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怪しい世界の住人〈七福神〉第二話「七福神の由来は?」

④ みおつくしのこと

 みおつくしと呼ばれる不思議な記号が多くの宝船の絵には描かれています。大阪市のマークもこの〈みおつくし〉を基本にしたデザインです。大阪の古くは〈難波のみおつくし〉は江戸時代とても有名でした。ですので大阪市のマークにデザインされている訳です。
 さて、この言葉、漢字では〈澪標〉と書きます。古くは〈澪津串〉と書いていたようです。〈津〉と言うのは古語で〈〜の〉の意味ですので〈澪の串〉と言うこととなります。澪《みお》と言うのは水路の境界線のことです。その境界線を表すために水路に刺した串が、この〈みおつくし〉なのです。しかし、言葉の響きが良いことから〈身を尽くし〉と、かけ言葉で使うことが多くなり、現在に至ります。
 この〈みおつくし〉のマークは〈身を尽くして福を得る〉とか〈宝船がこの串に誘導されてこちらに来る〉と言う意味で多くの宝船の絵の中に描かれるようになって行ったものです。
 あと宝船に描かれる要素の中に〈鶴亀〉と〈珊瑚〉や〈松竹〉などがあります。いずれも、長寿や繁栄を願う意味と数々の宝物と言うめでた尽くしになっています。
 しかし、宝船には七福神の乗っていない絵も多くあります。その時は痕跡……と言うか七福神が残して行った宝物が描かれていることが多いです。こちらは七福神が下船した後の宝船と言う意味で描かれることが多いのです。

⑤ 七福神の由来は?

 七福神は仏教の神ではなく、また神道の神でもないと書きましたが、では、どう言う種類の神でしょうか?
 それらは民間信仰の中で生まれ育った神です。
 七福神信仰は室町時代末期頃の京都にはじまったと言われています。室町時代末期に京の庶民の間に福の神信仰が広がりました。
 室町末期と言えば応仁の乱(1467〜77)などの戦乱の時代です。武士のみならず庶民も疲弊しており福の神を求める土壌があったようです。

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