見出し画像

四国遍路記録⑳変なお遍路さんやら好きになったお寺やら

個人的四国お遍路記録
今回は区切り打ち6回目の最終日、2日目です。

マンションみたいな形のホテルで目覚めたわたくしです。
前夜までは、朝6時20分に、近くから出ているコミュニティバスに乗り、
68番、69番札所とまわって、
更に66番札所までもまた、別のバスに乗ろう…などと計画していました。

でも自然と目覚めたのが5時。
予定より早く、しかも随分すっきりした寝起き。
朝食をとりながらあらためて地図をみていたら、
「あら、もしかして67番さんが意外と近い?」と気づきました。

そして、これなら、コミュニティバスの時間まで待つより
先に67番札所まで歩いた方が、
この日の予定はスムースにいくのではないか、と判断しました。

そこで朝6時にチェックアウト、
いざ出発、歩き始めました。


ただ、今までも何度もお話しているように、
またもやここは、お遍路道のコースから外れているのです。
順番通りではないので、遍路用道案内の石柱がない、
つまり地図だけがたよりの道のりになります。

でも、途中、住宅街などを抜けながら
「これでいいのかな」とやや不安になった頃に、
丁度、通りかかったお家からおじいさんがでてこられ、
「こっちであっているよ」と教えてもらってほっとしたり、
「ああ、でもちょっと回り道もしてしまった」と悔やんだりしながら、
ともあれなんとか無事につきました。

音声でもよかったら聞いてください。
興奮は伝わると思います。

ホテルからは1時間30分ほど、距離にすると約7㎞でした。

第67番札所 小松尾山 不動光院 大興寺

(こまつおざん ふどうこういん だいこうじ)
宗派 真言宗善通寺派
本尊 薬師如来
創建 天平14年(742)
真言 おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

7時35分着。
田園風景の中、お山の間にすっと立っている、そんな印象のお寺でした。
仁王門も大きくて、凛とした感じが、より、そう見せるのかもしれません。

そしてこの仁王門には、3.14mの金剛力士像
とてもがインパクト大で、かっこいいなあと思っていたら、
なんと運慶さん作なんだそうです。

見通しがよく遠くから見つけられます
金剛力士像は撮っていなかった( ;∀;)

そしてこちらには、大きなカヤノ木や、
弘法大師お手植えと言われるクスノキなどもあり
こちらもダイナミックですが、
かつては天台宗と真言宗両方に管理されていたこともあるそうですから
そんな雰囲気が漂っていて、大らかに感じるのかもしれません。

さらに、こちらのお寺では、
納経所の皆さんからとても親切にしていただきました。
「逆打ちではないのですが、今から66番雲辺寺さんにいくのですが、
どのみちがよいでしょう?」とご相談をしたら、
お遍路さんがつくってくれたという写真入りの地図を下さいまました。
そして「これも途中で食べて」とバナナまでいただきました。

66番札所までの道で

さて、これで何とか大丈夫そうだと、山門をでたわたくし、
しばし、念のためにきょろきょろして
地図と道を見比べていました。

すると、お寺の駐車場に入ろうとしている車から
「奥さん、どこにいくの?」と、声かけていただきました。

そうなのです、ここは67番札所ですから
順番通り68番札所にいくとしたなら、
私は逆方向の道を進もうとしていたからです。
「66番さんにいきます」と答えたら
その方は年輩の男性でしたが
「じゃあ、そっちだ、どうぞ」と、
笑って手を振ってくださいました。
「逆じゃないかな」と、
気にかけてくれてくださって、本当に感謝です。


その後、途中、すぐにまた曲がり角になり、
今度は本当に間違いそうになっていたら
直前の角ですれ違ったお母さんが「そっちじゃないよ」
と後ろから教えてくれて、
こちらも重ね重ね本当にありがたかったです。

