しているかもしれません。
選手が怪我をすると純粋に悲しいですし、ただでさえ短いと言われる選手生命がさらに短くなってしまいます。元オリンピック選手は歩行などのバランスが悪いなんて話もありますし、将来にわたって使う体は大事にしてほしいというのが本音です。

とはいえ、プロ野球という厳しい世界では、一度掴んだチャンスを簡単に手放すわけにはいかないというのは分かります。

そこで今回はプロ野球選手の怪我を減らす方法を提案していきたいと思います。


一番やってはいけないこと

プロ野球では怪我のニュースをよく聞きますが、あれはなぜなのでしょうか?

怪我を防ぐ上でこれだけはやってはいけないのがオーバートレーニングです。

スポーツなどによって生じた生理的な疲労が十分に回復しないまま積み重なって引き起こされる慢性疲労状態。
オーバートレーニング症候群 | e-ヘルスネット(厚生労働省)より引用

そもそもトレーニングとは、運動+休憩で成り立っています。適度な苦痛と徹底的な癒しによって、人間の体はより強くなっていくわけです。
たくさん運動すれば強くなるわけではありません。回復しないままなら、それはトレーニングではなく、ただの疲労です。

プロ野球では一軍の試合は143試合もあります。試合前には連携の練習はもちろんのこと、個人での技術練習も行います。最近はウエイトトレーニングを積極的に行う選手もいますね。つまりオーバートレーニングになりやすい環境が整っているのです。

「早出特打ち」などのニュースはさも頑張ってる感を出してきますが、首脳陣やトレーニングスタッフは、選手がオーバートレーニングになっていないかを常にチェックする必要があります。

また選手本人も、オーバートレーニングのチェックリストを頭に叩き込んでおくといいでしょう。以下のような症状が現れたら注意が必要です。

①競技成績の低下
②疲れやすくなる
③全身の倦怠感
④睡眠障害
⑤食欲不振
⑥体重の減少
⑦集中力の欠如
⑧安静時の心拍数や血圧の上昇
⑨運動後に安静時の血圧に戻る時間が遅くなる

首脳陣としても、
・選手の体重を定期的にチェックする
・練習前や後に血圧を測る

などの対策をし、オーバートレーニングになっていないかチェックする必要があると思います。


実は怪我予防にならないこと

ここまで読んでいただいた人の中には、「怪我を防ぐための努力なんて選手はちゃんとやってるよ」と思う方もいるかもしれません。

そんな方に質問です。以下のリストの中で、怪我の予防に役立たないものはどれでしょうか?

怪我の予防に役立たないものは?
①酸素カプセル
②クッション性の高いシューズ
③運動前の入念なストレッチ
④怪我で弱った筋肉を高負荷の筋力トレーニングで鍛え直す


正解は…



全て間違いでした。全て怪我の予防には役に立ちません。

酸素カプセルが疲労やケガに効くかどうかは、いまのところなんの証拠もありません。しかし、プロ野球選手が使ったというニュースを毎年のように見る気がしますね。

クッション性の高いシューズは怪我の予防に役立たないどころか、疲労骨折の確率を上げる可能性すら示唆されています。

運動前にストレッチをしても怪我の予防にはなりません。特に長時間のストレッチは筋力が低下します。

高負荷の筋力トレーニングは、筋肉を鍛える目的ではやってもいいのですが、怪我で弱った筋肉を鍛える際には痛みを強くさせてしまいます。

もちろん数少ない人は、こういったものに怪我を防ぐ効果を実感できているかもしれません。
しかし、自分だけに当てはまるモノを、同僚や教え子たちに教えてはいけません。
教える際はできるだけ正しく、万人に当てはまるような知識を伝えた方がいいと私は思います。


なぜイチローは怪我をしないのか?正しく怪我を防ぐ3つの方法

怪我をしないプロ野球選手といえば誰が思い浮かびますか?

