見出し画像

『アクアマン/失われた王国』とDCEU振り返り

『アクアマン/失われた王国』観てきました。タイトルから期待するとおり、海の中をめっちゃ泳ぎまわります。戦いも海の中が中心となりますし、登場するキャラクターも海にまつわるものが多い。なので美しい海の中でファンタジー要素を入れつつ豪快にドンパチする映画を観たいならこの冬マストな一本かと。

また、今回は前作で敵だった弟オームくんとの兄弟バディムービーとして仕上がっており、海だけでなく陸上での活劇もたくさん用意されています。てか、オームくんのチャーム度が高いです。大雑把な性格の兄貴とは違い、真面目な性格の彼は状況に振り回される役どころであり、ツッコミ役に回ること多数。アーサーに複雑な感情を抱き、ときにうんざりした表情を見せつつも、兄貴がピンチに陥ればちゃんと助けてくれるあたりにギャップ萌えを感じます。最初はヒョロヒョロの状態で登場しておきながら、海水を浴びたら水を得た魚のごとく筋肉ムキムキになって敵をなぎ倒すシーンは笑えましたし、地上生活に慣れていないため陸上での走り方がわからず、左右の手を後ろに伸ばしたままブーンと走るいわゆる”ナルト走り”するシーンなんかも拝めます。なんというか萌えます。彼の天然なチャームにやられる映画です。

また、個人的にそそられたのはクリーチャーのデザインや、メカのデザインで、ややクトゥルフみのある海底人たちの造形や、鳥山明の漫画に出てきそうな丸みを帯び、かつゴツゴツとした重みのあるメカとの戦闘など、視覚的にテンションの上がる部分が多かったです。
兄と弟、兄弟間におけるキャラクターの違いがアクション面でも物語の進行においてもわかりやすく描けていたので、彼らふたりがドタバタ冒険する場面は正直もっと観ていたかったくらい。

まあつまり総合すると弟ポジションのオームくんを愛でる映画です。少なくとも私の中では。
彼が美味しそうにチーズバーガーを頬張っているシーンを観れただけで私は満足。観終わったあとはハンバーガー食べたくなりました。というか食べて帰りました。

最終的に兄と弟を和解させ、「海」に住む者と「陸」に住む者の共生に至るというのは(その過程をもっと丁寧に描けよとは思うものの)、希望を感じる締め方でとても良かったです。
なんでもまずは試してみないとね。オームくんがチーズバーガーを気に入ったみたいにそこから世界が広がることもあるのだから。

さて、というわけで「DCEU」シリーズはこれにて一応完結ですね。次作からはジェームズ・ガン率いる新体制のもと「DCU」シリーズがスタートします。
なので今回は軽くDCEUについて振り返りをしてみようかと。
といってもそこまで熱心なDCEUファンというわけではなく、一応シリーズに連なる作品はすべて視聴済みなのですが、内部で起こっていたゴタゴタや、DCUへ移行することとなった詳しい経緯については誰かに説明できるほど把握していません。
そこら辺の詳しい事情について知りたい方は探せばいくらでも記事が出てくるはずなのでそちらからお願いします。
ここではDCEUのあの作品結構好きだったなあという雑記みたいなことを書くつもり。

と、その前にDCEUについてよく知らないという方もいるかと思いますので簡単に説明を。

DCエクステンデッド・ユニバースとは

「DCEU」とはDCエクステンデッド・ユニバースの略称で、DCコミックスのスーパーヒーロー(スーパーマンやバットマンなど)たちが同一の世界観のもとに存在している設定で、それぞれの作品単体としても成立するが、ときにクロスオーバーすることもあり、全体としてのストーリーを紡ぎ出していくシリーズのこと。

なお、DCEUに含まれる作品は以下の通り。

『マン・オブ・スティール』(2013年)
『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)
『スーサイド・スクワッド』 (2016年)
『ワンダーウーマン』(2017年)
『ジャスティス・リーグ』(2017年)
『アクアマン』(2018年)
『シャザム!』(2019年)
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』(2020年)
『ワンダーウーマン 1984』(2020)
『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』(2021年)
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)
『ピースメイカー』(2022年)
『ブラックアダム』(2022年)
『シャザム!〜神々の怒り〜』(2023年)
『ザ・フラッシュ』(2023年)
『ブルービートル』(2023年)
『アクアマン/失われた王国』(2023年)

以上が「DCEU」に分類される作品です。次作以降は「DCU」というシリーズに変わり、実質DCEUは打ち切りみたいなものなので、今回はこの「DCEU」から私が好きな作品をいくつかピックアップしてみます。

『ワンダーウーマン』(2017)

