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(鉄道趣味)多治見に来る貨物列車

私の住む岐阜県多治見市には、名古屋から1日1本の貨物列車がやってきます。通称「多治見貨物」正式名称は「1653列車」というらしいですが、毎日コンテナ貨車を連ねて、名古屋から多治見までやってきます。多治見市は人口10万人に満たない地方都市で、名古屋から30キロぐらいの距離。駅の近くに大きな工場があったりするわけでもない。そんな地方都市に毎日貨物列車が走ってくるってのはちょっと珍しく、自慢なのです。

毎日朝10時頃到着して、貨車の入替を行い、18時45分頃に名古屋に向かって戻っていくこの列車、国鉄時代からずっと運転されているそうなのですが、昔は多治見行という列車ではなかったそうですね。1980年頃までは「車扱い貨物」というのが走っていたので、わざわざ名古屋と多治見の間に専用の列車を走らせる必要が無かったのだそうです。車扱貨物というのはいわゆる各駅停車みたいなもので、駅に着くと、その駅で降ろすべき荷物を降ろし、積むべき荷物を載せて次の駅へ行く、を繰り返すんですね。これが多治見駅にも停車していたのでした。

ところが、当然ですがこのような貨物輸送は時間がかかってしまい、非効率なんです。1980年代に車扱貨物列車が無くなって、現在の形に近い名古屋から多治見間の貨物列車が運転されるようになったのだそうです。

初期の頃はディーゼル機関車が牽引していたのですが、1990年代の半ばころからは、EF65型という東海道線などで活躍していた機関車が牽引するようになりました。この機関車は東京にある「新鶴見機関区」というところに所属している車で、名古屋まで長距離貨物列車を引っ張ってきて、東京へ折り返す前の待ち時間に多治見まで足を延ばしていたのだと思います。

私がはじめてカメラを持ったのは中学生の頃。親が買ってくれた、当時最新鋭の「デジタルカメラ」今でいう「コンデジ」を持つことができて、線路際に立つようになったのでした。その頃は多治見に住んでいましたから、当然多治見の貨物列車も撮影していて。それがこちらです。

EF65牽引時代の多治見貨物列車 2005年撮影
EF65牽引時代の多治見貨物列車 2004年撮影

その後しばらくEF65型が牽引する時代が続きましたが、ある時、たぶん私が大学生になった頃なので2008年とか2009年の頃ですが、牽引機が「EF66型」に変わりました。EF66型というのは、これまた東海道線や山陽線などの大幹線で長~い貨物列車を引っ張って走っていた機関車で、ブルートレインなんかも引っ張っていた機関車です。こちらは大阪にある「吹田機関区」というところの所属らしく、今度は大阪の機関車が牽引するようになったのでした。

EF66型電気機関車 2010年撮影

さらに時が経つと、今度は「EF64型」が牽引するようになりました。EF64型は中央西線ではよく見る形式の機関車で、名古屋と塩尻の間を、長~いタンク貨物列車を引っ張って走り回っている機関車です。所属は「愛知機関区」ということで、ようやく地元の機関車が多治見までの貨物列車を牽引するようになったんです。2010年頃にはもうEF64型が牽引してたかと思います。

EF64型電気機関車 2010年撮影
2022年3月5日撮影

その後長いこと、このEF64型による牽引が続いていましたが、昨日2022年3月12日のダイヤ改正で、牽引機関車がまた変わりました。今度牽引機関車になったのは「EF510型」という車。これは現在運行されている貨物機関車の中ではかなり新しい部類に入る車両で、かつては寝台特急「北斗星」「カシオペア」の牽引をしていた機関車もいます。所属はなんと「富山機関区」また遠いところの機関車が、多治見までの貨物列車を運んでくれるようになったんですね。

EF510型電気機関車 2022年3月12日撮影

専門的な話になりますが、日本の鉄道の電気方式には「直流電化」と「交流電化」の二種類があります。大部分は直流電化ですが、九州や北陸、東北などには交流電化の地域が存在します。当然、直流電化用の車両は直流電化の区間、交流電化用の車両は交流電化用の区間しか走れませんが、貨物列車など、直流区間と交流区間を跨いで走るような長距離列車だと、わざわざ途中の駅で停車して機関車を付け替えるのが面倒なんですね。そこで登場したのが「交直流機関車」というもので、これは直流電化と交流電化のどっちも走れる、特殊な変電設備を持ったハイテク機関車なのですが、実は今回多治見貨物列車を引っ張るようになったEF510型は、交直流機関車なんです。ところが多治見貨物列車が走る名古屋~多治見間は全線が直流電化。全線直流電化区間なのに、交直流機関車が抜擢されたのです。よっぽど暇だったのでしょうか。

こんな感じで、我が地元の多治見貨物列車は、牽引機関車がコロコロ変わりつつも長年走り続けている、ちょっと面白い列車です。朝10時頃多治見駅に来ると、到着して貨車の入替をする様子を見ることができるので、近くに寄られる際は、是非時間を合わせて見に来てみてください。

2022年3月12日撮影


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!