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コロナ問題は都市問題でもある

コロナの影響で様々な業種が大きな影響を被っている。ライブハウスの老舗が閉店したりレストランが廃業したりと、外食産業娯楽産業観光産業が大きな影響を受けている。これはグローバル化の明暗が現れたと考えている。
そして一方では病床数の確保が大きな問題となっている。この問題については都市の問題が大きくかかわっていると考える。

1.肥大化する都市部と弱体化するインフラ

今回のコロナ騒ぎの中で「東京一極集中」が問題の根幹にあるような気がしている。リスクは長時間出ないとはいえ満員電車の通勤、狭いオフィス(大手企業や、フリーデスクの会社ばっかりではない)、夜の接待(あ、これは全国でも一緒か)、そして「人口に応じた病床数になってない、なれない」問題。
https://www.mhlw.go.jp/tou…/saikin/…/iryosd/07/toukei09.html
↑厚生労働省のデータ。少し古くて平成19年だけど。。。

感染症だけでない数字だけど、一般病床数で人口に対して病床が多いのは大分県。東京は低いほうで、その東京より低いのが神奈川千葉埼玉。埼玉がワースト。
人口が増えれば増えるほど病院が必用。これシムシティでも皆さんやりましたよね。高齢化が進めば介護施設も必要だよね。ところが人口が増えるペースに、公共施設が追い付かない。特に病院保育所介護施設。ネックは人の確保と土地代とNIMBY問題。ま、NIMBYは地方でも多いけど、都心でも関係者が多い分苦労はする。

そろそろ、東京から企業の強制移出、首都機能分散なども強く打ち出してほしい。生まれ育った東京だけど、今の東京はあまりに密集して密閉されてる(親密ではないけど)。満員電車や渋滞が常態化し、オリンピックのために通勤時間替えろだの言うような都市のインフラは果たして十分と言えるのか。

2.他人事じゃないニューヨークの事例

https://news.yahoo.co.jp/byline/inosehijiri/20200403-00171163/?fbclid=IwAR0BqPu9PdPP3PUapZ09J-q8D4RClBFSFuOyJ75a1FrtfVdVlVf20Ss9DPs
アメリカ、特にニューヨークでで重症化している人、亡くなった人は貧困層が多いと報じたニュース。
これが実際のニューヨークの拡大原因とすると、やはり日頃からの食生活や健康度合いがモノをいう、ということになるかと。では東京はどうか。
スラムのようなエリアはないとされているが、独居老人、収入が少ないが仕事上都市部に住んでいる独身貧困世帯は都市部には多く存在しており、今後どんどん増える。
・独居老人の今後の増加の見通しを取材した記事
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1103W_R10C14A4EE8000/
・貧困世帯の今後の見通しを書いた記事
https://www.nippon.com/ja/in-depth/a04201/

東京に独身貧困が多いという客観的なデータが現在では見つけられていないが、地方での支援より都会での支援の方が得られにくいと推測している。
・ひとつのデータとして、東京都が調査したネットカフェ難民の調査
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/01/26/14.html

健康であってもウイルスに過多に侵されると発症するから、日頃の手洗いも大事だが、そういう行動も貧困層には難しい。マスクが買えないと困っているのは、一日中仕事で買い物に行く暇も少ないシングルマザーであったりする記事はよく見かける。スーパーが営業時間を短縮すると、この層の人はさらに困る可能性がある。従って配布や資金繰り対策は貧困層にはもっと早く、手厚くということが拡大防ぐ意味でも大事ということだろう。それが東京で、大都市で果たして可能だろうか。大阪市西成区で苦しんでいる人たちに支援活動をしている友人知人の日々の奮闘を見ていても、圧倒的にこの部分にマンパワーが日常から足りていない。

3.都市の医療インフラを増やすのは困難

先にも述べたが、インフラを整備するにはNIMBY問題もあるが、土地代という大きな問題も存在する。人が多く住まう地域、商業が盛んな地域の地価は高い。当たり前である。では、そこで公共的なサービスを提供する場所はどうなるか。行政が地面を持っている場合はまだよい。民間が持っていて行政が借りていて、という土地は更新の手間も甚大ながら、家賃も相当のものになる。そして、こういった土地の問題で行政と民間の間でもめるのは日常茶飯事である(民間が行政の足元を見て複雑にしていることも多いけど)。
PPPやPFIで解決をしていく節もあるけれど、公共サービスが地域に貢献している部分を真に計算できているかどうかがカギとなる(VFMの問題)。でなければ、結局すべて民間任せで、公共サービスがおざなりになる、アリバイ作りだけが実施されるということにもなりかねない。(この辺深く話すとずれていくのでこの辺で止めとく)
ただでさえ病院は公共サービスと経営(利益の追求)を両立させなければならない複雑な機構である。そして、NIMBY問題も結構多い(交通渋滞、救急車のサイレンなど)。それでいて土地代も高い(固定資産税など税制優遇はいろいろあるけど都市によって違う https://drs-wealth.com/finance/fi245/ )
医療従事者の確保の問題もある。勤務医が独立するときに腕のいい看護師を引き抜く話もよく聞く。私の友人には医者のヘッドハンティングを生業としていた人もいる。どうやって肥大化する都市部に、医療インフラを供給していくかというのは都市の大きな課題である。
とここまで書いて、下記のような論文があるのを見つけた。
老いる都市と医療を再生する - NIRA総合研究開発機構
www.nira.or.jp › pdf
ニュータウンのように、若い世代がこぞって大規模マンションに入り、老いていく中で医療の供給はどう変化していくべきかを論じている。
こういう視点が大事なエリアと、新しい供給を必要とするエリアへの政策はかなり大きな力を必要とする。その問題に対して提言できるとすれば、大規模マンション開発の抑制や、団地などの古い「ニュータウン」のダウンサイジングと跡地への医療機関の移転・誘致政策もしくは交通ネットワーク維持政策(ライドシェアやモビリティ活用)などだろう。相当に難しい問題ではあるが。

このコロナ騒ぎが経済問題、医療・健康問題だけでなく都市問題も孕んでいることは多くの方に認識していただきたいと切に望む。もちろん今は早急な経済対策、しかもこの影響で相当の被害を受けている流通(飲食)業界観光業界であると思うが。

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