県費補助要望?PWJの資金繰りに懸念 困惑する神石高原町議会


情報公開シリーズ番外です。2018年12月12日 神石高原町議会質疑応答を抜き出してみました。
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の資金はふるさと納税寄付が頼りです。しかし、広報に巨費を投じる半面、設備や人員確保は後手に回って狂犬病予防法違反や動物愛護管理法違反など法令違反を繰り返しています。そしてふるさと納税ブームも一服し、寄付も減り始めています。町役場はふるさと納税の寄付のうち町の取り分を5%から2%に削って、PWJなどNPO側の取り分を増やす制度改正を行うなど、あの手この手でPWJ支援を考えています。何千という数のイヌを抱えて経営が行き詰まっては地元も困るので、県にもPWJに資金協力させてはどうかという意見さえ飛び出しているようです。

以下、議会でのやり取りです。

Q 木野山孝志議員 このたび福山北署などは,犬殺処分ゼロを目標に事業展開を行っている町内NPO法人ピースウィンズ・ジャパン関係者を狂犬病予防法及び県動物愛護管理条例違反の疑いで書類送検した。これは福山北署が主語じゃけね,したと報道されました。報道によると,ピースウィンズ・ジャパンは,本部を置く広島県神石高原町へのふるさと納税での寄附を活動資金の一部にしている。17年度だけで2万件以上から5億円を超える寄附を受けている。町関係者は寄附を受けて活動する以上,責任がある。法律を遵守した適切な飼育をしていただきたいと,健全な活動を求めるというふうに報道されました。この町側のコメントについては,あくまでも適切な飼育をしていただきたいとの希望的要望のようで,私にはちょっと他人事のように聞こえると思います。この案件に対して,町としてどのように対処されたのか,また今後どのように対応しようと思っておられるのか,お聞きをいたします。

A 入江嘉則町長 ふるさと納税交付金の使用についてでございますが,ピースウィンズ・ジャパンの書類送検に対して町の対処と今後の対応というご質問ですが,今回の書類送検では特定のNPO団体が,ピースウィンズ・ジャパンですけれども,過去の一時期に狂犬病予防法や広島県動物愛護管理条例に抵触する事項があったことに対しての送検であるというふうに報道から情報を得ておるところです。
 ただし,その事項が発生した以降,その団体は県及び町の指導により,業務改善を行っております。また,指導権限を持つ広島県においても再三何回も巡視や指導をしており,現在では動物の飼育状況に問題はないと判断をし,本年7月以降,動物の譲渡を再開をしているところでございます。先日の書類送検をされたことに鑑み,本町でも再度その団体に対し法令遵守の徹底と緊急時の危機管理マニュアルの作成などを指示しているところでございます。
 本町といたしましては,本町が目指す動物に優しいまちづくりに共感し,殺処分ゼロに取り組むNPO団体の活動に対し,過去の一時期にあった不適切な事案をもって,支援を行うことが不適格な団体であると結論づけることは,この取り組みに共感をし寄附をいただいている全国の方々の思いも考えると,そういう不適格な団体であると結論づけることは適切ではないというふうに考えております。これは,町の考え方です。
 したがって,これ以降は今まで以上に適切な飼育を行うように広島県とも連携し,指導,助言を行うこととし,ふるさと納税は今後も継続していくこととしておるところでございます。

Q 木野山議員 再三,私は決算のたびにもう何度もやっておりますが,そのように使っているかということを状況把握してやっとるんかと,監査も入れとるんかということをずっとお聞きをしてきました。今年の9月の質問の段階においては,そういうことは見ておって,資料,会計帳簿等もいただいて,監査をしておると。監査委員さんの監査はまだしてないというふうな答弁だったというふうに私は思ってるんですよ。ですから,最初のころは大まかな資料しかなくて,全体の貸借対照表ぐらいの全国に提示されてるものぐらいしかもらっておられなかったけども,だんだん言ってるうちに,細かい犬の関係の書類等も今は担当課がいただいて指導してるというふうなことでございます。
もう一個私がつけ加えたんは,公序良俗に反しないようにうまくやって,迷惑をかけないように使ってるかどうかも一緒に含めて監査というか,見てほしいということも重ね重ね言っておりました。そこら辺は問題ないんじゃないかなと,そんなことは寄附者の方の考えなんで,その寄附が多いか少ないか,そういうふうな答弁もあったかなと思って,今自問してるんですけども。そういった意味で,町のほうは,まずピースウィンズ・ジャパンのそういった活動に対して,この活動交付金を交付してるんだという意味で,そういった指導とか監査のような調査とか,どの程度されてきたのかというのは,再度ちょっとお答えいただきたいと思うんですが。

