見出し画像

【妄想脚本】古畑任三郎vsママタルト3/3

前回・捜査編はこちら!

〈場面転換〉

場面⑨ABEMA本社ビル一階・エントランス。

大鶴と檜原、帰り支度をして歩いている。
檜原、不安を抑えられない様子で、

檜原「じゃあ、古畑は全部見抜いてるってことやないか」
大鶴「大丈夫だよ。証拠は何もないんだ」
檜原「そうかもしれんけど……!」
大鶴「落ち着いてひわちゃん。仮にトリックが見破られたって、ひわちゃんには本物のアリバイがあるんだから」
檜原「粕谷お前……」
今泉「ママタルトさん、お疲れ様です」

玄関を出たところで今泉とふたりの警官が待ち構えている。その後ろには警察車両。

檜原「何やあんたら?」
今泉「(逮捕状を突き付け)檜原洋平さん、署までご同行願います」
大鶴「どういうことだ」
今泉「連れてって」

警官たち、頷き、檜原の両肩を掴んで連れていく。

檜原「お、おい! やめやっ!」

警官たちに引きずられ檜原、車に乗せられる。
それを茫然と見送った大鶴、我に返って今泉の肩を掴み、

大鶴「どういうつもりだ? 檜原が犯人のはずないだろう!?」
今泉「どう、と言われても僕は上司の指示で動いてるだけですから」
大鶴「そうだ、アンタの上司はどこだ? 古畑はどこにいる!?」
今泉「青葉公園で現場検証に立ち会ってるはずですよ」

大鶴、今泉を離して血相を変えて走っていく。
それを見送り、今泉、ため息。

〈場面転換〉

場面⑩青葉公園。

鑑識や機動警察隊は既に引き上げており、古畑がひとり、馬のスプリング遊具に乗って揺れている。
タクシーを降り、走ってきた汗だくの大鶴がやってくる。

大鶴「はぁ……はぁ……檜原を逮捕したのはアンタの差し金らしいな、古畑さん」
古畑「はい。彼には動機があります。ガクさんに百万円近いお金を脅し取られていたようですね」
大鶴「それがなんだ! 檜原にはアリバイがある。7時20分にディレクターが会議室にいるあいつを見てるんだぞ?」
古畑「死亡推定時刻の計算が間違ってたんでしょう。よくあることです」
大鶴「そんな! だいたい、檜原ならボタンを拾うために道具を使う必要ないじゃないか」
古畑「道具? いったい何の話です?」
大鶴「だから!」

大鶴、ジャングルジムを指さす。

大鶴「檜原が犯人なら、道具を使わなくたってジャングルジムに潜ってボタンを拾えるだろって言ってるんだよ!!」

古畑、無言でジャケットの内ポケットからICレコーダーを取り出す。

古畑「今の台詞、録音させていただきました」
大鶴「……どういうことだ?」

古畑、馬の遊具から立ち上がる。

古畑「えー現場の状況から考えて、犯人のボタンがジャングルジムに飛び込んだのは間違いありません。しかし、どうしてあなたがそれを知ってるんですか? 私は『ボタンは遊具の下にあった』と言ったんです。ジャングルジムとは一言も言ってません」
大鶴「それは……」
古畑「ブランコでも、雲梯でも、シーソーでも、滑り台でもなく! どうしてボタンがジャングルジムにあったと断言できるんですか!? ……それはあなたが犯人だからです」

大鶴、左手で顔を覆い、悔しげに息を吐く。
そして力なく笑って、

大鶴「……まんまと嵌められたわけだ」
古畑「あなたに揺さぶりをかけるために荒っぽいことを。お詫びします」
大鶴「古畑さん」

笑みを浮かべたまま、古畑を見据える。

大鶴「……昔ね、真空ジェシカさんが番組で『まーごめ』って言いすぎて、僕の出番の前にまーごめが禁止になったことがあったんですよ。それをずっと恨んでたんです。だから殺した。……檜原は事件には関係ない。それで良いですよね?」
古畑「……参りましょう」
大鶴「まーごめです」

大鶴、古畑に従って去っていく。
無人の公園を俯瞰で撮影し、END

♪エンディング

☆本作をnoteに載っけよう!と思ったきっかけになりました「古畑任三郎脳内脚本note上映会」の先達である「古畑任三郎を語る人」様の作品はこちら!
『ミステリマガジン』2022年5月号さま「カムバック、古畑任三郎」特集にて、古畑に関する記事を書いてる(菊池名義)のでよかったら買ってね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?