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「虎徹を見たら偽物と思え」は本当なのか?

「虎徹を見たら偽物と思え」
「虎徹の刀が100振あったら本物は1振」

刀に詳しくない人も聞いた事があると思います。
この言葉がいつからあったかは不明ですが、本間寒山氏は著書である「寒山刀剣教室」内で恐らく明治以降に生まれた言葉と述べています。

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・佐藤寒山が山形県の登録数から見た虎徹正真作の割合

「寒山刀剣教室 P130」を見ると虎徹大鑑を制作当時、山形県の登録台帳で寒山氏が刀の数を調べたところ、総数が6000数百振、その中に虎徹在銘は120振あったようです。
そこで実際に真偽を確かめたところ、本物は10振も無かったそうです。
割合でいうと全体の登録刀剣数の2%が虎徹で、その内の7~8%が本物という割合でしょうか。

全ての都道府県で同じ割合とは思いませんが、おおよその概算を知る事は出来そうです。
これで計算すると、現在の登録数は約300万振と言われているので、その内2%が虎徹作とすると虎徹銘の刀は6万振もあることになり、その中で正真は4200振という事になります。
流石に虎徹の正真作がそれだけあることは無いかなと思います。


・大阪新刀巨匠の助広の作刀数から計算してみた

大阪新刀の巨匠である津田越前守助広は22歳で独立して46歳で亡くなるまでに約1700振位を作ったと言われています。
虎徹と助広は共に同じ位有名(=需要があった)ですから助広の作刀数を参考にして考えてみます。
虎徹は50歳を超えてから刀を作り始めたといいますが、30年ほどの活動期間と考えれば助広と同じ位作っていた可能性は十分にあり得そうです。

つまり虎徹の正真作が1700振として仮にそれが全虎徹銘の7%の割合だった場合、偽物は残り93%分、つまり偽物の虎徹は22600振程ある計算になります。
現存している虎徹は虎徹大鑑製作時で200と書いてあり、その後の10年で見た新資料も60~70振との事だったので、現在現存している虎徹の正真作は300振り程度でしょうか。

そこから考えると「22600分の300」という事で、本物の虎徹の割合は約1.3%になります。

「虎徹を見たら偽物と思え」
「虎徹が100振あったら本物は1振」

どちらも盛っているわけではなく、あながち本当の数字なのかもしれません。

いやぁ、そう考えると偽物多すぎですね…。

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