夜に流され溺れていたあの頃
最近は、20歳前後の記憶を思い起こすことが多い唐澤です。
あの頃は、夜の波に揺られて、世間の中をふらふらと漂っていたように思います。
18歳の頃に新潟から上京したけど、目指すべきものがあったわけじゃない。
大学で環境倫理を学びたくて工学系の学部に入ったけど、ホントに学びたいことはもっと社会学的な分野だと気づいたのは、3年生の頃。
大学という狭い社会の中で同級生と戯れることに、つまらなさを感じていました。
当時は1年の頃から居酒屋でバイトをして、朝まで働いて学校に行くという生活。
人生初めてのバイトで、お客さんが喜んでくれたり先輩が可愛がってくれるのがめちゃめちゃ楽しかったんですね。
酒場には色んなお客さんが来るから、ホントに面白い。
週に何度か深夜に一人で来て、僕が「新潟出身です」と伝えるとひたすら田中角栄の話をしてくれたあのおっちゃん、元気かな。。。
おっちゃんの寂しそうな背中が、忘れられない。
また、同い年の同僚はフリーターでガッツリ仕事をしていて、彼ら彼女らの方がよっぽど”社会”を知ってるなぁと感じて、心から尊敬していました。
あいつらと一緒に仕事が終わってから行きつけの居酒屋へ行って、バカみたいに朝まで飲み明かす時間が大好きだったなぁ。
「あの時のあれってもっとこうした方がよかったんじゃね?」と、真面目に仕事の話もしてたし、恋愛の話も延々としてた。
お店の女の子に恋をして、一緒にディズニーシーへ行ったのも懐かしいな。。。
お客として来てるのに、どれだけ酔っ払ってもお皿とかグラスを綺麗に片付けてバッシングして帰ったあの仲間たちとの時間が、優しくて心地よかったのです。
大学の知人のことも、好きだったけれど…
大学の飲み会だと、飲食店のスタッフに上から目線の人も多くて、いずれあいつらが大手企業の管理職やお偉い官僚になっていくのか…と、心配になったのを覚えています。
かといって、僕は僕で立派な人間などでは決してなくて。。。
時には、朝まで働いて24時間の居酒屋で飲んでカラオケして、少し寝てまた出勤して働いたり…
思うがままに、夜を駆け巡っていたように思います。
…もはや、朝だけど。。。
お客さんと仲良くなって飲みに行ったり、「唐澤さんいますか?」って訪ねてくれるお客さんもいたり、1人1人とじっくり関係を深めることが好きでした。
あの頃は、大学で何かを研究することよりも「実社会を知りたい・体感したい」という想いが強くて、夜の社交場へ足を運ぶことに没頭していたなぁ。
25歳までには、いわゆる「夜のお店」と呼ばれるほとんどの店へ行ったと思います。
…僕が知らないだけで、まだまだ夜の奥は知れないはずだけれど。
ただし、仲間もフリーターを卒業して就職や結婚をしたり…
仲間との時間が少なくなり独りで過ごすことが多くなってからは、夜の魅惑に飲み込まれてしまう時期もありました。
実は22,23歳の頃、人生のどん底に沈んでいて…
空を見上げることもなく、木漏れ日に照らされることもなく、ただただ夜に流されて、独りで溺れていた気がします。
歌舞伎町で客引きに騙されて、交番に泣きついたら警官に嘲笑されて、泣きながら歩いて高円寺まで帰ったことも。
「どうなってもいいや」と自暴自棄で、夜の中を漂っては流されての繰り返しで、自分で自分を傷つける日々。
・・・それでも、あの頃の僕には夜しかなかったんですね。
社会のことは知りたかったけど、世間からは身を潜めていたかった。
陽に当てられて世間に見つかるのが、怖かった。
だからこそ、、夜を漁って生きていた時期がある。
…けれど、夜を漂うことなく夜明けを待ち、朝焼けを迎える心意気が、今の僕にはあります。
あの頃と同じように、仲間がいるからです。
僕自身が、独りになって楽になろうとせず、他者のことを必要としているから。
「からっちがいるなら」と、僕のことを唯一無二の存在だと必要としてくれる人が、周りに居てくれるから。
『必要とし、必要とされている』その関係性にこそ、愛が宿るのだと実感する日々です。
今までは夜に溺れていたけれど、これからはもっと、愛に溺れたいと思っております。
たとえ溺れそうになっても、手を上げれば、声を上げれば、すくい上げてくれる人は必ずいると信じているから。
余計な力を抜けば、自力で浮き上がることだってできるから。
夜は身を潜めるためにあるのではなく、夜明けが来るのを待ち侘びるためにあるのだと、そう信じられるようにやっとなりました、唐澤です。
ありがとう。。。
・・・いつも読んで頂きありがとうございます!
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【軟水のたそがれ】
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このnoteは筆者の思想を深堀りするフォトエッセイです。
※毎週日曜日の夜に更新!
社会心理学の観点から、感じたことを綴っています。
新たな1週間が始まる前に、何か大切なことに気がつくキッカケになれば嬉しいなと思っています!
ゆらりときらめく水鏡のように
他者の魅力を鮮やかに彩る存在でありたい
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