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クドカンの腹括った闘い『不適切にもほどがある!』

今回唯一の本命、宮藤官九郎脚本。流石に、これは、面白いだろ!!!

週刊文春のクドカン連載が大好きで買った回は必ず読むのですが、そこでちょくちょく「いまこの時代」に対する何とも割り切れない思いが吐露されていた。それは紙媒体でなければ場合によっちゃあ変な読み方をされてしまいそうな表現もありつつも、ある種切実な昭和生まれ男性の真摯な葛藤だと思って読んでいた。そのもやもやが吟味に吟味を重ねてドラマに!なるのね!に対してもちろん不安はあったけれども、『IWGP』『木更津キャッツアイ』でユートピア的男性ホモソーシャルを描いたところから時を経て『監獄のお姫さま』で女性のホモソーシャルまで描き出し、そして『いだてん』では男性中心のスポーツ世界に対する女性の悲痛な闘いにも焦点を当て、『俺の家の話』では家父長制の極みと言える能のイエ制度への批判的客観的視点も交えた感動を生み出したクドカンがこのテーマを単なる昭和回顧で終わらせるはずが!無い!と!信じている!と、思って、信じて、良かったよ! 

令和視点での正義と常識、昭和視点の正義と常識。それをどこまでフラットな視点に立って、どこまで人間に肉薄して本気で戦わせるか?という激烈に難しくて体力が必要でしんどくて面白いことを、土俵に立ってやろうとしているクドカンに乾杯と言いたいよ、私は!

もうこれはどこに結論を置いたとしてもきれいに納得のいく無批判で美しい場所には多分行けないドラマだと思うけど、それでも伝えたいメッセージはきっと最後まで「話し合いましょう」なんだと思う。話してもわからない、昭和のおじさんの煮凝りみたいな「話してもわからない」すぎる人と本気で話し合いましょうよ?という問いってマジで凄いし、今、私含めほとんどの「平成・令和人間」が逃げていることである。

このドラマをみんなで観たら何かちょっと世代違うからマジ無理分かんない、さっさと消えて、みたいな世界が、良くならない?ならない?なってほしくない!?という叫びを感じます。戦うだけで意義がある場所を引き受けてるだけで凄いよ。

あとはもう、シンプルにドラマとしてずば抜けて面白い。60分があっという間に過ぎる、時計を気にする瞬間がない、先が見えない、ちゃんと笑える、小ネタも笑える、続きが気になる、キョンキョン、尾美としのり、あまちゃんってすごいよね、「それが組織ぃ」の振り付けは一体何、「地上波で!おっぱいが!見たいんだよぉ!!!」河合優実可愛すぎ、河合優実が中森明菜すぎて可愛い。

いやー、ほんと、覚悟のあるドラマは頑張ってほしいよ!超面白いからみんな観て!!!

dev 69


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