上質な医療ドラマ。ちょっと毛色は違うけれども『監察医朝顔』の系譜ではあるかな。風間俊介繋がり。

脳外科医の話、でありながら障害を持つ人がどうやって諦めずに自分らしく生きていくか、をテーマにした一話でとても良かったです。一日の記憶がリセットされてしまうけれども過去の記憶や技術は蓄積される主人公、という特殊な境遇に置かれた話でありながら、ここまで地に足のついた物語になるって実は凄いことだと思う。

若葉竜也の役どころもとても良い。くっきりしたテレビドラマ的な医者像ではなくて、喋り方含めもっとぼんやりした優秀さを醸し出しているというか。記憶を失う自分には手術する資格はない、と語る杉咲花に対して若葉竜也が投げかける、患者を安心させたいと言いながら自分が傷付きたくないだけでは？という問いが良かったなー。全然理不尽ではないけど明確な対立があって、葛藤があって、一方で人の弱さを消費はしない、秀作と感じました。

話の展開だけではなく映像にも誠実さが現れている感じがするのも凄く良いなと思った。最近のドラマでは俳優の肌がただただぬるっとつるっと映されるのが良しとされているようだけど、杉咲花のそばかすがきちんと映る画作り、私はとても好きだなあ。人間を描くよ、を画のところからちゃんと体現してくれているように感じます。

dev.64