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認知症の母の頭の中

私の身体の痛みも少し良くなってきた
土曜日の朝

私のスマホが鳴ります
母から
とても慌てた様子
食べる物が何もないんだよ
電話もおかしい
繋がって良かった

お母さん、もうすぐ施設の方が迎えに来てくれて
朝ごはんを食べる所に連れていってくれるよ

大丈夫だよ

母、お金がないんだよ
どうしたら良いんだよ

大丈夫だよ
私がお金を管理してるから
お母さんは、お金が無くても
ご飯は、食べれるよ

それでも不安で切羽詰まった声

後でそっちに行くからね

ここで施設の人が朝ごはんのお迎えにきた声が聞こえて
電話が切られる

午前中に施設へ

お母さん、朝ごはん食べれたでしょ?
食べれた

施設の仕組みをお母さんに何度も説明する

やっと納得した様子

ここからは、母の頭の中の話し

昨日、歩きすぎて、もう歩けないんだよ

どこに行ったの?

食べる物がなかったから、外に1人で出かけたの
どこへ❓

少し考えて
湖へ

そこでジョージに会ったの
最近、仲良しの人
その人が、ご飯がないなら
俺が分けてあげるから安心しなと言ったらしい

たぶん施設の人の事だと思う

ほらね
私が、お母さんのご飯をお願いしますって頼んであるんだよ

だから安心して
お母さんは、お金を持ってなくても
私がちゃんと支払いをしてるから
何も心配しなくて良いんだよ

ご飯になったら、ちゃんと迎えにきてくれるからね

すると母は、驚いた顔で
ジョージと知り合いだったんだ

そうだよ

やっとここの仕組みがわかったよと母

ここのご飯、美味しいでしょ?と聞くと
すごく美味しいと

認知症だから、また忘れてしまうかも
でも何度も繰り返して、不安を解消させてあげたい

この後も母の話しは続くんだけど
母の頭の中では、1人で出かけていって
いろんな人と話しをしてるらしい

自分の頭の中の出来事を全て話したら安心したのか
ウトウトし始めました

この日以降、母からの電話はありません

ご飯を食べるのが大好きな母
認知症で、悲しみや辛さを忘れてしまうのは良いけど
美味しい物を食べた記憶や楽しい事の記憶を無くすのは悲しすぎる

お母さん、このまま食べる物も無くて
死んでいくのかと思った
なんていうんです

辛いね
悲しいね


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