見出し画像

アレルギー性結膜炎の痒み、放置すると・・・

みなさん、こんにちは。
3月、花粉の季節になってきました。
私の外来にも連日、眼の痒みを訴えて、受診する患者さんが多い今日この頃です。
 
さて、アレルギー性結膜炎で目を掻く、これは、多くの患者さんが経験します。
何人かの患者さんはここで、まあ、痒いの我慢すればいいか、掻いて、しばらくすれば落ち着くしなあ、と考えて放置してしまう方もいるかと思います。
これは正しいのでしょうか?
 
答えはNO!!、ダメ、絶対。映画館によくある感じですね(笑)


放置、すなわち、瞼の炎症の放置です。
これは結膜結石や、眼瞼下垂、眼瞼内反、眼瞼外反、睫毛乱生などで苦しむ事になります。
 
今回は、角膜の変形、円錐角膜についてお話をしたいと思います。
角膜というのは、以前のコラム、前眼部OCTでも説明しましたが、Figure1をご覧ください。角膜というのは、英語でcornea(コルネア)と言います。
 

Figure1(StatPerls 2023)

さて、この角膜ですが、人間の手で眼が痒いと搔き続けると、実は、角膜が変形していきます。信じられない話ですが本当です。
 
そして、究極的には、円錐角膜という病気になります。
 
この円錐角膜というのは、タイプがいくつかありますが、典型的には、角膜の中央部から下方にかけて角膜厚が薄くなり、前方に突出する状態です。これだけ聞いても、よく意味が分からないと思います。Figure2をご覧ください。究極的にはこのような角膜の変形が認められます。勿論個人差はあります。

Figure2(CLEVELAND EYE CLINIC)

当然ですが、角膜が変形すれば、視力にも影響します。角膜は、カメラでいうレンズになります。このように角膜が変形していると、見え方がぼんやりしてしまいます。
 
円錐角膜の見え方のシミュレーションがFigure3になります。


Figure3(Scientific Report 2020)

さて、この円錐角膜の基本情報をお話しましょう。
実は56%が男性患者です。

13.5%が親族に円錐角膜患者がおり、48.2%に目を良く掻くというデータがあります。そして、52.9%に花粉症やアトピーなどのアレルギーあり。14.9%に喘息歴+。アトピーは8.4%にあります(IOVS 1998)

そしてなんと、眠り方にも注意報が。

うつ伏せに寝るとリスクが12.76倍に跳ね上がり、横向きに寝るのですら、3.81倍の発症リスクが上がるという恐ろしいデータが・・汗(Clin Exp Optom 2022)。もはや仰向けに寝る事しか、我々には許されないのか、というデータです。

そのような状況ですが、円錐角膜で見えるようになるには、まずは、特殊なハードコンタクトレンズで角膜の変形を抑える事で進行を抑制し、視力を改善する事ができます。
当院では、前眼部OCTのドックで円錐角膜疑いを発見する事が可能であり、眼科にてハードコンタクトレンズでの矯正も行っております。

最後は宣伝になりましたが、皆さん、視界がぼやけて見えるのは円錐角膜が隠れているかもしれません。
 
それでは、皆さん来月に。ではまた。