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足利市が山姥切国広を購入か?

先日より山姥切国広を足利市が購入して里帰りさせたい、という記事がTwitterにて話題になっていました。
Twitterでもトレンド入りしていたので見ていた方も多いのではないでしょうか。

この2日間この話題で持ちきりでしたが、所有者の方から足利市に対して売却の意向を示した事が今朝の記事から分かりました。
その為今後は取得費用の話になり、クラファンをするのかなどが検討されていくものと想定されます。

所有者の方のメッセージは以下で公開されています。

(画像出典:Twitter @smtk_hayakawa


・一方で炎上も

記事以外から見えてこない情報も多く記事を読むだけでは事実関係が分からない部分も多いのですが、今回炎上に発展した一番の要因は、所有者の方の意向(売却意志)が先に示されたわけではなく、足利市から先に所有者へ購入の打診を持ちかけた事ではないかと推察します。

早川市長は「この刀をぜひとも足利市に里帰りさせたいという思いは、多くの人も私も持っている」と表明。その上で「市と所有者は良好な関係が構築されていると感じるが、寄託や購入となると、所有者の気持ちが何より大事。それを大事にしながら、適切に意思表示をしていきたい」と購入に意欲を示した。(引用元:下野新聞

所有者の方がどのように感じているかは不明だが、昨今のブームを背景に「里帰りさせたい」であったり、「多くの人が望んでいる」などの言葉を市からされているのだとしたらかなりの圧力なり負担なりを感じている可能性もある。
現に今朝発表されたメッセージには以下のように綴られている。

山姥切国広を私達の元で眠らせて置くには存在があまりにも大きくなりすぎていて、正直守りきれなくなってきています。手放すのは断腸の思いではありますが(引用元:Twitter @smtk_hayakawa

足利市は過去に2度山姥切国広を展示しているが、1度目は2017年で30日間の会期で4億円、2度目は2022年の45日間の会期で4億8千万円の経済効果を生んだことから、たった2度の展示で9億円近くの経済効果を生んだ事実があり、一振りの刀で町が活性化した事を体感している。

こうした背景もあり所有者の方に対して無理強いをしているように見えるのも無理はないし、このタイミングで購入の意思を示す行為は今後の足利市の経済効果を睨んでのことと捉えられても無理はない。

因みに足利市が先に購入の打診をしたかについての事実関係は要確認の必要はあるが、記事中に以下とあるので市が先に打診したように見える。

「栃木県足利市の早川尚秀市長は10日の市議会全員協議会で、重要文化財の名刀「山姥切国広」の所有者が、市からの売却要請に応じる意向を伝えてきたことを明らかにした。」(引用元:下野新聞


更に更に火に油を注ぐかのように、足利市の方が以下のツイートをして更に炎上。

所有者の方から売却意向のメッセージを受け取ったのを見て「いい方向に動き始めました」とツイート。
これに対して「どこがいい方向に動いているのか?」という批判が殺到。
確かに足利市にとっては良い方向かもしれません。
刀の保管についても一個人が管理しているよりは公的機関で管理された方が良いかもしれません。
しかしこれは所有者の方が言う事であって、購入意思を示した側がこのメッセージを所有者から頂いたからといって「いい方向に動き始めました」と発言することに対して「いい方向」を勘違いしているのでは?と疑問を呈している人は多いです。

記事内の早川市長の発言を見ても「「この刀をぜひとも足利市に里帰りさせたいという思いは、多くの人も私も持っている」と表明。(引用元:下野新聞)」とありますが、多くの人が里帰りさせたいというのは何を根拠に言っているのかは不明です。
少なくとも私が色々な方のツイートを見てみた限り「所有者と山姥切国広を引き離す事は望んでいない」という声がかなり沢山見られます。
そして現状のまま刀の所有者は変えずに展示頂けるだけで有難いという声も多く見られます。
但し売却の意向については金銭的な部分も絡む為、この辺りは所有者の方の考えもあるかと思います。そこは外野からごちゃごちゃ言ってもかえって所有者の方の負担になるかもしれませんので静観しようと思います。

何はともあれ所有者から無理やり山姥切を奪い取ろうとしているような構図に映っても無理はありません。

・終わりに

所有者の方と足利市の間でどのようなやり取りがされているかといった事は分かりませんし、所有者の方が売却の意向を示しているという事であればそれは外野が口を出す事でもないのですが、1つ確実に言えるのは所有者の方が今このタイミングで山姥切を手放す事を決めたのは刀剣乱舞の影響という事に他ならないということ。
勿論いずれはどこかの美術館などに寄贈はされていたかもしれない。
今回の問題は刀剣乱舞に限らず、漫画やアニメ、ゲームなどで個人蔵の刀を所有者の意向を確認せずに採用する事の一つの問題点が顕在化したように思う。そのコンテンツがひとたび人気になるとその刀の所有者は今まで以上に所持するにあたり神経を使うだろうし、住居特定からの盗難などリスクにもさらされる。

多くの方が言っている事ではあるが、足利市は現所有者の方がこれまでしてきたように、この刀剣乱舞ブームが終わった後も末永く大切に管理して下さる事を願うばかりです。


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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