うつ病禍の失恋

 コロナ禍の中、婚活をしていた。避難されても構わない。こちらには時間があまりないのだ。そう、40代の女性は焦りを通り越して、混乱に近い気持ちで目標も分からず婚活しているのだ。そんな中、珍しく婚活サイト以外で男性と出会った。穏やかそうな40代真ん中の男性である。独身だし、バツすら付いていなかった。そんなにイケメンなわけではないが、寝屋を共にした後に、あら思ってたよりもいい男だわとトキメイタのであった。

 さて、交際してすぐわかったのが、彼は恋愛に対する興味が非常に薄いということ、結婚願望も特にないという事であった。恋愛に興味ないというセリフを相手を目の前にして言えちゃう辺りがかなりASDぽくはあるが。。。まぁ、そこからどんどん歯車は狂いだし、愛情不足で育った我としては、どんどん彼にハマってしまい、もう彼が好きなのか、愛情を十分に与えてもらえないというこの状態にハマっているだけなのかどうかも見分けもつかなくなってしまった。。。このような男性とは過去に2度付き合ったことがあるが、一度目は初めての自殺未遂へ発展、二度目はアルコールの過剰摂取による度重なる錯乱へと陥った。どちらの時も、もともとあるうつ症状がかなり悪化して、自殺企図ギリギリの状態に陥ってしまったのである。三度目となる今回は、アルコールによる錯乱に加え、ここ数年かなり量の増えてしまった睡眠薬のODをしてしまった。。。。酔う度に「私たちはうまくいっていない、別れた方がいい」などと戸愚呂を巻いて別れを切り出すも、泣き崩れて結局別れられない、という事が2度も起こってしまい、その内一度は喧嘩になり彼を叩いてしまった。。。(初めて人を叩いてしまった)。あげくODをしてしまった時などは他の友達が助けに来てくれないからと、彼を呼び出してしまった。。。 そりゃあ振られますよ。「なんか疲れた」と言って振られましたよ。。。。ガーーーン。。ですよ。 振られて10日くらいまでは生きてる心地しなかった。数日は酒を飲んで荒れた。しかしそれからは辛さを思い出したくないという気持ちから、なんと普段よりも行動力が上がるという恩恵を被ることができた。昔から、辛い恋愛が終わるたびに強さを増す気がする。。。。でもね、勝手に増やしましたよ抗うつ剤。医師にも聞かずにね。躁転しちゃったのかと思うくらい行動力が湧いた。心は苦しいってのに不思議なものである。                              ただね、これだけは言える、うつ病を悪化させるポイントを付いてくる相手というのはいるものである。それが私にとっては恋人に愛情を注げない人なのだ。昔持ってしまったボダ気質がつつかれるのか、たまらなく心が不安定になる。正直、別れて良かったと思う。こちらが好きになりすぎている相手というのは、どういう理由にしろ、こちらにそこまで興味が無い場合が多い。DVでもモラハラでもないけれど、それでもやっぱり愛情不足のボディーブローはかなり効く。今までは、精神状態が限界となり別れてきたが、今回の彼は、私がそうなる前に振ってくれた。もしかしたら、それほど冷たい人ではなかったのかもしれない。なぁんて甘いことを言っているからまた傷つく羽目になるのかもしれないが。。。                        うつ病を患っていても、罹患した理由はひとそれぞれ違うし、脆弱性を持ってしまった理由も背景も違う。だけどやっぱり、対人関係に対する過敏さは共通する部分がある程度は存在と思う。だからうまくいかない恋愛は、鬱持ちの私たちにとってはことさら厳しい。ガラスのハートに強めのヒビを入れられるような、そんな感覚。ODして彼を呼んでしまった日、すごく辛いことがあって、仕事を辞めた(というか辞めさせられたのか)。障害者手帳を持っているということを勇気を出して彼に伝えてみた。。。。答えは、無かった。ノーコメントだった。初めて付き合った人に言ってみたが、結果は傷ついただけだった。                         私はこれからもうつ病と共に生きていかなければならないし、抗うつ剤と安定剤と睡眠薬とはまだ縁が切れない。彼との縁は切れてしまったが、毎日、彼からの来ない返信を待つ日々よりはマシなのではとやっと思えるようになって来た。。。。ような気がする。今回の痛い恋愛から学んだことは、人との距離感についてである。これはダルクの女性所長も言っているように、薬物中毒になりやすい人、精神疾患になりやすい人の大きな特徴の一つである、人との心的距離感を測る能力についてである。それは健常者が持つ相手との間のクリアシールド(昨今のコロナで飲食店でよく見かけるアレ)が無い状態で相手と関わってしまう傷つきやすい心である。本来、自分と相手との間には、精神的・社会的な様々なものを挟まなければならない。だが我々にはそれがうまくできない。今回の彼などは、人との間にどれほどの距離があるのか計り知れないのである。そんな強いハートの持ち主にはいつも憧れてしまうが、彼らにはうつ病などどこの世界の話しじゃというくらい理解できないものであろう。お互いに宇宙人のように理解不能なのである。                                とにかく、うつ病持ちの失恋は痛い、絶望の波にまた飲まれそうになるし、薬も増えてしまう。ただでさえ低い自己肯定感がさらにドカンと地に落ちる。こんな時に話しを聞いてほしい。自分のような心理士に、いつものような電話相談で。。。。    

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