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【眼科コラム6】緑内障患者にドライアイって多いの?

皆さまこんにちは!
眼科医師の多田です。

今年の夏も信じられない暑さの日々が続いていますね。
まだ当分暑さが続くかと思われますが、体調管理に気をつけながら、この夏を乗り切りましょう。

さて、今回のコラムですが、「緑内障患者には、ドライアイが多いか?」というタイトルにしました。この問いへの答えは「YES」です。


なぜ、緑内障患者にドライアイの人が多いのか?

ただ、厳密にいうと緑内障患者の使う目薬の作用によるものです。
だから、緑内障そのものが、ドライアイを生じている訳ではありません。


緑内障の眼圧を下げる薬は、非常に強力です。
例を挙げると、よく使われる「ラタノプロスト」は、薬の濃度が僅か0.005%しかないのに、1日1回のみの点眼で十分となります。

こんな濃度で影響が出るの…?と思われるでしょうか。。
信じられないほど薬の成分が薄いのに、効果が出るということは、極めて、この薬が強力であるということです。

そのため、ラタノプロストだけ例にとっても、多くの副作用があります。
今回のドライアイですが、緑内障の目薬は、眼の「マイボーム腺」に非常に強い影響を及ぼすことが多いです。

このマイボーム腺というのは、眼の涙が蒸発しないように、特別な油を出します。
この機能が障害されるために、涙が蒸発しやすくなったり、涙の質が悪くなったりします。また、緑内障の点眼薬は、結膜の「ムチン」を産生する細胞も減らしてしまいます。
このムチンも、涙が目の表面にとどまるのに非常に重要な働きを生じています。

✍マイボーム腺について詳しく知りたい方はこちら
https://www.lime.jp/main/product/pdf/booklet-2.pdf


以上により、緑内障の点眼をしていると、ドライアイが悪化します。
ドライアイの悪化により、視野障害が進んだように見えづらくなる影響もあります。

緑内障の治療は、これらとの闘いもあります。
私は、緑内障患者さんを診るとき、常に角膜には気をつかっています。


それでは皆さん、また来月に。
 9月になったら、もう少し涼しいといいなあ。