PW25【番外編】

ピッコン♪

『しずくちゃんごめんね撮影の日程が変わって今日の撮影は別の日になりました。日程は追って連絡しますね。』


仕事に向かおうと電車に乗っていたら
編集担当者の彩芽（あやめ）さんからの連絡だった。
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『了解しました～。
日程決まったら連絡ください～。』

ピッコン♪

『ほんとごめんね！』


じゃぁ折り返すかっ

あっ！ここって承太郎くんちの最寄りの駅だっ・・・
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電車を降りると、『星のかけら』が光った。
あれ？と思ったら隣の車両から柚希ちゃんが下りてきた。

柚希ちゃんもわたしに気が付いた。

「あっ・・・どうも・・・」

なんか、気まずいよね。

『あの星』で親友だったとはいえ
この間までライバル的な存在だったし・・・
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と思っていたら柚希ちゃんの方から

「承太郎と？」

「ちがうの、今仕事が延期になって
連絡が来たから折り返そうと思って・・・」

「・・・じゃぁ～よかったらちょっとお茶でもしない？」

と誘われた。
「あぁ・・・うん」

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「一度行ってみたかった喫茶店があるんだけどそこでもいい？」

「あぁ・・・わたしはどこでも・・・」


そのお店の看板には”Jin Coffee（ジンコーヒー）”と書いてあった

なんか大人のお店って感じで店内は落ち着いた雰囲気だった。
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お店せに入ると神秘的な雰囲気の
イケメンマスターが笑顔で

「いらっしゃい。お好きな席にどうぞ！」

と迎えてくれた。


わたしたちは窓際の席に座った。

「すみませんメニューおねがいします。」
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「すみません。うちにはメニューは無いんです。

かわいいお客さんなので、特別に夢を叶えるカフェオレ作りますよ！

この紙に叶えたい夢を書いてください。」


と名刺サイズの紙を渡された。

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「わ～なにそれ～楽しそう」

なにこのシステム女子にはたまらないじゃん

わたしはウキウキテンション上がってしまったけど


柚希ちゃんを見ると冷静だった。

大人っぽいなぁ・・・

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柚希ちゃんはササッと書き上げていた。


どうしよう何書こう・・・

本当は承太郎くんの彼女になりたいって
書きたいけど・・・

さすがに書けないよねっ
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もたもたしていたら


「遠慮しなくていいよ！
承太郎の彼女になりたいって
書いた方がいいと思う」

ギクッ！！

超能力者かこの人は

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「承太郎に好きだって認めさせるのは
なかなか難しいと思うから」

「なるほど・・・そうだよねっあいつ素直じゃないとこあるもんね・・・」


「それに承太郎もしずくちゃんも頑固でしょっ！『あの星』にいる時から側で二人をず～とみてきたから」

「あっ・・・そっか」


柚希ちゃんにうまく乗せられて

『承太郎くんの彼女になりたい』

と書かせていただきました。

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「かけたかな？」

と言ってマスターがオーダーを取りにきた。


柚希ちゃんはなんて書いんだろう・・・

聞きたいけど聞きずらい・・・っておもっていたら
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「さっきからしずくちゃん
わたしに気を使いすぎじゃない？」

「だってそりゃ気をつかうでしょっ
色々あったし・・・」

「私はもう承太郎の事はなんとも思ってなし、『あの星』の事も思い出したし」


そうだよね。
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「じゃ聞くけど、柚希ちゃんはなんて書いたの？」

「わたしは”自分の歌声でみんなを幸せにしたい”て書いた。」


「うわーなにそれ～素敵～」

それに比べてわたしって・・・
自分の事しか考えてない・・・最低。

柚希ちゃんの頬が一瞬ピンク色になった。
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「歌をやってみようと思ったのはしずくちゃんのおかげなの」

「えっ？」


「『あの星』でしずくちゃんが私の歌声をほめてくれて、それを思い出したのがきっかけ」

「あぁそうなんだ・・・
ごめん私は思い出してないや」
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「はい！お待たせしました。
こちらがきみで、こちらがきみねっ」


「うわ～なんか絵が描いてある～、
なんか表面がキラキラしてない？！！」


「この紙はお守りだから大事に持っていてね。それとこれはおまけ！」


と言ってケーキを出してくれた。
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それはシュー生地の上に七色のふわっふわな生クリームが乗っていて

その上におしゃれにカットされたイチゴが乗っている。


これっ！！


「ホワンヌ！だ！」と柚希ちゃんとハモって

二人で顔を見合わせた。
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『あの星』でわたし達が大好きだったケーキ！

なんで地球に！？


「ご存知ですかっ！」

とだけいってマスターはカウンターへ戻っていった。
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そこからは柚希ちゃんとすっかり打ち解けて、思い出した限りの『あの星』の話で盛り上がった。

「あっもうこんな時間だね、
そろそろ帰えろっか！」


マスターが優しい声で

「ありがとうございました。またいらしてくださいね。」

お会計を済ませて外に出た。

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「そうだ2月の第3土曜日に歌のコンクールがあって、そこに出場するから
よかったら承太郎と一緒にきて！」

「そうなの。いくいく！！」

「チケットは承太郎に渡しておくから」

「わかった！」


「わたし歌で留学をすることにしたの！

3月には向こうにいってしまうから、その前に2人で話ができてよかった。」

「そうなんだ・・・
せっかく仲良くなれたのに残念」
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とそこへ承太郎くんが帰って来た。

「何やってんだお前ら！」

「柚希ちゃんとホワンヌ食べてた～」


この組み合わせが不思議だったのか
承太郎くんは眉間にしわを寄せて無言だった。

しばらくして
「・・・ホワンヌ？？」
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「承太郎、悪いけどしずくちゃん送ってあげて！じゃぁしずくちゃんまた！」

「うんまた」

と言って柚希ちゃんは家に帰った。


「・・・しょうがねーな、山田さんいっかな」


田中さんじゃなくて山田さんに車で送ってもらった。

今度は承太郎くんも一緒に送ってくれた。

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「お前らいつの間に仲良くなったんだ？」

「今日仕事が延期になったから帰ろうと思ったら柚希ちゃんにあって、お茶に誘われて・・・」

「なんか変な感じだなっ・・・」

「えっ、なにが？」

「いやなんでもない・・・俺が状況にうまくついてけてないだけだ・・・
何話してたんだよっ」
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「承太郎くんの悪口に決まってるじゃん！」

「お前ら趣味わるいな」

「でも時間を忘れるくらい楽しかった！」


「ん！！なんだこれ」
と言ってわたしの鞄のポケットにさっき入れたあの叶えたいことの紙を承太郎くんが見つけて！！
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「だめっ！それは！！」
と承太郎くんの手からその紙を取り返そうとしたら

山田さんがいきなり急ブレーキかけてきた
わたしは紙を取り返せないまま
承太郎くんの膝の上に倒れこんだ


「あぁぁすみません坊っちゃん、大丈夫でしたか？」
慌てた山田さんの声。

承太郎くんはその紙をみながら
「あぁ俺は大丈夫です」
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きゃ～承太郎くんに読まれたぁ～！！
山田さ～んわたしは全然大丈夫じゃないです～

慌てて起き上がって紙を取り返えそうとしたらその手を捕まれて、キスをされた！！

これって・・・どういうことだぁ～！？山田さん！
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