君のことを考える。

その時の僕は無意識に左を見るようになっていた。


君の冷えた指先を
僕の体温で暖めるように
手を握って歩いた日々。

君はいつも
僕の左手を握っていた。

左を向けば、君が歩いていて
目が合えば笑ったり、照れ隠しでツンとしたり。


僕の左は、僕にとって大切な場所。

運転手の左側に助手席があるように、
僕が歩いていくためには左に君がいて欲しい。


寝る時もそうだった。


必ず僕の左側に君が居て、
それがすごく安心感があって、
その温もりや感触、匂いや音、
全てが心地よく包んでくれる
幸せに満ちた空間。

左を見れば君が居る。

いつかそんな毎日が続くことを考えながら。

いや、左じゃなくてもいいから
ずっと



ずっと一緒に居たい。


僕が左を見るのも
君が左に来るのも
お互い無意識なんだろうな。


だから右なら右でいい。

きっと君も同じなんだろう。


君と僕は似ているから。


僕の好きな物語に、こんな一節がある。

山椒魚が岩屋に蛙を閉じ込めてしまったように、
少しだって漏れ出さぬよう入口へと栓をする。
絶えず逃げ出そうとする思い出を見過ごすなど出来ない。

これからもずっと
君が心から溢れ出るくらい、
思い出が刻まれていくだろう。

だから栓をするように
書き留めるんだ。

いつもありがとう。


君と話している時、
君と一緒に過ごした時間を思い返してたら
終始恥ずかしそうな笑みを浮かべて、
僕も少し照れくさかった。

この人が居てくれてよかった。

こんなにも何もかも
さらけ出して、
受け入れ合って
笑ったり泣いたりして

なんでもないような日々が幸せだと思える、

そんな人は他にはいない
かけがえない一輪の花だ。


ずっと大切にするんだ。

大好きだよ。

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