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不幸のすべて・第三十一話「心が自在に動く基礎心力」

 心が自然に動いて幸福に向かうには、心そのものが自然に自由に動くことが条件になります。心が自然に自由に動くことを〈自在じざい〉と呼びます。
 自在とは、

——まるで自らるように動くこと。

 を意味しています。
 あなたは自分の心が自在に動いていると思いますか?
 では、体は自在に動いていると思いますか?
 多くの人々は心も体もけして自在に動いてはいません。
 しかし自分では、

——かなり自在に動いている。

 と思っています。それは錯覚です。心や体を自在に動かすには、それなりに鍛える必要があります。
 体を、ましてや心を鍛えたことのない人は、自分の理解出来る範囲内で、自分は自在だと勝手に考えているだけです。
 では、体が自在であるとはどんなことでしょう?
 それは自転車でたとえられます。
 あなたがはじめて自転車に乗ったとします。その時のことを思い出してください。両手でハンドルを握っているのが精一杯ではありませんでしたか?
 最初から片手を放して乗るなど難しいことですね。しばらくして自転車に慣れて来ると、時々、片手を放して乗れるようになります。あるいは、二人乗りして運転出来るかも知れません。
 これが、体が自在に動いていると言うことです。
 あなたが自転車に乗っている時、あなたの体は自転車の運転を何も考えずに行っています。これは自在に行っていると言うことです。どの瞬間にどの角度でハンドルを操作するとか、ペダルをどの程度、踏み込めば、あるいはブレーキをどのくらい握ればと言ったことを考えずに適切に動かしているのです。
 運転している瞬間、あなたの手は5ミリ単位でブレーキを制御しているかも知れません。ペダルにかかるつま先もかなりの角度で上下運動を繰り返しています。この時、あなたはご自分の足首の関節に、常に一度以下のとても厳密で正確な角度制御を行っています。

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