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ロシアから北朝鮮へのミサイル技術移転(CSISの記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2692779

 CSISは2023年8月17日に、ロシアのミサイルと北朝鮮のミサイルを比較し、技術移転について検証する記事を発表した。内容は、ミサイル実験の画像を比較し、ロシアから北朝鮮へのミサイル技術移転を概観するものである。北朝鮮のミサイル発射に対して日本政府は遺憾の意を発表するものの、この状況に対して何ら有効な手段を取っておらず、ミサイル開発は進むばかりである。貧困な除法空間から脱却し、真の意味で安全保障問題を考える上での参考として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(The Transfer of a Russian ICBM to North Korea?)

https://beyondparallel.csis.org/the-transfer-of-a-russian-icbm-to-north-korea/

1.記事の内容について
 ・7月25日、ロシアのショイグ国防相は、北朝鮮を訪問し、強 純男 国防相及び金正恩 国防委員長と相次いで会談した。ロシア国防省によると、ショイグの訪問はロシアと北朝鮮の軍事的連携や技術開発協力強化であるとされている。本会談は定期的なものとみなされそうなものだが、問題はロシアがミサイル技術をどの程度移転するのかという点にある。
 ・2023年7月12日の実験で登場した北朝鮮の火星18号は、これまでの液化燃料タイプのミサイルとは大きく異なっており、ロシアのトーポリMと類似している。(図1)

 このタイプのミサイルは、ロシアの支援がなければ北朝鮮単独で開発することはほぼ不可能である。このため、今回の実験をいつものことだと捨象してはならないのである。
 ・ロシアのトーポリMは、水素核弾頭が搭載可能であり、射程距離はアメリカまで及ぶ。北朝鮮は地下核実験で水素爆弾を開発済みであることから、アメリカにもミサイルで核攻撃可能ということになる。また多弾頭型であり、複数の弾頭やミサイル防衛システムを回避する装置なども搭載可能である。更に正確な誘導装置も搭載されていると見るべきであり、誤差は300~400m以内だと考えておくべきだろう。
 ・ミサイルの第一段目は、2022年12月15日の映像分析によると、直径2.2m程度と見られている。北朝鮮の発表によると、第一段目の重量は140トンであり、これは観測された加速度と一致している。また7月12日の実験では、高度6,000kmまで飛翔しており、ロシアのトーポリMとほぼ同水準の飛距離を誇るとみていいだろう。
 ・第三段目のロケットが焼失した直後の高度460~480km付近で筒状の容器が放出されたことも注目に値する。これはミサイル防衛システムを回避する装置と見られており、西側諸国のミサイル防衛のインテリジェンスコミュニティも注目している可能性が高い。(図2)

・火星18号の積載重量は約2,500ポンド(1トン)と見られており、複数の弾頭を搭載することが可能である。7月12日の実験における席さ重量は、1,700ポンド程度と見られている。また積載荷重別の軌道を計算すると、2,500ポンドの場合は11,000km、1,700kmの場合は20,000kmとなる。(図3)

・今回の実験で明確になったことは、ロシアが北朝鮮に核攻撃能力を移転しようとしているということである。アメリカは有事に日本と韓国を防衛する体制を敷いている以上、両国と信頼関係を深めておく必要がある。

2.記事読後の感想について
  北朝鮮のミサイル発射に慣れてしまっているせいか、本件について日本人の危機感が薄いように思われる。現在、固形燃料型大陸間弾道ミサイル開発を重要な目標としており、確実にこの方向に向けて技術開発が行われていると見るべきである。また極超音速のミサイルも射程に入っており、東アジア地域の安全保障だけでなく、アメリカを含むアジア圏以外の国々にも被害が及びうるのである。
  この状況にどのように対応していくのかが日本政府に問われているのだが、遺憾の意を発表するばかりで何ら対策が取られている様子はない。最近サイバー防衛に関して、アメリカから否定的な発言が出てきたことも無関係ではなく、無策の岸田政権に対して不満が示されたと見るべきだろう。   
 ただこのような無能な政権であるにも関わらず、支持率が30%台もあるということが信じられない。日本人が想像以上に愚かだという以外にないだろう。安全保障関係の情報が貧困だと、こういった異常な状況が生まれるのである。早く情報空間を立て直さなければ、日本は再起不能な状況に陥る可能性があるということを強く認識するべきだろう。

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