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播磨陰陽師の独り言・第538話「漢字は必要か?」

 私は祝詞や祭文など古文を読む関係から、画数の多い旧漢字の多くを読むことが出来ます。しかし、多くの人々ととっては、旧漢字が読めても役に立たないと思います。
 果たして漢字を読むことは必要なのでしょうか?
 このことは何度か論議が沸き起こっています。明治維新の時や戦後にも話し合われました。幸いにして、多くの人々が漢字は必要であると答えたため、何とか残っている訳です。
 都市伝説のようなお話ですが、明治の頃、九州のある地方都市で日本語を配信する実験が行われたそうです。その時、高校生たちがローマ字か何かの教育を受けたとあります。都市伝説のようなものなので、いくつかの説があります。結果として、日本語の文章が理解出来なくなり、廃止になったそうです。
 もし、何かの間違いが起こりでもしたら、平仮名と片仮名だけの日本語が普通になっていたかも知れません。
 漢字には、使うことによって文章を圧縮出来たり、拾い読みすることによって文章を高速に把握出来ると言う利点があります。また、ルビをふることによって、特別な表現にも対応出来るのです。
 そう言えば、漢字のことを外人さんが〈チャイナ・フォント〉と呼ぶので、考えればその通りですが、驚いたことがありました。
 では、漢字をなくすとどうなるのでしょうか?
 韓国ではすでに漢字を廃止してしまいました。そのため、幾つもの弊害が発生しています。
 韓国で漢字教育をなくしたため起きたことは、まずは漢字由来のボキャブラリーを失ったことです。文章が長くなり、文章がハングルだけになり簡単になっにも関わらず、識字率も低下しました。全体的な読解力が下がったと言います。
 また、書いた人しか分からない文章が出来てしまい、昔のことを知る術がなくなったと言う弊害まで起きてしまったのです。
 文章の意味を伝えるのに、より多くの文章が必要になったのです。国語力の低下は大きな問題となり、世界的に見て、情報リテラシーが最も低いと言う結果も出ています。
 韓国語では〈防水〉と〈吸水〉が同じ言葉だそうです。元々漢字で書き分けていまので、ハングルになると見分けがつかないと言います。そこで、本来なら防水すべき部分の枕木を吸水性の素材で発注してしまい、事故が起きそうになったことがあります。
 わが国でも漢字を廃止すれば、そう言うことが起こる訳です。

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