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フランス映画に惹かれる理由

最近、見た映画からの話。

今回ご紹介する作品は、「 トリコロール/赤の愛(字幕版) 」です。

以前にご紹介したことのある「青の愛」、「白の愛」と連作の最後にあたる作品です。

話は変わりますが、フランスを舞台にしていることで、国旗の色にまつわるテーマにした物語を作っていたので監督もフランス人だと思っていたのですがググってみると、監督のクシシュトフ・キェシロフスキさんはポーランド人でした。(Wikipediaによる)「白の愛」の主人公女性の夫と同じでした。この3部作は監督自身の思いというか考え方や思想に対しカモフラージュをかけながらも、チラ見せしているような不思議な作品に仕上がっています。しかも、54歳という若さで亡くなっていました!

話を戻します。

今回の「赤の愛」というトリコロールでの赤の意味を見ていきましょう。

赤色=友愛、博愛、貴族 ( フランス人の愛国心がつまったトリコロールの国旗って!? より 参考資料 )

この作品では、主人公の女性が盗聴をする変わった(元判事)老人の飼い犬を誤って車で轢くことから物語が始まります。女性は学生(学校に通うシーンはないが、、)でモデルでありながら、轢いた犬を獣医に連れて行き飼い主に返すのです。この行為自体がすでに友愛、博愛を演出していることはわかります。

3部作(青、白、赤)共に裁判所のシーンが必ず盛り込まれ、どうやらそこに登場する人々も3部作に関わっている人々を起用し登場させているようです。

今回の赤色の意味である、貴族も関連があるのかと思って調べると法服貴族(フランス)という言葉もあるようにフランスでの判事という立場は貴族階級的な意味合いも持っていたようです。官職自体が特権階級という見方をされていたようです。(この辺りの感覚は明治時代の日本にも通じますね。)

こういうことを後から調べると本作品の「 トリコロール/赤の愛(字幕版) 」という物語も色のイメージに沿って物語が作られていることに納得出来ました。

しかも本作品の最後のシーンで青・白・赤の出演者が同じ船に乗っていながら海難事故に遭うんです。そこで救出されるのが本作品に関する人々だけという意味深な終わり方にしているのです。「白の愛」をご覧になった方は分かると思うのですが、刑務所?に入れられた妻を双眼鏡で見た夫が涙を流すことで物語を終わらせておきながら、「赤の愛」では夫婦共にイギリスに船で向かうという設定(しかも難破して救出される)になっているあたりかなりウィットに富んだ演出をされています。

あと忘れてならないのが、今回の「赤の愛」では浮気をされた法律家の男と主人公女性が難破した船で奇跡的に同時に救われるという演出もしているのです。この浮気された法律家と元判事の過去が妙にオーバーラップさせているのです。細かい仕掛けをきちんとしていますよということを今回の作品では演出していました。

最終的には3部作全て見終わって、主人公たち全員それなりに良い人生になりそうな予感をさせています。「白の愛」の夫婦は罪が問われるのかな?という思いは浮かびましたが、、

船を難破させるという強引な設定はどうなんかな〜〜と思ったのですが、監督のメッセージを簡単に表現するために致しかななかった演出だったのかな〜〜という風に私は解釈することにしました。

見た者に色々と調べたり考えさせたりする映画って、そんなに無いです。文学的ですし、これら作品が賞を受賞したのも頷けます。(赤の愛は受賞を逃していますが、、)

私はトリコロールの3部作を20代の頃にレンタルビデオとして見たのですが、内容は全く覚えていませんでした。

20年以上経って見直したのですが、この年(50歳)で見ても良かったと思える作品で驚いています。20代の頃に見た時は、フランスの風景って、オシャレやな〜〜という程度だったような気がします。

それでも何とな〜〜く、心に引っかかっていたのでしょう。

特に今回ご紹介した「赤の愛」は主人公の女性が一番優しく(慈悲深く)描かれていました。

当時のフランスを代表する若手女優3人を起用し、それぞれ違う作品として競わせた監督の思惑も見事でした。

私がフランス映画に惹かれるのもトリコロール3部作を見たことがきっかけと言っても差し支えありません。

監督のクシシュトフ・キェシロフスキさんは、トリコロールの3部作を作った2年後に心臓発作で亡くなられたそうです。ダンテの「神曲」をモチーフにした「天国・地獄・煉獄」三部作を脚本している最中だったそうです。非常に残念です。私自身が50代になったこともあり、54歳で亡くなったことを思うともっともっと表現したかっただろうと考えてしまいました。

人生は長生きすることが目的とは思いませんが、志半ばというのもつらいな〜〜と思ってしまいます。手塚治虫さんも、病床で作品を描いたということですが表現者の死というのは志半ばの方が良い死に方なんでしょうか。色々と考えさせられます。

最後はしんみりしてしまいました。

今日は、この辺りで終わりにしましょう。

最期までお読みくださって感謝します。

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