感動の種

どんな時に感動するんだろう?

ライターで友人のマツオカミキさんとはじめたこの交換ノート「書くことについて 二人のひとりごと」。今回は、ミキティからの問いかけをもとに、「感動」について考えてみる。

ミキティの「感動」についての記事はこちら

ミキティは自分の感動の種を「音、光、言葉」の三つが関係していると書いていて、それじゃあ、私は一体何に感動してきたかな、と。

それで、「これを通らなかったら、私は別の人間になっていただろうな」と思うレベルで、心が動いたものを並べてみたら、10個くらいあって、その全てに共通点があった。それは、「物語」だってこと。

たとえば、川上弘美の『神様』だとか。
古川日出男の『沈黙』だとか。
萩尾望都の『半神』だとか。
『少女革命ウテナ』だとか。

どれも読み終わった後、見終わった後に、それまで見ていた世界が全くちがうものになった。そして、それを知る前の自分には、それきり戻れなくなってしまった。それくらい強く私の心を動かすのは、いつだって「物語」だ。

よく考えてみれば、他にもいろいろあるのだ。きれいな景色や、優しい音楽や、誰かとの出会い。そうしたものにも、たくさん心を動かされてきたはず。だけど、でも、やっぱり、「感動」と聞いてすぐに思い浮かべるのは、小説だったりアニメだったり漫画だったりドラマだったり、どういうわけか「物語」ばかり。

そして、物語以外から受け取る感動も、結局自分の中で物語に変換して、感動している気がする。

たとえば、最近だったら、ACL。ACLというのは、サッカークラブチームのアジア一を決める大会で、今年、私が応援しているチームが、この大会で悲願の優勝を果たしたのね。私はもう決勝の試合を見ている途中から号泣してしまうくらい感動したんだけど、この時の私の感動も、新人の頃から見ているあの選手が、技術的にも精神的にも成長して、黄金期を迎え、長い間チームをの柱になって、年齢を重ねて次第に90分ピッチに立つことは少なくなっていって、それでも、だからこその支え方でチームを背負うようになって、周りの選手もサポーターもそれをわかっていて、いろいろ苦しいこともたくさんあった中で、ずっと獲れなかったアジアタイトルをとうとう手に入れた、という長年に渡る歴史を、私は物語として咀嚼して感動してるんだよね。(ここでは一人の選手に対する感動について説明したけれど、チームの中には他にもたくさん物語があって、それがお互いに絡み合って支え合って、それぞれの物語を豊かにしてるの。私は、そのひとつひとつに感動してしまうし、その物語が有機的に絡み合っている構造にもめちゃくちゃ感動してしまうんだけど、これは、ほんと、長くなるから別にして書けばよかったと反省してる。)

それから欅坂46ね。今年の春に彼女たちのデビュー2周年記念ライブがあって、このライブではセンターの平手友梨奈が不在だったの。それで、平手以外の子がそれぞれの曲のセンターを代わる代わるつとめたんだけど、その時の彼女たちの不安と葛藤を思うとね、本当に胸がつぶれそうになるよね。アイドルになりたいと夢みて、それを叶えて、だけどそこには絶対エースと呼ばれる存在がいて、そして、もちろんそのエース平手も平手で大きな不安や葛藤を抱えていて、その平手を支えたいという気持ち、欅坂46守りたいという思いや、周りや自分自身からのプレッシャーや、比較される恐怖だとか、それから「自分だって」という気持ちももちろんあって、メンバー21人がそういった混沌とした思いでパンクしそうな中でのライブで、でも、そんな状況の中でのライブが素晴らしかったの。そういう思いがあったからこその、ダンス、歌、それからキャプテン菅井友香の叫び、「僕は嫌だ!」(『不協和音』)。もう思い浮かべるだけで涙がにじむのだけど、その彼女たちに感動したのは、やっぱりそうした全てを、私が物語としてとらえたからなんだよね。(これも、ほんと、いくらでも果てしなく書けるけど、いいかげんテーマからズレていくから、やめる。)

子育てでの感動も同じかもしれない。今の娘のしぐさや表情に、これまでの娘とこれからの娘を同時に感じる時があって、そういう時には本当に心が震える。娘という一人の存在の中に、時間が詰め込まれているのだと感じる時。そういう時に、私は物語を感じて、感動してしまう。

「それぞれ人はどんなことに感動するんだろう?」
ミキティの質問に答えるかたちで考えてみたけれど、やっぱり私は物語に感動してるんだなって、改めて腑に落ちた。


✳︎マツオカ一言✳︎狩野さんの感動、ウワーッと伝わってきましたよ!物語、そうだよなぁ。うちの夫も成長物語に感動するタイプなんだけど、そういう人って物語を読み取るのが上手いなぁと思います。


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狩野ワカ

書くことについて 二人のひとりごと

ライターで友人のマツオカミキさんとの交換ノート。 「書くこと」をテーマにした、手紙のような、ひとりごとのような文章。
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