そんなこんなで何とか、ここをまっすぐ進めば良さそうだという道に
たどり着いたようではありましたが、
でも、何か違う気がします。

途中でようやく事情が呑み込めました。
どうやら新しい道ができているようで、
お寺でいただい地図にも、わたしが持っていた地図にも
書いていない道が出てくるのです。
それでどれがどれかわからず、ちょっと行っては引き返したりしました。
そしてこの場所が田畑だらけで、人もいないので更に少し焦りました。

でもそんな中、たったお一人だけ、
農作業をしていた方がいらっしゃいました。
お仕事中すみませんと、話しかけてお尋ねしましたら、
手をとめて、畑を横切って近くまできてくれて、
丁寧に教えてくれました。

そしてようやく解りやすい道、240号線にでました。
本来は舗装道路で車が多いので苦手な道ですが
この時は、しばらくすればまた山間にはいりますし、
何より解りやすい道がほっとさせてもくれました。

67番札所からは徒歩約2時間、距離にすると9.6㎞、
雲辺寺に向かうロープウェイ乗り場、山麓駅につきました。

実は、この下から、山頂へ歩くことも考えていたのですが、
ここは乗り物好きが勝ちました。
ロープウェイは、日頃あまり乗る機会がないので
是非のりたい、ということで、こちらを選択しました。

10時半ごろついていて10時40分発にのりました。
運賃は当時で往復2060円でした。

 ロープウェイからの景色

ロープウェイの中には、わりとたくさんの人がのっていました。
その中に、まったく普段着の若い女の子がいました。
目が合ったので「こんにちは」とあいさつをしましたが、
ぶすっとしていて、冷たく「こんにちは」と返されてしまいました。
でも、実は後に再会しますので、彼女のことはその時に譲るとして、
まずは、山頂駅から徒歩5分。ついたのは

第66番札所 巨鼇山 千手院 雲辺寺

(きょごうざん せんじゅいん うんぺんじ)
宗派 真言宗御室派
本尊 千手観世音菩薩
創建 延暦8年(789)
真言 おん ばざらたらま きりく

ロープウェイを降りて山門に入るまでの間には
五百羅漢の像があったり、
お寺は徳島県になるのですが、香川県との境があったりする、
見どころが多い場所でした。

四国霊場のうち最も高い標高911m
讃岐の打ち始めで、いわば関所寺
そして遍路転がし、四国高野と称されていたそうです。
ここは次回お参りするなら、下から登ろうと思います。

左は徳島 右は香川
新しい石像ですが、表情がいろいろで想像がひろがります

出会った皆さん三者三様

さてそれから、いつもの通り、まずは本堂、
そして次に大師堂で勤行をするのですが、
ここではじめて、ちょっと嫌だなと思うお遍路さんに会いました。
そして結局、こんな印象の方は、お四国遍路中、この人だけでした。

正直にいいますと、以前から、
バスツアーや団体さんの中には、もうちょっと配慮したらいいのに、と
思うような方たちとは時々、遭遇していました。
ただ皆さん、嵐のように去っていかれるから、
まあ仕方ないかと思っていたので、それほど気にも留めませんでした。

でもこの方、おじいさんなのですが、おひとりでした。
リュックを横において、大師堂の前のベンチにすわっていました。

わたしが大師堂に着いたのを見るとすぐに
「どれくらいまわっているの?」と
声をかけてきたのでした。

「はじめてです」とお返事すると、
間髪いれず、いろいろ自慢話をはじめました。

それも「あれはだめなんだよ」などと、
やたらと否定から話し出します。
そして、まさによく言われる「マウントをとる」感じ、
お年は78歳だそうです。

そして「納札は、赤なんだよ俺は」とも言っていました。

これについては、以前もお話しましたが、
納札というお名前など書く紙がありますが
四国霊場を何周したかで色が変わります。
もう一度、色分けを記しておきますが
1~4回目のお遍路さんは白色、
5~6回目は緑色、7~24回目は赤色、
25~49回目は銀色、50~99回目は金色
 です。