A 入江町長 当初は議員おっしゃられるように,その組織の全体の会計の報告を受けていたのかなというふうに私も思ってるんですけれども,徐々に細かいところまで出していただくような実績報告ですね,そういう様式にもなっておりますし,監査につきましては,町の監査のほうも先般入っていただいているようなので,そこは報告も適正にということだったと思います。ピースウィンズ・ジャパンも今回の報道があって,ホームページでこういうふうに活用しているというものもアップをしてますから,それで確認できるのかなと。今までの経緯については,年に1回,多分監査が実績報告を受けてたんだと思いますけれども,それと動物の飼育の指導というのはまた別な話だと思うんですけれども,そういうことです。

Q 木野山議員 私が気になるんは,今2,500頭ぐらいおるというふうに書いてあるんですけど,どんどんどんどん全部引き取っておると,譲渡数が毎月50から60,譲渡してますということでございます。ですけども,譲渡数以上に引き取るのが多いんかなと思って,だんだんだんだん増えていくので,厳しくなって,犬舎も増やさなくてはいけない,増やしていったらお金が足りないんで,寄附ではちょっと賄えんようになってくるよとか,いろんな人手も足りなくて難しいよというふうな状況が出てきてるんではないかなと思うんですよ。そこら辺のところはもう把握されて,もう大丈夫だというふうに今,町のほうは判断されとるんですかね。今どのくらいおるかってこともご存じなんですかね。

A 入江町長 今2,600ぐらいだと私は認識をしてますけれども,もちろん一つ基本的な考え方として,前牧野町長のときから殺処分ゼロの取り組みをやると,県も何年前ですか,県もそういう殺処分ゼロをやるということで,その取り組みが今進んでるわけですね。その取り組み自体は間違いないと私は考えてます。
 それと,今回の書類送検と今のふるさと納税とは別の問題だと私は思ってるんですね。ふるさと納税は犬の殺処分ゼロに共感をして寄附をされてる。もちろんそのお金を使ってますけども,管理の部分というのはもちろんピースウィンズ・ジャパンがやってることなので,そのお金があるから,なかろうがちゃんと管理はしてもらわなきゃいけないんですね,もちろん。ですから,いっときに犬が県からどんと来て,その二つの案件で書類送検されたということはありますけれども,7月3日でしたかね,広島県知事も確認をしたけど,今は問題ないから譲渡を再開するということで,6月でしたかね,7月に記者会見をされて,だから問題になったときからすぐ調査に入って指導もして,短時間で改善できたということで,7月3日からは譲渡を広島県もやってるんですね。
 最近,私もいろんなマスコミの報道とかがありましたから,広島県の健康福祉局長も含めて県との話もしました。課長も一緒に行って,話もしたこともありますけれども,県の考え方とすれば,今いろんなところの譲渡先も県も探してるということがあって,今がピークだというふうに県も認識してると。だから,これからどんどん減っていくだろうと。ある県内の町が野良犬をどんどんとってるんで,そこら辺もあるんだけども,今がピークだというふうに認識をしてると。ピースウィンズのほうも犬舎のほうを拡大をして,うち以外ですよ,今模索もしたりしてますから,これから徐々に譲渡センターも増えていく,入ってくる犬も減ってくるということになってくるのかなと。県との話の中でそういうふうに考えてるというところです。ですから,理解してほしいのは,基本的な考え方と今のこれからの犬の動向というとこは理解をいただきたいなと思います。

