見出し画像

建物を解体し譲渡所得が最高3,000万円控除となる実例

相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。

私は、不動産屋、相続診断士の立場として、上記の実務経験できたので、わかりやすく解説します。

ご相談いただいたお客様は土地建物の遺贈を受けました。土地上にある建物は、昭和56年5月31日以前の建物だったため、解体か、耐震工事をすれば、譲渡所得税の控除を受けられそうです。お客様と一緒に私が信頼している税理士の先生に相談し、控除を受けられるかどうか確認していただきました。

税理士の先生曰く、要件を満たしているとのこと。

要件を満たすためには、家屋及びその敷地等の条件は、大まかに3点あります。

①相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと

②相続の開始の直前において当該相続又は遺贈に係る被相続人の居住の用により当該相続の開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていなかった場合における当該特定事由により居住の用に供されなくなる直前の当該被相続人の居住の用に供されていた家屋であること

③相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかったこと

これらの条件を満たしていることを確認できたので、物件所在地の自治体である千葉市に「被相続人居住用家屋等確認書」を交付してもらいました。

この確認書を確定申告時に税務署に提出することになります。

上記、確認書を交付してもらうためには、下記の書類や写真が必要と役所からは言われたので、不動産を販売する前のスキームを決めた時点から、役所に必要書類を確認しながら進めた方が安全です。条件が揃えられなかった場合、譲渡所得税がそのまま課税されることになります。特に、下記の太字は要注意です。
・被相続人の除票住民票の写し
・相続人の住民票の写し
・売買契約書の写し
・電気、水道又はガスの使用中止日(閉栓日、契約廃止日等)が確認できる書類
・当該家屋の現況が空き家であることを表示して販売広告していることを証する書面の写し
・解体前、解体後の写真

などを申請書に添付して交付を受けることができました。

詳細はこちらでご参照ください ↓
https://www.mlit.go.jp/common/001396931.pdf

流れとしては、
不動産の査定及び3,000万円控除が利用できるかの確認 → 不動産の販売 → 役所に必要書類の確認 → 購入希望者発見 → 売買契約締結 → 建物の解体 →建物滅失登記 → 不動産決済取引完了 → 被相続人居住用家屋等確認書の交付 → 確定申告に向けて税理士の先生へバトンタッチ

今回の相続、遺贈のお手伝いでは、税理士、動産処理+解体業者、司法書士、土地家屋調査士、建築業者など、多くの士業や専門家の方々と連携を取りながら進めました。

案件を進めるためには専門家のチームワークが大切です。私のネットワークは信頼のできる専門家が揃っていますので、私が安心して、お客様のご相談をうかがい、ご要望にお応えすることができます。

今回のケースは、なかなか実務で経験している専門家は少ないのでないでしょうか?

このnoteをきっかけに、より多くの方に活用いただくことを願っています。

いただいたサポートは、不動産調査に使わせていただきます!