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美術鑑賞・学芸員スクーリングのお荷物事情②

 美術館の展示室に持ち込む荷物に関しては以前書いた通り。

 そこから取り立てて大きな変更は無く、せいぜいメモ帳がメモパッド多めのスケジュール帳になったぐらいである。しかし自分の場合、神奈川県以外の美術館巡りは基本的に「小旅行」に近いところもあって、ダイソーの200円サコッシュバッグだけでは諸々の状況に対応しきれないことがある。
 今、これを書いているのはスクーリングに向かう電車の中だが、学校側から「クリップボードを持ってきてください」とリクエストがあった時点で、サコッシュのみでは対応不能だ。

MANHATTAN PASSAGEのリュックサック。1泊2日の旅行までならこれで対応可能。

 というわけでリュックサックを持っていくわけだけど、実は最近まで、こちらにはあまり関心を払っていなかった。筆箱には10本ぐらい入ってたし、結局使わないノートパソコンやポメラが入っていることもしばしば。とはいえ使うことも時々あるし、多少重くても「まあいいや」のスタンスでいた。
 それが変わったのは最近、以下の山歩きの動画を観てからである。

 俳優の仲野太賀さんが映像作家の上出遼平さん達とともにアラスカをひたすら歩く…というものだけど、そのワンシーンに歯ブラシの柄をナイフで削り、軽量化を図るというものがある。
 登山をやる人には当たり前らしいけど、知らなかった自分としては「ここまでやるんだ!」ちょっとしたカルチャーショックでもあって、そして自分のそばにあるリュックサックを見つめ直した。

 とは言いつつ、大筋ではあまり変わった訳ではない。とりあえず筆記用具の数を大きく減らし、必要でなければパソコンやガジェットなんかも当然持参しない。クリップボードも紙が差し込めるタイプにしてクリアファイルをなるべく持たないようにして、その他、リュックの端に入り込んでしまった小さなゴミなんかにも気を配る。そこに更に必要な荷物があれば追加するという感じだ。ちなみにこの記事も電車内でスマートフォンで書いている。

 正確な引用では無いが、山岳を中心とした風景画で知られる画家の吉田博もそういえば、「山歩きのコツは疲れないこと」と書いていたような気がする。吉田はなるべく軽装で、荷物等は人夫を雇って持ってもらっているとも書いていた。日常生活でエスカレーターを使わずに階段を使う、美術館に行く電車の中では座らない、というのは確かに殊勝だけど、これから疲れるのが分かっている状況で、余計な体力を使うことはあまり賢明とも言えない(もちろん自己本位になりすぎず、必要に応じて席を譲る柔軟さも忘れずに)。それでもって、美術鑑賞はまあまあの体力勝負なので、こういうところに気遣いをするのも大切だな、と今更ながらに思う。

 そして今、腰の調子が悪い筆者はそんな軽量化した鞄の中に折りたたみのステッキを入れている。一度膝を怪我した際に購入したが、その時だって使わなかった代物だ。使う機会があればいいけど、果たして。


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