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不穏と法定エンタメがいい具合に同居してる『アンチヒーロー』

日曜劇場の中ではかなり好き寄りかも!終始絶妙に不穏なのがとても良い。ポジティブすぎる暑苦しい系努力モノとか、声がとにかくでかい男性対立モノはあんまり好きじゃないんだけど、長谷川博己のダークな癖強キャラ像は面白がりながら見られそう。

殺人容疑のかけられた岩ちゃん、岩ちゃんて本当にかっこいいよねLDHの中で唯一出てきてテンションぶちあがる俳優だわ(すみません)あ何の話でしたっけ、そう、殺人容疑のかけられた岩ちゃんの弁護を頑張る話です。ただ、何だ、殺人犯かも知れない人の味方になるなんて?そんなあ?的な問いを元に「アンチヒーロー」としているようなのだけど、いや、普通にそれって、弁護士の、仕事ですよね?みんなやってるやつですよね?普通に?とか思ってしまうところはある。

まあそういう根本の疑問はともかくとして、ドラマとしてはめちゃくちゃ出来が良いと思う。ファーストシーンでいきなりインパクト強めの長谷川博己の話術で突破するところとか、後半でカタルシスに繋がりそうな部分でぞわーっと引っくり返して不穏を煽るところとか。各キャラも見やすい。岩ちゃんの人間性がまだ出てこないけど、ここからガッと寄っていくのだろうと予想すると見続けたくなるなー!

ラスト、弁護のために証人の障害をさらすことへの長谷川博己なりの正義と、証人自身の苦しみが対立するシーンが真に迫っていて良かっただけに、その後の「障害を生み出す社会側を許すな」的なメッセージは余計に感じてしまった。かなり巧妙なポリコレ配慮で、まあこういうタイプの台詞にしては上手く入れ込まれているとは思うけど。でもドラマとしては長谷川博己のキャラにはもっと自己中を貫いてもらってこのポリコレ配慮は別キャラと別シーンで補うでも良かったのでは……とか思ってしまった。まあでも配慮もこれくらいちゃんと俳優の演技で突き詰めればギリ筋が通るという事例でもあるとは思う。感想が分かれるラインかもしれないなー。

ただ最近のドラマって主人公が正しくて誠実なことがほんっとーーーーーに、多いんで、こういう「間違ったことがんがんやりますけど」な主人公を魅力的に見せてくれるドラマは応援したい。増えてほしい。だってフィクションなんだから!

dev.55


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