ボタンダウンシャツ考
今日はファッションの話。おそらくぼくが1番所有しているであろうボタンダウンシャツについての考え方を述べてみたい。おそらくこのシャツはこれだけポピュラーなのにちょっと誤解されてる点が多いのではないだろうか。
ボタンダウンシャツのルーツ
ボタンダウンシャツはアメリカのブルックスブラザーズが考案したシャツ。ポロ競技で襟がバタつかないように襟先をボタンで止めていた事にインスパイアされたと言われている。合理的でなんともアメリカらしい発想だ。以来、ボタンダウンシャツはアメリカを象徴するドレスシャツとしてその地位を確立していく。ここまではどこでも言われていることなので次から僕のこのシャツに対する考察を述べていきたい。
ボタンダウンシャツ考
ボタンダウンシャツはビジネスに用いるべきではない。
ボタンダウンシャツはスーツ用のシャツではない。
ボタンダウンシャツにネクタイをするのは誤り。
これらはよくボタンダウンシャツの着用に際して言及されているマナーであるがルーツから考えて本当に正しいマナーだろうか?
ボタンダウンシャツとスーツの関係であるが、ブルックスブラザーズの過去のアーカイブを見るにほとんどスーツに合わせている。もちろんネクタイをして。
こちらはブルックスブラザーズ本国のECサイトにある”Timeless Classics"の特集である。ブルックスブラザーズが提案する「いつの時代も不変的なアメリカンクラシックスタイル」の象徴として用いたこのルック。スーツにボタンダウンシャツ、そしてレジメンタルタイだ。
どうしてスーツに用いてはいけないとか、ネクタイをしてはいけないといった話に飛躍してしまったのか。なぜビジネスマナーとしてNGなボタンダウンシャツをブルックスブラザーズのような歴史と伝統のある企業(創業1818年)が不変的なスタイルとして提案するのか。はっきり言ってマナー講師の方が作ったトンデモマナーの類といったレベルであると考える。
おそらくボタンダウンシャツが生まれた経緯を誤って解釈してしまったのであろう。ボタンダウンシャツがビジネスやスーツに向かないという説の根拠はボタンダウンシャツはカジュアルなシャツだからだと言う。冒頭で述べた通り、ボタンダウンシャツはポロ競技にインスパイアされて出来た襟型である。ルーツはポロ競技→ボタンダウンシャツはポロ競技用→スポーツ用のカジュアルなシャツといった誤解を生んでしまったのはないだろうか。正確にはポロ競技にインスパイアされて開発されたドレスシャツなのであるからビジネスやスーツに合わせるために作られたシャツなのだ。
ボタンダウンシャツのビジネスでの着用に全く問題点がないかと言われればそんなこともないと思う。アメリカの象徴的なスタイルとは言ってもアメリカの象徴たる合衆国大統領が公の場でボタンダウンシャツを着用する画像を見つけることは出来なかった。
この事から公人が公の場で着用できるほど格調がある襟型ではないと言える。一説によるとケネディ大統領が新時代の合衆国大統領としてアメリカの象徴といえるボタンダウンシャツをあえて公の場で起用しなくなったそうだ。だが、一般のビジネスマンが一般的なビジネスシーンで着用する分には全く問題ないのではないか。
ボタンダウンシャツのスタイリング
これからはボタンダウンシャツを使った素敵なスタイリングをご紹介しよう。
ザ・アメリカンスーツスタイルだ。BeamsPlusはもしかすると本家ブルックスブラザーズよりもアメリカらしさを提案しているかもしれない。
先日アメリカ靴で紹介した私の鉄板コーディネート。このスタイルならデニムが少しカジュアルだが、これがグレーのトラウザースになればビジネス着用も全く問題ない。
こちらは打って変わってカジュアルスタイル。あえてアイロンを当てずにカジュアル着用もアリだ。ビジネスからカジュアルまで実にふり幅の広いシャツなのだ。
最近、人気を集めるDrakesは長めの襟先のボタンをあえて外すというテクニックに注目。イギリスブランドだがアメリカの象徴であるボタンダウンシャツの襟ボタンを外すこのテクニックはイタリア式。英米伊のミックススタイルといえるだろう。
長くなったがこれにてボタンダウン考を終了したい。最後にボタンダウンシャツはアメリカントラディショナルを象徴するドレスシャツであるという事を改めて強調したい。スーツ着用は全く問題ない。(というかダメな理由を教えて欲しい)これほどポピュラーなのになにかと誤解されているボタンダウンシャツ。少しでも理解が深まれば幸いである。
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