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イノベーション及び競争法(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Konstantin KolosovによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/kkolosov-2105326/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2030266

 ヘリテージ財団の2021年5月19日の記事で、上院での中国とのイノベーション競争に関する法案について取り扱っていた。ヘリテージ財団ということで、厳しめの見解を述べているが、これは日本に影響する法案でもある。今回は、その一部を紹介させていただく。

↓リンク先(The United States Innovation and Competition Act)https://www.heritage.org/asia/report/the-united-states-innovation-and-competition-act

1.本記事の内容について
 ・米国上院で、5月17日から、イノベーション及び競争法の審議が始まった。本法案は、中国との競争上の課題に対抗するための6つの法律の束ね法案である。
  2,000億ドル以上の予算案となっており、半導体に520億ドル、研究開発、国家科学基金、エネルギー省にも多額に予算を投じている。また、国家科学起因及びエネルギー所主導による、10の重要な技術分野のリスト化も含まれている。
 ・中国の5Gに対抗するべく、オープンRANを推進する予算も含まれている。これは経済面よりも安全保障面を意識したものである。
 ・外交面でもインド太平洋地域への支出を増額することが提案されており、中国の影響力工作への対抗措置に対しての基金も含まれている。
 ・サイバー攻撃や知的財産の盗用に関わる中国の組織に対して、新しい制裁を科す法案を提案している。その他、圧政的なツールを中国が輸出できないよう、アメリカの輸出管理について再検証することも求めている。
 ・米中の共同宇宙事業の禁止を延長することが提案されている。その他無人システム、航空機、原子力、宇宙ゴミなどの分野にも前向きな内容が含まれている。
 ・本法案には良い提案が含まれている。米台自由貿易協定に関するビジョンは素晴らしいものであり、インド太平洋地域での外交戦略にとって重要な目標である。
 ・しかし、本法案には民主党的な既得権益や非効率的な政府の介入などの欠点が多い。新たな研究や基金の安全性についての保護措置が十分ではなく、共和党議員から懸念が表明されている。すでに十分な競争性を有する民間部門に多額の資金が投じられているが、これらの分野は政府の支援がなくとも問題がなく、むしろ議会や政府が関与する余地を拡大したいとしか思えない。その他国内の製造業復活に向けて1000万ドル計上されているが、これは少額であり、不必要な予算である。また、なぜかセクシャルハラスメント対策、LGBTの予算も計上されており、中国との対抗には何ら関係がない。
 本法案は中国と関係がないものや不必要な予算を取り除き、より中国への対抗に注力するべきである。
2.本記事読後の感想
  本法案は包括的な内容となっており、多少利権が絡んでいるとはいえ、20兆円相当もの多額の予算を戦略のために割いている。本法案だけでも十分すぎるぐらいの内容ではあるが、本記事は更に踏み込むべきとしている。
ただ、アメリカは単独で中国に対抗しようとしているわけではない。本法案はインド太平洋の同盟国や友好国と共に、つまりクアッドを核とした枠組みで対抗しようとしているのだ。その意味で本法案は日本に宿題を出しているわけだが、日本の対応はというと情けない限りである。防衛省の予算がほとんど増額されておらず、ウィグルの非難決議一つ可決することができない日本の国会には、おそらく小さな法案すら期待できない。言葉では偉そうなことを言う局面はすでに終わっており、クアッドは言葉でものにするものではないことを認識すべきである。こういったことが、衆院選の争点になることを望みたい。

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