中国はサイバー空間での軍事的一線を越えたか?(CSCの記事)

   サイバー空間ソラリウム委員会が2021年3月27日に、中国のサイバー攻撃についての記事を紹介していた。ムンバイの停電事件に関連するものであり、中国のサイバー攻撃と他国の違いを論じている点が特徴である。今後の動向の参考になると思われるため、その一部を紹介したい。

↓リンク先(Did China cross a new red line in cyberspace?)https://www.sundayguardianlive.com/news/china-cross-new-red-line-cyberspace

1.記事の内容について
  ・中国は二次被害を気にせずサイバー攻撃を仕掛けてくる。インドのムンバイの停電のサイバー攻撃の全容は解明されていないが、もし中国の関与が判明すれば、どのような結果になっても構わないという認識を持っていたということになる。
  ・ロシアによるSolarWindsのサイバー攻撃は、情報収集を目的としたものであり、二次被害を発生させないよう注意深く作戦が遂行されていた。
  ・ロシアは2017年のウクライナへのサイバー攻撃でヨーロッパ中に被害を拡大させたことで、経済制裁を受けることになった。このことを教訓として、二次被害を発生させないようにしていた。
  ・中国の行った類のサイバー攻撃は、核保有国にとって脅威である。
  ・中国やロシアなどがサイバー空間で無責任な行動を取らないよう、サイバー空間の規範を確立するよう、サイバー空間ソラリウム委員会が提案した、宣言的ガイダンスを断固として成立させるべきである。

2.本記事についての感想
  中国の粗暴さがよくわかる記事だと思われる。ロシアは情報工作がメインであるのに対し、中国は破壊工作をも含めたサイバー攻撃を行うのである。なりふり構わない攻撃を行うのであれば、サイバー上の脅威だけを考慮するのでは足りず、また防戦のみでは分が悪い。
  そこで、サイバー空間ソラリウム委員会(CSC)は「宣言的政策」の策定を提言している。これは、サイバー攻撃者に対しての報復措置(サイバー上及び実態上)を明示するものであり、攻撃者への抑止効果を目的としたものである。核兵器の場合はその威嚇が理解しやすいが、サイバー空間に関しては想像するのが困難ということもあり、新たな安全保障の枠組みの一つとなるだろう。 
 サイバー空間ソラリウム委員会(CSC)の提言では、中国、ロシア、イラン、北朝鮮をメインの敵国と想定しており、それぞれの国が関与した事件についてもまとめているなど、様々なリスクを考慮している。日本は敵国を名指しするようなレポートを作成しない傾向にあるが、或る程度仮想敵国がわかるようにしておかないと、対策の軸が定まらないのではないだろうか。(CSCの最終報告については、機会があれば紹介することとしたい。)

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