Q 木野山議員 殺処分ゼロの取り組みは,これはすばらしいことなんで,これは全国に発信していくべきことだろうというふうに私も思います。ですけども,そういう環境になかなかならないのが現実なのかなと思うんですよ。収入のあれを見てみても,ピースウィンズ・ジャパンさんの収入のところに県からの収入というのはないですよね。上がってないということは,県の施設から引き取ってるのに,引き取り料も何ももろうてないんですよ。自主的にピースウィンズ・ジャパンさんが全部あそこから持って帰っとるんですよね。
県もおかしいな思うんよ。自分の殺処分ゼロの施策は県の施策でしょう。それをピースウィンズさんが引き取るのに一銭もお金を出してないですよね,それ見たら。収入が上がってないんじゃけ,出てないんでしょう。ということは,何もかんもそこに丸投げみたいな感じになってますよね。ですから,そこらも町のほうも県の担当の方と一緒にもう少し改善策というのか,考えていかないと,もうどんどんどんどん太っていったら,いずれにしてもこれパンクするというか,犬舎をもっともっと建てなくちゃいけないとかとなったりして,いろんな面で週刊誌等に書かれたようなことがまた発生する可能性もないでもないと思う。
今,町長は少なくなる可能性があると言われましたが,それは一緒に取り組んでいかないとできないと思うんですよ。ですから,殺処分ゼロの分については,個人の人がそこへ犬を捨てちゃいけない,全部最期まで飼わなくてはいけないという規定がずっとあって,僕も調べましたけども,最終的には犬を捨てたらいけんのんですよ。ほんまに病気になって,どうにもならない犬とか,そういうあれが野犬ですよね,野良犬,そういうもんを引き取っとるんですよ,県のほうはね。ですから,そういう犬はなかなか譲渡にまた向かない,病気になったものはまた譲渡できんですからね。そうすると,どうしてもそれは何とかせないけないというので,殺処分ゼロといっても,なかなかそこまで追っつかないということになるわけですよ。それを全部ピースさんが引き取ると,そこでまたどうするかという問題が発生するじゃないですか。ですから,そこらは一緒になって考えてもらわんといけないなと思います。
 それと,ちょっと今気になったんですけど,ふるさと納税とピースウィンズ・ジャパンの活動は全然違うんだから,犬の殺処分ゼロの取り組みは,それはピースウィンズ・ジャパンさんでやって,それでふるさと納税はどうこういうんだったら,別に考えにゃいけませんよというふうに今町長は言われました。間違いないですね,言われたでしょう。ということになれば,今回5%を2%にしました,手数料を。あれと補正予算のときと説明がちょっと違うかなと思うんです。
もう時間は5分しかないんですけど,そこら辺のとこも考えながら,僕はいろいろ考えたんですけど,先ほど言われた町のこれからの対応というのは,支援を行うことが不適切な団体であると結論づけることは適切でないというふうに言われました。こういうふうに結論づけようと僕がしてるんかなというふうに思われたんかなと思って,ちょっと思ったんですが,そうじゃないんですよ。ですから,そんなことは思ってないんです。ですけども,本当にふるさと納税の制度として補助金としてつくったこの条例の部分と,それから先ほど言われたピースウィンズ・ジャパンさんが取り組んでる犬殺処分ゼロの取り組みとは,やはりちょっと切り離して考えてもらわんといけない。にもかかわらず,5%を2%にしたというのんと,今ちょっと矛盾しとるかなと思うんですよ。してないですか。そこらはどうですかね。

A 入江町長 切り離してというのは,今の書類送検のことと,ふるさと納税のことを私が言ったことですね。それは,殺処分ゼロの取り組みに共感をして寄附をされてると,それはもちろん財源として今の犬を飼ってるわけですね。でも,その犬の飼育の関係とふるさと納税というのは別の問題なんですね。ふるさと納税が例えばなくなれば,犬の管理は適当にするよとかというような問題ではないということなんですね。もちろん今回の書類送検のときも,いっとき増えたからそういう事件が起きたということで,それが直接ふるさと納税を犬の殺処分ゼロの取り組みはやめるということではないよということで答弁を申し上げたんですけれども。
 2%と5%の問題ですけれども,それは今出てきたことではなくて,当初もうふるさと納税は長くやってますけれども,当初に3千万円から5千万円,多くても1億円かなというところで実費を計算したら,金額にして5%ぐらいかなということで5%に設定してたんですね。今はもう3年ぐらい前から何億円にもなってきて,額が金額にすれば増えてるんですね。これはちょっと寄附者の意向に沿わないんじゃないかということがあって,ずっと考えたんです,下げることというのは。で,今回こういう報道もあったりしたんで,今やるべきだろうと,早目にやるべきだろうということで,やったところでございます。

Q 木野山議員 そこらの見解は,2%にしたのは,この間予算も賛同して通したんで,これ以上は言いませんけども,寄附が減ってきて,それ以上に一般財源として使うのは不適切であるというふうなご意見等々あったと思うんですが,これは制度なんですから,補助金の制度なんですから,この5%というのはもう変える必要はないなあと僕は思ってたんですよ。一般財源でも使っても十分いける,これはふるさと納税という制度なんですから。あくまで交付金なんですから,そこのところは間違わないようにされたらいいなと思います。
 ピースウィンズ・ジャパンさんも,ここに私たちは過密になるぐらいなら引き取りを制限すべきだという意見も聞きましたが,引き取りをやめた瞬間,犬たちがガス室に送られ,殺されてしまうと。ですから,できるだけそういうことが起きないように,全部引き取るんだというふうにしっかり書いてあります。ですけども,ガス室に送らざるを得ない犬もやっぱりいるわけですよ。病気になった犬とか,どうにもならない犬とか,野犬のどうにもならない,そういう分まで全部引き取るのはどうかなと思うんですよ。
ですから,そこら辺のことを考えながら,うまくご指導いただいて,この犬殺処分ゼロという発信は東京都と広島県だけですからね,やってるのは。ですから,そういった部分で大いに宣伝というか,町の価値も高める活動だと思うんです。殺処分ゼロは非常にとうとい活動です。ですから,それが公序良俗に反したり,地元の住民に迷惑をかけたり,そういう施設にならないように,これはしっかり指導していただくということが大事だと思います。ひとつよろしくお願い申し上げ,もう時間がないんで,もっともっと言いたいんですけど,終わります。ありがとうございました。

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