はじまり

1年


この期間を長いと思うか、短いと思うかは人それぞれだと思う。

私はどちらでもなく、

強いて言うなら、濃密な期間だった。



ちょうど1年前の今日、
1つの物語が産声をあげた。


そしてその翌日、私は出会った。


それは夢のはじまり。



今でも鮮明に覚えている。
それだけ濃密だったから。


夢と現実、その境界線がぼやけ始めては、また元に戻って、
私を何度も惑わせてきた。


夢だ。



微睡み、それはどこか心地よく、
暗く朽ち果てた私の現実をあたたかく照らす世界。


ロウソクの火。


心が蝋のようにとけていく。

それは崩れることを意味するのではなく
打ち解ける、自然とそこに馴染むような
希望の光。



花園。


何にもなかった場所に一つ、また一つ
…と、花が生けられていく。

今も思い出す度に、花の形や色に
何かを馳せている自分がいる。


そして夢は、いつか醒める。


終わらない夢はなく、
夢のアンコールもない。


何度も自分を責めた。

少しずつ好きになれていた自分を、
また遠ざけてしまった。

自分が嫌になった。


こんな自分を捨てたい、
誰でもいいから、自分を裁いてほしい、


幾度となくそんな感情に陥った。



償わなきゃいけない。

でも、償い方なんて何一つわからない。



もうこれ以上何かを背負って生きていくのはしんどかった。


辛かった。


肯定することさえ否定してしまう。


もう、自分が消えればいい。

消したい。

いなくなってしまえばいい。



そうすることしか、
あの時の私にはできなかった。












でもダメだった。





自分を消しても、
あなたは消せなかった。


それほど、僕にとって大切だった。
何もかもが。



たくさんの人に助けられて、
また光に手を伸ばすことができた。


大切なものを見失わないように、

あの時の花を枯らさないように、


これからもずっと、
僕の中で生き続けるんだろうな。


1年前の記憶。



たくさんのごめんなさいと、

たくさんのありがとうを。



物語を紡いでくれたあなたに、


夢を見せてくれたあなたに、



いつか、ちゃんと届けられますように。



出会えてよかった。




僕が生き続けられるのも、

きっと、あなたが生けた花があるから。



その全てが、ブレーキにもなるし、
アクセルにもなる。



ずっと忘れない、大切なもの。



いまの僕を支える、すべてのはじまり



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?