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ネットニュースふざけるな!書いている記者のホンネと裏側

ネットニュースに怒る芸能人

ヤフーなどに掲載されるネットニュースが盛んになってからおよそ5年ほどになるだろうか。(私の体感)最近、芸能人がネットニュースに対して怒りのコメントを残していることも少なくはない。その大半が「テレビの内容を見てそれを記事にするだけなんてこんなに楽な仕事はない」と言うことだろう。
一概にネットニュースと言っても、本来の新聞記者の仕事が新聞紙ではなくネットを介して掲載している場合はそれほど反感は買わないだろう。問題となっているのはテレビやラジオでの発言をネットニュースにするいわゆる「こたつ記事」に対して、芸能人が怒っているのをしばしば見かける。

サラリーマンだから・・・

私が正月に帰省した時、父からも咎められた。
「テレビやドラマの内容を書くだけの記事。あれって記者の仕事として認められるのかよ!」
私の答えはこうだ。
「言っているのはわかる。でもサラリーマンだから・・・」
やっていることはおかしいと思いながらも、仕事だからと割り切っている記者も少なくない。これはどうか理解してほしい。こたつ記事でいいなんて思っているわけがない。

ご存じの通り、新聞社の経営状況は驚くほど急スピードで悪化している。新聞の購買数の増加は見込めない。ネット記事も閲覧数に応じて、収入が入ってくるが、本当に微々たるものだ。聞いた噂だが、ヤフーの1PVで0.01円とかだったような。(定かではない)もちろん、新聞の落ち込みを賄えるほどにはなっていないが、このネットニュースの閲覧を増やす以外、他に当てになる増収策がないのだ。

現場取材よりテレビの中の大物タレント

だからこそだが、最近のネットニュースは特にひどい。ドラマのあらすじを書いたものや、テレビのしょうもない発言を切り取り、とにかく出す。「何でもかんでも」という言葉がまさに似合う。
私が記憶する限り、このこたつ記事はデイリースポーツが最初に始めたと思う。紙を捨てたようにネットへとシフトし始めた。大体5、6年くらい前だろうか。テレビの記事をとにかく出していることに非常に違和感を覚えた。しかし、デイリーの記者は全く恥ずかしがっておらず、反発している人はあまり見かけなかった。普段の記者会見とかでもデイリーの記者は1つの会見で数本のネット記事を書く。インセンティブでも出ているかと思うくらいのネットへの徹底ぶりだが、インセンティブはないらしい。会社全体で一つの方向へ向いているのはすごい。
ネットニュースはサッカーや野球などのスポーツより、芸能のジャンルは多くアクセスを稼げる。無論、ダウンタウンや明石家さんまらの人気芸能人はそう簡単に記者の前に出てこない。だからと言って現場で行われている記者会見より躍起になってこたつ記事に必死になっている現状はどうかと思う。でもビジネス的な観点。PV数という意味では現場の中堅芸能人より、テレビの中のダウンタウンの方がアクセスはいいのだ。それを知った各社が徐々にこたつ記事に力を入れていくようになった。

さらにコロナ禍が拍車をかけた。現場取材が少なくなったっため、こたつ記事しかやることがなくなったのだ。今は本当にひどい。なんでもニュースになる。私自身もそこまで堅物ではないので、会社の方針に従い、ネットニュースに力を入れるようになったが、今ではこたつ記事を紙面に載せるデスクもいる。これは本当におかしい。例えば、「超大物タレント〇〇が番組内で結婚を発表」だったら、紙面に乗せる必要があるのはわかる。なぜならニュースだから。しかし、普通のなんでもないこたつ記事を載せるのはどうかと思う。特にワイドナショーのダウンタウン松本の発言はそこまで載せるべきことなのか。

ちなみに私は上司から指示がない限り、自分からはやらない。こんなのは記者の仕事じゃないと抗っている。なによりも、こたつ記事でバズらせたとしても評価してくれる上司なんて新聞社に一人もいない。これは断言できる。ネットニュースが発達したとしても新聞社の評価軸は「ニュース」これのみだ。「特ダネ」と言ったらわかりやすいだろうか。
「ニュース」と「ネットのアクセス数」は目指すところが違う。しかし、2つを求められ、「アクセス数」に関しては評価されない。なのになぜみんなそんなにネットニュースを頑張るのだろう。と思っている。独自で取材した記事がネットに載るなら意欲的にやる。SNSで誰かが呟いたことをいち早く記事にするモチベーションは私にはない。

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