軍隊的な空気

ふと母校を訪れた。博士を取ろうか、などと考えていたからであるが、しかし私は入った瞬間その雰囲気に躊躇を感じた。理由はわからないが、何かおかしな軍隊的雰囲気を感じたからだ。その統制っぽさの理由はよく分からないし、内側に入らないとわからないのだが、何か「怖さ」を感じた。あの陰湿さ、権力による脅し、といったものが起こっているような異様な雰囲気。なぜそうなのか、わからないのだが、異常に「怖い」のである。

一昔前、大学はもっとカラッとした場所であったはずだった。教授と学生の間の壁はそこまでなく、フラットに議論をできるような場所であったはずだった。しかし、なぜかこの場所では軍事主義の空気を感じるのだ。実際あのハラスメント事件を考えると、そして今までもそういう場所を見てくると、「伝統」とか「権力」とかに関わる場所ではそのような空気を感じた。私はその場所にアレルギーがあるのだ。ゆるくて、ただマイペースに研究だけが出来る場所、というのはないものなのか。それは私の「ただの思い違い」なのか、といえばそうじゃない場合が多い。その陰湿な雰囲気から離れて生きるにはやはりフリーランスという道しかないものなのか。

自分にとってはもしかすると、「安全」が一番大事かもしれず、そのような場合、もしかするとアカデミックおよび会社からは大幅に離れて生きたほうがいいのかもしれない。何か「おかしな統制」を感じる場所というのはいつでも怖いものだ。幸い、自分はフリーランスで生きていける手段と技術はある。それにこの権力闘争で生き残ったところで何か自分が欲しい環境が得られるとも思えない。そっちのノラリクラリ路線で行ったほうがいいのかもしれない。

追記:

軍事主義的空気だな、と思ったらどうやら、本物の「軍事主義」の方らしい。まさか本物の方とは思っていなかった。地中海世界の周辺、そしてオバマの某テロ対策法に対する拒否権撤回を見る限り、いつ戦争が起きてもおかしくない状況だ。私がフランスでセミナーを受けていた時、途中からその先生の研究が軍事主義的方向に転換した。それはちょうどチャーリーヘブドーのテロが起こった後だった。それまでは「テロの構造理解」だった、しかしその後には「いかにして過激派を撲滅するか」という嫌なタイプの路線に変わってしまったのだ。いわゆる学術的軍事主義というものである。私が知る限り、「応用慣れ」していない人の応用というのは往々にして暴走しがちで、危険なことが多い。この先世界は一体どんなことになってしまうのだろうか、という不安は当分消えそうにない。

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3868/index.html?1474945271

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