私は最初、球界のレジェンド山本昌投手が浮かびましたが、かのレジェンドは意外と何回も怪我をしていることを思い出し却下することにしました。

あなたが思い浮かべたのはイチローですね?なにせ見出しに書いてありますから。

ではどうしてイチローは怪我をしなかったのでしょうか?正しく怪我を防ぐには以下の3つの方法があります。

①自分用のインソールを作成する
②ウォームアップを行う
③睡眠を改善する

①自分用のインソールを作成する
自分用のインソールには骨折など怪我を防ぐ効果があります。クッション性の高いシューズには効果がないけど、インソールには効果があるんですね。

イチロー選手や山本昌選手に初動負荷トレーニングを指導した小山裕史氏は、著書においてインソールの重要性を説いています。イチローも2015年シーズンからは小山氏の作成したビモロスパイクを使用していましたから、インソールにもこだわっていたと考えられます。

(ちょっと関係ないのですが、ビモロスパイクの前、イチローのスパイクを作っていたアシックスの展開しているアシックスウォーキングでは、測定した足型を元にセミオーダーの中敷きを作れます)

球団としては、新人の身体測定時に足型の測定も行っておき、インソールを支給するのがいいと思います。たくさんのスポーツ選手の足型をとれるとなれば、企業も喜んで協力してくれそうですしね。

②ウォームアップを行う
当たり前ですが準備運動は大切です。

ウォームアップで体温を上げると筋肉が働きやすくなります。特に有酸素運動を筋トレ前に行うと有効です。

イチロー選手は準備にとことん時間をかけていたことで有名です。一方で、基本的に筋力トレーニングをしないことで有名ですから、負荷の軽いトレーニングを試合前にみっちりやっていたのでしょう。

歳を重ねた人が怪我せず鍛えるためにはイチロー選手のように、負荷を軽く頻度を上げたトレーニングがオススメです。めちゃくちゃしんどいのが難点ですがね…。

球団としては、「なぜウォームアップを行わないといけないのか」などの知識を教育することによって、怪我をしないチームへと近づけると思います。


③睡眠を改善する

寝不足は怪我のもとです。また、睡眠が足りないと疲労回復も足りず、オーバートレーニングになりやすいです。逆に言えば、睡眠を改善することで怪我の予防をすることができます。

ちなみにイチロー選手は試合開始が遅れた時に寝るために、自分の枕を持ってきていたそうです。『夢をつかむイチロー262のメッセージ』では「最も気をつけていることは寝ることです」との記載があります。

睡眠の改善には色々な方法がありますが、例えば球団が新人にできることとしては選手寮の改善があると思います。具体的には…

寝室の温度は18~19度にする
寝る前には十分な換気を行う二酸化炭素モニターを導入するのもアリ)
重いブランケットを使う
・大浴場を利用している場合は、消灯時間の1時間半~2時間前に入浴するようルール決めする
・全ての部屋に遮光カーテンを設置する

などでしょうか。

選手個人の工夫としては…

・Apple WatchやOura Ringなどの睡眠モニターを導入する
・遠征にはアイマスクと耳栓を持参する
・寝不足の際は30分未満の昼寝をする(カフェインナップもあり
・日が沈んでからのブルーライトやカフェインは避ける

などですかね。余談ですが、よく野球選手が磁気ネックレスとかシックスパッドを買ったなんてニュースを見ますが、よっぽどアイマスクとか耳栓の方が安上がりで効果的だと思うんですよね。


まとめ

改めてまとめると、

・オーバートレーニングに注意しながら
・自分用のインソールを作って
・練習前に入念なウォームアップを行って
・深い睡眠で体を癒そう

というお話でした。

選手というのは球界の宝ですから、「怪我が少ないチーム」というのはそれだけで価値があると思います。

もちろん医学やトレーニング技術の発達で選手寿命は延びるのかもしれません。しかし、理解してやるのと周りに流されるのでは全く意味が違います。

球団としては野球の練習だけでなく、科学的な体調管理に関する勉強会などを開き、怪我を少なくする文化をチームに浸透させていくこと。そうすることによって、選手個人の力を最大限発揮できる強いチームになるのではないかと思います。

それでは、さようなら。

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