【詩】虫歯
虫歯を削るとそこから夢が出てきた
譲れない思いはない
変えられない未来も
望んだ結末もそこにはなかった
それなのに
哀しくて
寂しくて
腹膜の下、空洞が吹き荒んで音を立てる
夜しんしんと積もる雪は
窓越しにしか見ることはできない
直に受けていたら
痛くて寒くて死んでしまうから
鉄格子越しに見る
クジャクやインコと同じ理屈だ
そう
要するに勇気がないのだ
だから私は夢を諦めた
それなのに
あの日空いた穴だけが
未だキリキリと痛んでいる
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