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近世百物語

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幽霊を見るのは日常の出来事です。そんな私の心霊体験をつらつら書いてみました。中には怖いものも、怖くないものあります。お楽しみに……。
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近世百物語について

 はじめまして、播磨陰陽師の尾畑雁多です。  近世百物語は、私個人の霊的な思い出話をつら…

尾畑雁多
2年前
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近世百物語・第百夜「天寿・そして死後の世界へ」

 近世百物語も百話目となりました。これですべての物語を終わりますが、私の霊体験は、日々、…

尾畑雁多
2年前
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近世百物語・第九十九夜「つくも神」

 百年に、ひとつ足らぬは、つくも神と言うことで、今回、とうとう九十九夜になりました。近世…

尾畑雁多
2年前
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近世百物語・第九十八夜「多い人と少ない人」

 ある時、喫茶店に友人たちと入ったら、出されたコップの水がひとり分だけ多かったことがあり…

尾畑雁多
2年前
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近世百物語・第九十七話「天に登る闇の柱」

 この世には、天に昇る闇の柱のようなものがあります。地面から空に向かって黒い闇のような柱…

尾畑雁多
2年前
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近世百物語・第九十六夜「祓いの鐘」

 私の使っている霊器と呼ばれる〈七つ道具〉には、祓い鐘・火打ち石・祓い刀・石笛・奪衣婆の…

尾畑雁多
2年前
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近世百物語・第九十五夜「手形足形」

 何度か、ガラスに付いた凍った手形を見たことがあります。ある夏の暑い夜のことです。飲み物を飲みほして、しばらくそのままにしていたコップが、テーブルの上でピキッと音を立てました。気付いてコップを見ると、向こう側から誰かが触ったような手の跡がありました。それは子供の手のような、とても小さなサイズでしたが、ガラスの表面に凍りついていました。  これもまた、別な真夏のある時の出来事です。あまりの寝苦しさに、夜中に目覚めてカーテンを開けました。クーラーのスリープ・タイマーが終わって気

近世百物語・第九十四夜「播磨御式神内」

 播磨御式神内は播磨陰陽道で使う武術です。この武術は霊術とセットになっていて、われわれ播…

尾畑雁多
2年前
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近世百物語・第九十三夜「青い波のたつ池」

 トラウマなのかについては分かりませんが、何かの刺激を受けるとフラッシュバックのような記…

尾畑雁多
2年前
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近世百物語・第九十ニ夜「悪夢」

 何度か悪夢のことについて書いていますが、悪夢そのもののことはあまり書いていません。誰で…

尾畑雁多
2年前
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近世百物語・第九十一話「悪霊の壺」

 私は〈奪衣婆の壷〉と呼ばれる霊器を持っています。これは悪霊を入れて置くための壷です。悪…

尾畑雁多
2年前
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近世百物語・第九十夜「シガラミ」

 人は、土地のシガラミに縛られて生きているような気がします。しかし、その土地の風習だとか…

尾畑雁多
2年前
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近世百物語・第八十九夜「コックリさん」

 コックリさんは正式な霊術には含まれていません。正式な伝承も何もありません。ただ整理され…

尾畑雁多
2年前
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近世百物語・第八十八夜「祝詞」

 子供の頃から〈祝詞〉をあげて育ちました。それは播磨陰陽道の伝承者として当然のことでした。だから、少しも不思議には思っていませんでした。と言うより、 ——他の人も、みんな祝詞を知っているものだ。  と、勝手に思い込んでいました。  子供の頃の思い込みは誰にでもあります。それが奇妙であろうとなかろうと、自分の中ではごく自然なことでした。  さて、時と場合によって、祝詞をあげると雨が降ることがあります。ある時は祝詞の直後にどしゃ降りになりました。これは、友人たちと神社へ行った時