全体的に暗めの映像にしているのはいつものDCだなあという感じ。でもそれは本作の舞台が第一次世界大戦のころということも関係していて、ある意味雰囲気とマッチしています。さらにワンダーウーマンという華やかで力強いキャラクターを主役とすることで暗くなりすぎないようバランスを保っており、脚本、撮影、俳優の演技と、各々手堅い作りなので、安心して人にすすめられる良作です。

『アクアマン』(2018)

特筆すべきは海の中における戦闘シーンや、その映像美。どうにも暗くなりがちなDC作品の中では少なくともビジュアル面でかなり明るい部類になっています。お話はまあ普通。普通に面白い。でも普通に感じるっていうのは私がヒーロー映画の文脈に慣れすぎたせいなのであって、量産される作品群の中では十分独自の立ち位置を確保できている作品かと。

『シャザム!』(2019)

明るくコミカルなDC映画。"子供が超人パワーを手に入れる"という設定以外は王道のヒーローものなので見やすい。後半の「シャザム!」とみんなで唱えた後が胸熱&爆笑でした。ただヴィランが弱いんだよなあ、シンプルなぶん魅力に欠けるというか。てかこの時点ではヒーロー側が強すぎるのでそっちの方が問題か。

『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』(2021)

映画は編集によってその顔を大きく変えることを潤沢な予算を使い見事に証明した作品。元の版には無かったシーン大量にを追加して物語やキャラクターの背景を掘り下げまくります。
結果としてひとつの壮大な神話世界が形成され、元の版よりも深くDCEUに入り込んで楽しめる出来に。ただし一本の映画として観るには体力を要求し過ぎているし、正直ファン以外が観て手放しで楽しめるかは甚だ疑問。なぜならその後に繋がる要素が配置されてる割にさっぱり活かされていない、いわば"風呂敷を広げた状態"で終わる映画だから(紆余曲折あって出来上がった作品なので仕方ないとは思いますが)。と同時にフランケンシュタインのようなツギハギだらけのこの映画にしか無い魅力もあって、なんとも評価が難しい作品です。個人的にはすごく好き。作ってくれてありがとうザック。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)

ジェームズ・ガンらしい”はぐれ者たちに愛を込めた”痛快バトルアクションコメディ。ハーレイ・クインをはじめとするヴィランたちが大暴れしてくれますし、最後の大ボス巨大ヒトデもバカバカしくて最高。ただしゴアシーンも結構あるのでそこだけは注意しましょう。サメが好きな人なら間違いなくおすすめ。ずーっとバカバカしい映画なのに最後はグッとさせる演出の上手さは流石ですね。

『ブラックアダム』(2023)

痛快なアンチヒーローもの。下手な正義感を振りかざすことなく己の倫理観と、有り余る筋肉で敵をバッタバッタとなぎ払うさまがなんとも気味が良い作品。
ほとんどのシークエンスがアクションで埋め尽くされており、細かいストーリーとかについてははっきり言ってどうでも良いです。そんなことよりドウェイン・ジョンソンの筋肉を見よう!大胸筋だ!僧帽筋だ!肩にちっちゃいジープ乗せてんのかいっ!
日本でもアメリカでもそれほどヒットしなかったため続編の可能性は低そうですが、ミッドクレジットシーンを見て胸を熱くしないDCファンはいないはず。

『ザ・フラッシュ』(2023)

DC版マルチバース・タイムトラベルヒーロー映画。OPの激速アクションから最後までテンションが高く、コメディも満載な快速仕様。DC作品のファンにとってはイースターエッグもてんこ盛りで、一度乗ったら終点まであっという間の多元宇宙の旅へと連れて行ってくれます。
フラッシュの爽快で何でもありなアクション、ガジェット盛り盛り・近接戦も得意なバットマンの戦闘シーン、空中戦とパワーを同時に味わえるスーパーガール。それぞれ違った迫力と楽しさがあり、カオス感たっぷりな分、主人公バリーの心の成長に帰結する脚本もわかりやすくて好い。
シリーズ最高のバイブスを味わいたい方はぜひ。

以上、
こうしてみるとDCEUは後期になるほど好きな作品が増えていった印象。
ただ供給が多すぎたり、劇場公開だったりドラマシリーズとしての配信だったり、メディアが変わってしまうとよっぽどのファンじゃないと付いていくのは無理なのだと思う。マルチバースは楽しいけれどコアなファン層以外は置いてきぼりにする要因だし、まあ難しいよなと。
でもMCUとは違った色合いの良い作品もたくさんあって楽しかった!ありがとうDCEU。
DCUはどんな感じになるのだろう。観てみないことには何とも言えないし、今は待つのみですね。

この記事が参加している募集

おすすめ名作映画

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?