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【ネタバレ有】シャニアニ第3章初回視聴後感想

 1月5日(金)、アニメ『アイドルマスターシャイニーカラーズ』劇場先行上映の第3章が始まりました。こちらも初日から鑑賞して参りました。まずは関係者の皆様お疲れ様でした。

 最初に言っておきたいのは、いろいろと不満を覚え手放しで褒められない点はあるにしても、良かった。制作側への敬意をもって基本的には良かった点を挙げていきたいところですが、良くなかった点も挙げねばフェアでないため、必要に応じてネガティブと取られかねない評価も記載します。

 第3章の、そして1話からの全体的な感想としては、本作は全アイドル(ユニット)の魅力を12話使って存分に見せるというより、やはり主人公となる真乃(及びイルミネ)の成長を中心にシャニマスの雰囲気を表現しようとしたのだと理解できます。
 過程や方法は違うが仕事やレッスンを通してユニットのメンバーと共に成長していく、その姿を最もストレートに体現しているのが真乃とイルミネであり、それこそがシャニマスの核となっている部分だと言えるでしょう。そういう意味で、シャニマスらしさは見れたと思っています。ただ、第2章の感想でも書きましたが危機的状況やライバル的存在がそもそも無いため、「普通の」シナリオであれば当然あるはずの起伏が弱くなってしまう、しかし無理にそれを追加するとシャニマスでは無くなってしまう…という点は致し方ないと納得はできます。

 第1章・第2章と同様に各話ごとの感想、そして最後に総評を記載していきたいと思います。これ以降は思いっきりネタバレを含みますのでご注意ください。



 なお第1・2章を見た時の感想はこちら。



第9話

 あらすじ:
 プロデューサーから16人のセンターに立ってほしいと伝えられるが答えを保留する真乃。灯織やめぐるに背中を押してもらったり、個人での仕事は増えたがユニットで行動する機会が減ったようなアンティーカの様子を見て、みんなの力になれるのならという想いからセンターを承諾する。また、プロデューサーは新曲『Spread the Wings!!』を用意し、1stライブで初披露するかアイドルたちに問うが、真乃が率先してやりたいと声を上げる。

  • 真乃ソロの『ツバサグラビティ』は何故か涙腺に来る。もう真乃(とイルミネ)が何を歌っても泣いてしまうのかもしれない。

  • イルミネの『ツバサグラビティ』を聴いたときのシャニPの「16人のステージが見えた気がした」という台詞、いいシーンのはずなのにミリア二の集団幻覚を思い出してしまう。

  • アンティーカは感謝祭コミュ途中の状態であることが咲耶の発言から分かる。疲れからかイルミネにぽつりと感傷を漏らしてしまうが、心配させないようフォローしておくのも咲耶らしい。

  • センターを引き受けてくれるかどうか確認しようと呼び出したとき、圧迫感を与えないよう90度の位置で座るシャニP。正しい。

  • やはり『StW』は使うよなぁ。ある意味安心した。

  • 花火大会を見に行こうと言っていたのに、新曲でそれどころではなく盛り上がって忘れてしまった様子。打ち上げ花火の光景と各アイドルの心境がシンクロしているかのよう。

第10話

 あらすじ:
 『Spread the Wings!!』の1stライブでの初披露に向けた2日間の合宿。ユニットを越えプロダクション全体での協力と交流を通し、ダンスは一応の完成を見て、1stライブに向けた一体感も高まっていく。真乃はひとり物思いに耽ることもあるが、センターとして皆の前では元気に振る舞う。プロデューサーは1stライブの構成を考えているが、プロダクション全体としてのユニット名をどうするか思案する。

  • アイマスのアニメではなぜか恒例の合宿回。シャニで合宿といえば『五色爆発』だが、合宿するならそのときと同じ学校で行うというのは妥当な判断。

  • ロケ地は群馬県みなかみ町の「さる小」(猿ヶ京小学校)。ロックハート城といい、群馬に聖地が生まれたのは縁がある者としては嬉しい。

  • はづきさんのStWアカペラが聴けるとは。さすが山村さん、上手い。はづきさんがボーカルレッスンも担当してる事実に説得力が増す。

  • 合宿の晩飯といえばカレー。智代子が隠し味として大量のチョコを投入するネタもありつつみんなで料理をする何でもないシーンだが、MOIW2023の後にあってはスパイスの名前を叫ぶお兄さんの姿が脳裏をよぎる。

  • イルミネが川の字で寝ている場面、めぐるが真乃にダイブするところで俺は最高に気持ち悪いオタク顔をしていたに違いない。

第11話

 あらすじ:
 283プロダクション1stライブ開幕。もはや初ステージのときに震えていた姿は無く、ユニットとしてもプロダクション全体としてもセンターとしてしっかりと立つ真乃。各ユニット曲の披露の後、全体曲の歌唱のため全員がステージに上がり、283プロダクション全員で構成するユニット名として「シャイニーカラーズ」と名乗りを上げる。

  • 予告を見て予想していたとおり、各ユニットがBrilliant Wingシリーズの2曲を(ダイジェストだが)披露。通しで見たい気持ちもあるが、全曲そうするわけにもいかないのでこれはこれで問題ない。

