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あの人のお金をこの人へ

朝、トイレに行きたくてふっと起き上がったら7時だった。最近の起き方はずっとこんなかんじで、いつもより今日は30分早かったな。手作りパンストックのラスト一個と、牛乳をあたためて食べる。ああ、パンを作るのに牛乳がいるのになくなってしまった。明日はごはんにしよう。

調味料や食材が切れても、すぐ買いに行かない。「ない」から生まれる新しいものがあるから。

しかしここ1、2週間は、なかなかなくならないものがよくなくなった。味噌、牛乳、酢、コチュジャン、みりん、バター…ほとんど買い足さないでいる。冷蔵庫が空っぽになっていくのが、なんだか好きみたいだ。

朝からな〜んかいい気分だな、と思ったら久しぶりに青空が顔を出していた。天気の力ってすごい。

昨日また稲藁でいろいろつくって、家が藁だらけになっていたので、今日は箒をはく。箒って、静かで、床を愛でているかんじがして、集めたゴミが目に見えて、落ち着く。はじめてのボーナスで買ったのが棕櫚箒(しゅろぼうき)なんて、なかなか渋いわ、わたし。

同居して掃除機を買ってからはそればかりになっていたけど、稲垣えみ子さんの著書を読み漁っている影響でまた箒を手に取った。自分の慎重に合わせて、柄の長いのを買っといてよかった。掃きやすい。

ひと息ついて、購入予定のリノベーションの希望をまとめて設計士さんたちに共有しておいた。分かりやすい、と反応がありうれしい。家づくり、ほんとうに楽しみだけど難しい。できるだけ具体的な生活を想像して、自分たちにとって良い家をつくるんだ。ネットはヒントにしても、答えを探さないこと。

そのあと、昼ごはんの時間までそわそわしながら仕事をすすめる。

私のお昼ごはんは、おにぎり、味噌汁、冷蔵庫の余りおかず。

干しものをするようになって、お味噌汁がすごく美味しくなった。干した野菜(特にきのこを入れると旨味がすごい)を水から蓋をして煮て、ぐつぐつなったら火を止めて放置。その間に具が戻り、旨味が溶け出すのだと思う。他の支度ができたら、味噌を溶いて器に注ぐ。

ごはんも毎日おにぎりを食べるのだけど、すごく美味しく感じる。稲刈りしたり、稲藁を日常的に触ったり、お米が近くになったからかな。


午後は納品の予定があり、武蔵小杉へと向かう。
旦那さんが旦那さんじゃないときに住んでいてよく行っていたので懐かしい。しかも、その納品先のカフェが住んでたところにめちゃめちゃ近いんだ。

人と会う前は必要以上に緊張してしまうのだけど、大丈夫、と自分をなだめる。最近は走り回っていたこともあるし、まず私と話そうとしてくれる人っていうことは話が通じる人だって分かってるから。

全然手順を踏まず、いきなり違う世界にぴょーんと飛び込むみたいなのは、たまに全然話の通じない人がいる。そういうところへは行かないようにしている。

前はもっと勢いだけで生きていて、「なんでも、できる!無理なことはない!」ってかんじで、そういうところへ行ってしまってたな。そういうところだとほんとうに、言語が違う感じのときがある。自分の良さも分かってもらいにくい。

ちゃんと察知しないとだめだ。繋がり繋がっていくほうが、自分も穏やかでいられるんだ。少しずつだけど、「これは違う」ってこと、はじめにピンとくるようになってきた。


カフェでは、偶然居合わせた書店員の方に紹介してもらったりして、新しい道ができたかんじがする。それでもって、その人達とも共通の知人が結構いたりして、やっぱりどんどん繋がっている。こういうとき、ちゃんと足を運んで顔を見せてきた自分のすべてに、意味があった、えらいぞって思う。

印刷工場をリノベしたカフェ。今後のリノベの参考になる!
これは取り入れたらよさそうだなー、などとじろじろ見ていた。

せっかく来たので、と商業施設をぐるぐる見てみる。でも、最近そういう場所に私のほしいものはない。空気に圧されて、「なにか買わなきゃ!」という気持ちはしてくるのだけど。そういう自分には戻りたくないな。

今はもう、このお金は誰からもらったものかが分かるから。なるだけ私も好きな人、応援したい人に渡したい。

こういうタイミングで何もないところに引っ越せるのは、良かったと思う(5月あたりなのでまだ先だけど)。そういう押せ押せ、買え買え、の場所は自分を強く保っていないと負けてしまうから。負けてしまうときも、それはそれで楽しいこともあるのだけどね。ほんとーーにたまにでいい。なくてもいい。

そして、ふっと、「このままこの仕事をしていて大丈夫なのか」とゆらめいた気持ちになった。これも多分、場所のせいだろな。大丈夫、大丈夫じゃなくなったときに自分がなんとかする。いろんな人が信頼してくれて、仕事を任せてくれて、イラストを見て癒やされてくれているのだから。今は大丈夫だ。


帰り道、無償にお腹が空いて、昔バイトしていたチェーンのパン屋さんでクイニーアマンを買っていった。駅のホームでかじる。あー、おいしい。
食欲が絡むと、お金の使いどきを吟味するのはなかなかにむずかしい。

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