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指先の魔法

ご年配の女性のネイルに綺麗なマニキュアが施されているのを見ると、つい、息を飲み込んでしまいます。そして、「私もいくつになってもそんな風に身だしなみに気を遣わなくては」と思わされるのです。思えばこんな風な考えを持ったのは子供の頃。従姉妹のお姉ちゃんの祖母は髪の毛をいつもバチっとセットしていて、爪先には真っ赤なマニキュアが塗られた形の整ったアクリルチップが装着されていたのです。

10代の頃は黒のマニキュアがなかなか手に入らず(今のようにドラッグストアで売られていなかったし、売られていたとしたらお小遣いやアルバイト代ではなかなか手に届かない ANNA SUI のものくらい。マジョリカ マジョルカから「彼の爪」が発売された時はどれだけ歓喜したことか…!)、油性ペンで一生懸命ネイルを黒く塗っていた私。アメリカ在住時にアクリルネイルと出会い「よほどのことをぢなければ落ちないマニキュア」の素晴らしさを知り、当時働いていたコスメ会社のマニキュアを持ち込んでは2〜3週間に一度は色を変えていた。ジェルネイルが主流になった時にはそちらに切り替え、今では月に一度必ずネイルサロンを訪れてネイルの施術を行ってもらう。

YUNGBLUDの日本公演に備えた「推しネイル」
(右手の薬指の爪が短いのが残念…)

女王様になってから、私の爪先に対するこだわりはさらに深くなったような気がするのです。女王様ならば細部までフェティッシュで美しくありたい。そして、おマゾたちは私が彼らや彼女らの身体に指を這わせたり縄をかけている時、何が一番目に入るのだろうか?そうだ、それは爪。深爪、甘皮をほったらかしのカサついた手元や指先なんかが見えてしまったらどんなに微睡んでいたセッションの甘さも、夢のようだった一時からも叩き起こされ、一気に現実という殺伐とした空間に巻き戻されてしまうでしょう。私はおマゾと対峙する時に爪先に魔法が施されていないなら、自分は女王様を名乗る資格すらないとも感じてしまうのです。

ただ見てくれを綺麗にするだけではなく、実はネイルケアを行うことには内面もを輝かせてくれるというメリットがあるのです。自分の顔は鏡などがない限りあまり見る機会がないかもしれません。しかし、視野に度々入ってくるもの。そう、それは自分の爪先なのです。ネイルに綺麗な色が塗られていたり、大好きな世界観が詰め込まれたアートが施されているとついウキウキしてしまうのはきっと私だけではないはず。

Frontiers誌に掲載された論文で川久保惇教授と小口孝司教授はネイルサロンに行って施術を受けることにより、ネイルサロンに行っている女性がそうでない女性よりポジティブな感情、リラックス感、活性感を強く感じていると発表しています。また、ネイルアーティストとコミュニケーションをすることによってそのような感情を強く感んじるという結果も興味深い点です。たしかに、気の合う方に施術をして頂くと会話が盛り上がったり、ネイルが思い通り(またはそれ以上)の仕上がりになったりするもの。

Vogue に掲載された医学博士・介護福祉士の池山和幸氏のお話にも大変興味深い点が。
「セルフネイルは、非利き手を使わないと達成できないという点で、非常に不思議でユニークなんです。メイクは利き手だけで成り立つんですが、セルフネイルは強制的に非利き手を使う行為。女性は皆、当たり前のように指先の爪というすごく狭い面積に非利き手を使って塗るわけですが、実は科学的に奇妙な動き。」
自分でネイルを行うことによって、非利き手を使う。これが脳への血流を活性化させるというのです。

外見を美しくするだけではなく、メンタルヘルスのケアにまでなってしまうネイルケア。サロンに行くのに抵抗がある方でも、お気に入りの色のマニキュアさえ見つければ簡単にできてしまう。この魔法をあなたも試してみては?

今の私のネイル。
赤にピンクの粒子が入ったフラッシュネイル。
角度や当たった光によって色が変わるので色んな表情を見せてくれる。

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