おじいさんは13回目だそうで、
「だから赤だ」と誇らしげなのですが、正直なところ
私の心の内は「そんなに何回もまわって、その感じですか?」でした。
まあ、そんな風に思った私も私で、
こんなことにちょっとむっとする未熟者なのですが、
ここで伝えきれない雰囲気も含めて、
こんな嫌な感じのお遍路さんには初めて会ったので驚きました。
どこかで抱いた怒りを
無関係な人に撒き散らしているかのようでした。

でも同時に、今までわたしはとても恵まれていたんだなと思いましたし、
この辺でお遍路さんも色々だと、学んでおくということかしらと、
考えていました。

おじいさんは、自慢話をきいて欲しい
寂しい人なのかもしれないとも見えましたが、私の心の声は、
「いやいや今は仕事ではないので、お相手はできませんよ。
それに、そんな威張った態度で毒を撒くから
誰も聞いてくれないのかもしれないでしょう。
それに気づかないまま78年とは困ったものですよ。
お遍路中に気づくのかしら?
はたして何回まわったら解るのかしら?」でした。

という私もこの時は、心の中でとはいえ、
随分上から目線でいらっとしているので
充分同じレベルの未熟者になっていて、
お恥ずかしい限りですけれど。

ともあれ、何より絡まれたくはない、というのが一番でしたから
適当なところで、
「すみません、この後の予定の時間があるので、納経しますね」と
話を切りあげて、お経をあげ始めました。

所が、納経を終わって振り向いた時です。
まだおじいさんはこちらを見ていましたが、
その時は、おじいさんの雰囲気や態度がかわっていました。

多分、わたしのお経の声を聴いたからだと思うのです。
勿論、お寺さんのように素敵な読経はできませんが、
お遍路に出ていなくても勤行は毎朝の事なので、
どこか慣れている感じがしたのだと思います。

納経後には、妙に優しく落ち着いた感じで、
また話しかけてきたおじいさんでした。

人を見た眼で判断したのかなとか、
他の初めてまわっているお遍路さんとの間で
何か気に食わないことがあったのかな、などと思いましたが、
それでもあまり気分が良い相手ではないので
「じゃあ、失礼します」と、早々にその場を離れて、
またロープウェイ乗り場まで歩き始めました。

するとその時、後ろから、
女の子がひとり歩いてきているのに気づきました。
先ほど、行きのロープウェイで一緒だった
挨拶したけど、にこりともしなかった普段着の、あの彼女でした。
どうやらおじいさんと私のやり取りを見ていたようでした。

期せずして一緒になり、ふたりだけので道でしたから、
「ひとりですか?」と声をかけてみました。
すると今回はにこやかに
「何年もかけて、少しずつ周っているんです」と、笑顔!
それがまた可愛いのです。


正直、さっきの仏頂面はは何だったのだと思いましたが
「さっきおじいさんは13回目だって」と私が返すと、
「怖そうな人でしたね」と肩をすくめていました。

そうか、あれを怖いと思うのか、
そりゃあ無闇に笑顔にはなれないよね、とも思ったりしまして。
普段着だから、それこそさっきのおじいさんのように
見た目で判断して優位に立とうとするような人は困るでしょうし、
そもそも「いい大人が若い人を怖がらせるってよくないわ!」
あらためて思ったのです。
例え、この彼女と同じおそれが根源であったとしても、です。

さて、そんなことがあった後
今度は彼女と一緒に、仲良くなって
またロープウェイでおりていきました。

境内にはこんなお願いの場所もありました

このロープウェイ山麓駅からは、また更に歩いて下山しますが、
一番下からは、13時のバスで移動するつもりにしていました。
でも山麓駅に着いたのは11時半すぎでしたから、
ちょっと休んで、12時に下山を始めても余裕かなと考えておりました。

そこにひとりのおじいさまが現れました。
「お遍路さん、ご苦労様だね」と声を掛けてくれました。

今もカッコイイ!思ったのですが、
きっと昔もさぞハンサムだっただろうなと思うような方でした。
更にこの方、ギア付きの自転車に乗り、
毎日下からの坂道を登ってここまでくるのが日課
、と言う、
お近くに暮らす方でした。

