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櫻坂46「Dead end」の中の「continue」

「櫻坂46「流れ弾」に僕が感じた違和感の正体」というnoteを書いた当日にまさか「Dead end」のMVが解禁されるとは思っていもいなかったので、折角なので続けて「Dead end」の感想についても書いてみたいと思います。

前回のnoteの中でも触れましたが、私は欅坂46からの改名という流れを踏まえた上で「櫻坂46らしさ(もしくは「欅坂と櫻坂の違い」)」とは、
・現実的な視点で社会や世界と向き合う
・個人の人生における選択や決意にフォーカスする
と捉えています。

今回もそうした視点に立って櫻坂46の楽曲を聴いた社会人のいちファンが「Dead end」の楽曲をどう受け止めたのかという内容になります。
学生の方々や別の捉え方をしているファンのみなさん悪しからず。

最初の印象は「共感出来る人を選ぶ楽曲」


まず私が受けた最初の印象は「本当の意味でこの楽曲に共感出来る人は少ないだろうな」ということでした。

その理由は、センターの森田ひかるによって表現されたこの楽曲のキャラクターは「自身の選択によって行き止まりに行き着いた人」だからです。

私はMV解禁の前にレコメンで一度音源を聴いただけだったのですが、その時は"今の時勢"(簡単に言うと「コロナ禍」)つまり「自分のコントロールの効かないもの」の影響で感じる「閉塞感」を歌った曲なのかと思っていました。

ただ、MVが解禁されて歌詞をしっかり聞けた時に「あぁそういう曲ではなかったんだな」と笑

ファンの方の中には、森田ひかるのビジュアルの強さから「信号機の上で飴を咥えながら街を見下ろす人物」を格好良い人物として見る人もいると思うのですが、私は全く逆の人物像を連想しました。

「世間を舐めているガキ」

言葉を選ばなければこれだと思います。周りの大人がつまらなく見えたり、街に漂う閉塞感に辟易して、そうしたものから距離を置いたとしても「じゃあ自分の力でそうした状況を変えられるのか」と言えばそうではない訳です。

職質受けても何を答えればいい
親にまで連絡されてそこで詰んだ

もうここまで来ると、世間知らずのガキを通し越して「単なる痛い奴」と思えてきます。だから、この人物に本当の意味で自分自身の経験を重ねて共感出来る人と言うのはかなり限定的なのではないかと思いました。

(因みに少し脱線しますが、そもそも私は「大人と子供の境界線はない」と思っていて「大人は〜」みたいな歌詞についてはグッと来ることが殆どない人間なので、ここの感覚が違ったらすいません。ただ、尾崎豊とかは別枠ですね。彼が曲中で戦った「大人」は「社会や時代そのもの」ですから。)

「Dead end」の中の「continue」

ではこの楽曲は多くの人に響く曲ではないのかと言えば、私はそうは思いません。

その理由はこの楽曲の最も大事なメッセージは、
「行き止まり、ゲームオーバー、もうお終いだ」と思っても「自分の間違いを認めて、もう一度振り出しに戻ることは出来る、やり直せる」
ということだと感じるからです。

MVでも一番尖っていた森田ひかるが行くところまで行った先に「もと来た道を引き返す」というラストシーンが象徴的です。

こうしたメッセージはnoteの冒頭で触れた私が考える「櫻坂らしさ」とも合致しておりすごく好意的に受け止めることが出来ました。

自分の拙い人生経験を通しても、やはり「今の自分の置かれた状況を、自分の責任であると捉える」ことが出来るというのはとても大切なことだと思います。

曲中の登場人物とは真逆の人生(世間に疑いを持たず、安全運転でレールを走る)を歩んだ人でさえ、急に「行き止まり」になるということは今の時代往々にしてあります。誰にでも起こりうるDead end を前に、絶望することなく「continue(もう一度やり直そう)」と思える心持ちというのは誰の人生においても必要でしょう。

さらに、それまで重ねてきた時間が長ければ長いほど、自分の歩んできた道が間違いであると認めることにはすごく勇気が要ります。

だから、あれだけイキっていたクソガキが過去と未来を見つめて、「今どういう選択をすべきか」という場面で、「道を引き返す」という決断をする、その勇気と、成長と、自分の人生を自分の意思で動かす、という部分に痺れる訳です。

テーマもMVも表現も良く、「櫻坂らしさ」も感じられる。
すごく魅力的な楽曲だと思いました。

最後に


楽曲が出る度に思うことが一つあります。
それは、感想が「◯◯が格好良い/可愛い」とか「◯◯の表現力がすごい」というだけの人があまりにも多い。

もちろんアイドルですから、ファンにとってはそれが一番最初に来るのは当然だとは思うのですが。

特にこの櫻坂46については難解なチャレンジをしていると思います。
多くの人に刺さる普遍的なテーマは欅坂時代に相当やってしまっている中で、より具体的な内容に落とし込みながらも「多くの人に支持される」という"本来アンビバレントなこと"をやろうとしているからです。

だからこそ、「この楽曲ってどんなテーマなのか」ということを1回は考えてみて欲しいです。(もちろん、その解釈というのはファンの数だけあって良いと思いますし。)そうしないと「それを表現するための苦労」っていうのが見てもらえていない気がして残念に感じるんですよね。

機会があればまた違うnoteでお会いしましょう。

アディオス!

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