  • やはり果穂の動きが凄まじい。放クラは個人ごとの動きの違いが大きく「らしさ」が出ているのでよく見たいのだが、初見だとどうしても果穂の動きに目を引かれる。

  • キャストが実際にライブでやっているというユニットごとの円陣をアニメでも描いてくれている。ステージ上の姿は断片的で、こういう舞台裏での動きを多く描いていることにより開催者側の視点感がある。

  • 曲終わりとか随所で聞こえる「ウオオオオオ」っていう男の歓声がやたら耳につくな……

第12話

 あらすじ:
 1stライブの最後で『ツバサグラビティ』を、そしてアンコールでは『Spread the Wings!!』を初披露。今までのアイドル活動やレッスンなどが凝縮されたようなステージとなり、無事成功して盛況のうちに終える。ライブ後もそれぞれ仕事をし、打ち上げのように全員でピクニックをし、その中で続いていくアイドル活動への期待に胸を膨らませる。

  • 『ツバサグラビティ』歌唱時に怒涛の思い出ボム、ちょっと多すぎるのでは。TVで毎週見続けた後だったら味わいが変わるのかもしれない。

  • ユニットごとの挨拶まであるとは。やはり現実の1stライブをこの世界の中で再構築しようとしたということか。

  • 真乃が「会場の景色が星空みたい」と言ったところで、ライトを落としてよく見せてあげる照明さんの計らいが余りにも粋。

  • 『StW』でも追い打ちの思い出ボム。いやさすがに多い。

  • 数年前から数えきれないほど聴いている『StW』も、このストーリー展開の中で聴くとまた新鮮さを感じる。いい曲は色褪せない。

  • ラストでまさかのピクニックバスケット、かと思いきや特にコミュ的な関係は無いらしい。

  • ED後。ストレイライトとノクチル……まで!?じゃあ2期ではこの2ユニット加入まで、3期でシーズとコメティック加入というところまで決まってる…ってコト!?

第3章感想まとめ

 合宿回を経てからのライブで最終回という、アイマス定番の流れ。しかしライブパートをしっかり見せるというよりは舞台袖での様子やアイドル達の歩んできた軌跡にも焦点を当てているという点で、観客視点だけでなくアイドルの視点に寄り添った演出にしようとしたのかと思います。
 第3章では明確に真乃を中心として描いており、自身の成長により秘めた輝きを徐々に強めていくその姿がシャニマスを象徴しているという認識を改めて持ちました。

 映像に関しては、ライブパートに限らず顔に寄った画が多い。3DCGである利点の1つは高カロリーのライブシーンが(手書きより)作りやすいということにあると思っているのですが、ここまでアップや回想で薄めてしまっては「ライブシーンが凄い」という印象にはならない。目指しているところがそこではないということでしょうが、否定的に見るならばしっかり見られると粗さが目立つので何とか誤魔化しているのだろうと邪推されるのも否めません。

 やはりストレイライト以降も入れた2期があるというのは予想していましたが、2期ではストレイとノクチル加入を描くということでしょうか。加入の話をやるなら結構時間使わないといけないし、シーズとルカは激重だからまずはこの2ユニットで区切るというのは妥当でしょう。


総評

 第1章~第3章まで観ての総評。全体的に展開の起伏は少ないが、主人公として設定された櫻木真乃の心情を中心とした成長を描き緩やかに盛り上がっていくような構成。原作準拠のコミュをベースとして大きな矛盾が生じないようなアニオリ展開を組み合わせ、「シャニマスらしさ」を崩さずアニメの世界観を作り上げていた。
 その分、他のキャラクター及びユニットは当番回以外に中心となる出番が無く、個別のパーソナリティの掘り下げに至っていない。当然12話でそこまで描くのは不可能なため、こういう形にまとめたのは十分理解できる範囲ではある。「プロデューサー」はアニマス・デレアニ・U149や原作ゲームと比べれば存在感は弱いものの、断片的に見えたシーンからプロデュース・マネジメント・営業・対外交渉など見えないところで相当動いている様子が察せた。
 キャストの演技に関しては改めて言及する必要を感じないほど何ら違和感が無い。5年以上演じているキャラクターであり、自身もレッスンやライブを積み重ねて同じような経験をしているからか各シーンでの説得力のようなものを感じる。
 BGMはフィルムスコアリングで作られているそうだが、心情描写を中心とする構成のため手法としてはマッチしている。ただ、展開自体が動的ではないため全体的に落ち着いた曲調となり、起伏の少なさにより拍車をかける要因ともなってしまっている。とは言え、実際に各シーンとBGMが符号しているのは感じられた。無理にBGMで盛り上がりどころを作っても不自然なだけなので、曲自体が良くないというわけではない。
 また、その手法のため映像を先に作る必要があったためか、現時点の3DCG技術のためか、キャラクターの造形や動きには不自然さや単調さ(及びそれを隠すかのようなアップ、遠景、大きなカメラワーク)も見られた。手書きとは比べるべくもないが、16人全員が映るダンスの場面に限らず日常の仕草まで含めて個人ごとの細かい動きの違いにより特徴を表現しているのは3DCGの強みとも言える。

 個人的には傑作とは言えないまでも及第点だと思うが、しかしその起伏の少なさ故にTV放送では視聴者から容易に切られ得る。ただでさえ同時期には鬼滅・無職転生・このすば・転スラ・ゆるキャン・ユーフォニアムなどのシリーズがあり、ファブル(高橋良輔監督)などもある。注目されていない作品が当たる可能性も十分ある。その中ではあまりにも厳しいと思わざるを得ない。

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