「お遍路さんとお話するのが好きだから、時々話しかけるんだよ」と
声をかけてくれたのですが、
更に「お遍路の姿をしていくれていないと、道を聞かれても
今のご時世ちょっと警戒しちゃうけど
お遍路をまわっていますよ、というその姿だと、
皆、ちゃんと教えてくれるから、すぐ聞きなさいよ。
新しい道もできているから、迷いやすくなっているからね。

と、こんなことまで。

それは、まさにこの日の朝に思っていたことだったので
なんだかとても嬉しかったのです。
ちょっと仙人のような雰囲気もあって素敵なおじいさまでした。

一緒にロープウェイで降りてきた女の子はといえば、
休憩してから行きますと、茶店でお餅を食べ始めました。
どうやら名物のようでした。

心配になった道

さて、わたしはというと、そんなおじいさんと、
彼女ともお別れして、予定通り、くだりはじめました。
その道は、とても美しい木々の緑が上から覆いかぶさるような林道でした。

でもこれが、くねくねしているので、
全く先が見えないのでした。
初めはまた鼻歌交じりにご陽気だったのですが、
だんだん時間も経っていく中で、
見通しがよくないので、
今、この段階でどれくらい降りたかが、わからない、
と感じていました。

舗装されているけれど気持ちのよい道でしたが…

カーブを曲がると、また曲がった道、
更にまた、くねった道が続き、
もうそろそろ着いてもいい時間なのに、と思っても、
バスが来そうな道ではない、同じような道が続きます。

でも、誰も歩いてはいないので、尋ねられる人もいない。
と、そこにまさに救世主!

焦っている目の前に、車が一台、
何もない所にポツンと停まっていました。

そっと中をのぞいたら、シートがちょっと倒された運転席に男性が。
多分、車を止めて寝ようとしていたのでしょう。
でも申し訳ない、と思いつつも
「お邪魔しますが、この道は、ここですか?」と
地図を開いて聞くことができました。
そしたら、「バス停もう少し先です、あってますよ」と答えてくれました。

その後、教えていただいた通り、
それもたった5分ほどでした。
歩いていたら、全く急に、
林道を覆っていた木々がなくなり、
道幅も広くなって、ごく普通の車線の道がはじまりました。
そんなに急に、と驚きましたが、そんなこんなで、
12時45分、無事バス停に着きました。
ここは観音寺市コミュニティバス、
バス停の名前は谷上教育センター、
13時にバスがやってきました。
ここから観世音寺駅までのります。

私は知らずに駅で降りましたが、
実は途中下車もできたようで
駅でなくて、その次のバス停の間にある
69番札所の前でも降ろしてもらえたようでした。

バスの中と降りてから

そう言えば、この車内では途中で乗ってきた奥様が
後ろに座ってはなしかけてくれました。

彼女は、去年、八十八カ所全部を車でまわったとのことで、
「来週、やっと高野山にやっといけるの」と嬉しそうでした。
そしてなんと、また土地のご縁、
「わたし、福岡県の久留米市と言う所に10年ほど住んでいたの」と。
ご実家が香川で、戻ってきたのだそうです。
そして、ご自身が四国まわった中では、
高知が一番よくしていただいた、お接待をいただいたと仰います。
さらに、「勿論ほかの所もそうなんだけど
香川の人が一番知らん顔する気がして残念なの」と続けられました。
地元だから余計そう思うのではないですかとお答えしました。

けれど、すぐに言わんとする所が解った気がしました。
その奥さんも私と同じ観音寺駅で下車したのですが、
ごあいさつの後、わたしは一旦案内図を見に行ったのです。
そしたら奥さんは、すぐに戻ってきてくれて
「もう方向は解っているかと思って言わなかったけど、
こっちにいって、こっちからこうで…」と、
親切に道を教えてくれました。

そこで私は奥さんが言っていたのは
「そう、きっとこれだ」と、ちょっと思ったのです。
つまり、せっかくひとりで頑張っているのだから
そっとまずは見守ろうとか、差し出がましいかなとか慮ったり、
あえて自分からは何も言わない、声を掛けないとか、
そんな心遣いの結果なのではないかしらなどと思ったのでした。

ともあれ、親切にしてくださった奥様とお別れして、
駅から歩く事約20分。

途中で、幼稚園児の集団の皆さんとすれ違い
ずっとご挨拶をしたりしながら約1.8㎞。

ついたのが

第68番札所 七宝山 神恵院

(しっぽうざん じんねいん)
宗派 真言宗大覚寺派
本尊 阿弥陀如来
創建 大宝3年(703)
真言 おん あみりた ていぜい からうん

そして同じ境内の中にもうひとつ

第69番札所 七宝山 観音寺

(しっぽうざん かんのんじ)
宗派 真言宗大覚寺派
本尊 聖観音世音菩薩
創建 大宝3年(703)
真言 おん あろりきゃ そわか

琴弾山の中腹にある、琴弾(ことひき)公園内、
2つの札所が、同じ境内に存在する珍しいお寺です。

ちなみみお寺は「かんのんじ」と読みますが
観音寺市は「かんおんじ市」観音寺駅「かんおんじ駅」です。
音声配信の中で言い間違えている箇所があります。
ここで訂正です。

先の奥さんお勧めの境内 たしかにほっこりします

さて、お陰で順調にふたつもまわることができました。
写真のスタンプには14時15分の写真があります。

ちなみにこの68‣69番札所は、
前の67番札所から歩いたら9㎞、
2時間半くらいかかると思います。

急げば間に合う!

と、当初の予定では、この日はここで終わりの予定でした。
おそらくここまでが限界かなと計算していたからでした。
でも、もしや、そのまま鉄道でいけば、
78番札所まで間に合うかも、と、ふと思い立ちまして、
即、移動を開始しました。

ともあれ、また観音寺駅まで戻りまして、
そこからまずは、一気に博多までの乗車券を購入しました。
これで次のお寺70番札所の最寄り駅の
宇多津駅でも乗り降り自由になります。
こういう所はJRは助かります。

そして、急いでいますから幸いなのですが、
丁度列車がすぐきてしまいました。
というのは、こちらは残念ながらです、
せっかくまた例のパン屋さん
ウィリーウィンキーがあったのに買う時間がない、
そのままホームに駆け込みました。

観音寺駅発15時19分、宇田津駅に16時11分着
そこから徒歩15分、約1.2㎞です。

門前は古い町家風の街並み、
とってもおちついた上品な雰囲気でした。

するとそのうちの一軒から
お上品なおばあちゃまが出てこられました。
ご挨拶だけだったのですが、
とっても印象にのこる方でした。
背筋もすっとのびて、白髪を綺麗にまとめている
憧れてしまう、お手本にさせていただきたい女性でした。

そしてこの参道の雰囲気、このおばあちゃまの感じ、
それはこの後に着く、次の札所のイメージと
ピッタリ一致した感じがしたものでした。

ついたのは

第78番札所 仏光山 広徳院 郷照寺

(ぶっこうざん こうとくいん ごうしょうじ)
宗派 八十八カ所唯一の 時宗
本尊 阿弥陀如来
創建 神亀2年(725)
真言 おん あみりた ていせい からうん

これについては、改めてお話したいのですが
この時宗という宗派は、
鎌倉時代に興った浄土宗の一派、開祖は一遍上人です。
実はわたしは、この方がまた大好きなのです。

一遍上人は、阿弥陀仏を御本尊として、
盆踊りの起源ともいわれる念仏踊りで全国行脚した
遊行上人(ゆぎょうしょうにん)」
捨聖(すてひじり)」とかよばれて
こう説かれました。

「はねばはねよ をどらばをどれ はるこまの 
 のりのみちをば しる人ぞしる」
 
(跳ねたければ跳ねるがいい。踊りたければ踊ればいい。
 春の野をかける若馬(春駒)のように。
 仏法の道は心ある人にはわかるのだから)

一遍上人については、また近いうちに話させてください。

では再びこのお寺に戻りますが、
やはりこのお寺も、このお考えを表すように
とっても素敵で大好きな場所になりました。

御本堂の上には絵がたくさん

歩いたとしたら、前のお寺77番札所の道隆寺からの距離は7㎞程度、
2時間くらいだと思います。

このお寺は瀬戸大橋海がみえてちょっと高台で
どこもすっきりしている、シンプルだけどちょっと粋なかんじ
16時45分に納経がおわり無事17時にはまにあったのですが
時間があるなら庭園があるから
みせてもらったらいいよとおしえてもらて
すこし時間をすごしました。

庭園

でも綺麗に整えられた庭園よりは
わたしは、ただ境内に立っている方が心地よ良いと感じました。
お経をあげている時も、その後も、ずっと海から、
すっと風が吹いてくるのです。

あちこちにいろんな石仏もいらっしゃいます

そういえば、本堂の前でお経を上げた後、ふと、雲辺寺で会った、
先にお話した「態度好きじゃなかったおじいさん」が
言っていたことを思い出しました。

彼は、あの寺はどうのこうのと、あれこれ否定していたのですが
「でも、この雲辺寺までの道は
人も風もなくてよかったよ、とてもいい道だ」
と言ったのです。

多分これには、ロープウェイで来た私に対して
「歩いていないなんて、だめだね」と
暗に示したかった意味合いも含まれるとは思うのですが、
それにしても、つくづくわたしは思ったのです。

わたしは、風も人もあった方が良いと思う

そして境内に吹き抜けていく風が
「そりゃ、そうだよ。気持ちいいでしょ?」と
肯定してくれているように感じたのでした。

風が全身を包んでくれる境内

そして境内だけでなく、納経所もでしたがが、
このお寺は、四国の入り口でもあるからなのか、
何ともいえない解放感がありました。

それははやり一遍上人の踊れという、
そんな教えがあるからなのかもしれない、とも思いました。

この郷照寺さんは、是非、旅行ででも、
もう一度是非よりたいと思う
大好きなお寺の一つとなりました。

納経帳の字も好きでした

さて、これで今回のお遍路旅はおしまい、
丁度納経時間が終わる17時頃にお寺をでまして、
駅までもどりましたが、またもや汗だくでした。

でも今回は前回と違い、
綺麗な着替えを用意していましたから
駅の多目的トイレで完全に着替えました。
日数がすくないと、荷物を少し余計に持って
重さが気にならないから、助かりました。

そして乗車準備完了となったのが17時30分、
岡山までの特急券550円を買い足して
「よし!ここではウィンキーのパンを買おう!」と意気込みました。
が…なんと、この駅にはない…。
セブンイレブンしかありませんでしたので、
仕方ないので当面おやつと
お土産の生醤油を購入しました。

そして宇多津駅17時36分発にのり岡山駅に18時11分につきました。
瀬戸大橋を渡る時はまだ明るくて
夕陽がまぶしいほどでした。

まさにgolden hour となりました

そして岡山からは新幹線にのりかえ
19時12分発で博多着21時。
勿論、岡山駅のスーパーで、ままかり寿司を買いました。

ということで今回はとってもぐちゃぐちゃの順番でしたが
66番から78番札所まで、13ケ寺まわれました。
長くなりましたが、おつきあいいただきありがとうございました。

さあそして次回は、今回の13日後、
いよいよ79番~88番札所、つまり結願まで、
3泊4日の区切り打ち7回目になります。

急遽の決定だったのですが
今回に気をよくして
また高速夜行バスで四国入りしました。

またよかったきてください。

このシリーズの記事はこちらマガジンからどうぞ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?