デスクで新聞を広げるオジサマ
今から10年以上前のことだ。
当時、私は採用のアウトソーサーとして働いていて、ある日系の大手企業の人事部に常駐していた。
その人事部には20名くらいの方が在籍しており、採用、労務、研修などなど、様々な役割を分担して業務されていた。
その中に、興味を惹かれるオジサマがいた。
直接お話する機会は無かったので詳細は何も分からないのだけれど、見たところ50代半ばくらいの男性。
毎日、お昼になると同じパンをデスクで食べている。
午前中は何やら事務仕事をされているようなのだけれど、ランチ休憩が終わると、デスクで船をこぎ始める。
それからしばらくすると、おもむろに新聞を広げて読み始める。
また、しばらくすると船をこぐ。
そして、18時ぴったりにオフィスを出ていく。
アウトソーサーで働く前は、小さなベンチャー企業で働いていたので、仕事をサボっている人など皆無だったこともあり、そのオジサマを初めて見たときは衝撃だった。仕事中にサボって新聞読んで居眠りしている人なんて、古いドラマの中の世界のキャラクターにしかいないと思っていたからだ。
しかし、そのオジサマは連日そのような動き方をしていて、且つそれに対して誰も何も言わない。人事部長だって何も気にしていない様子だった。
ひょっとしたら私が知らないだけで、閑職に就かされていたのかもしれないし、何かしらの事情を抱えていたのかもしれない。(まぁ常駐していた5か月間、ずっと同じ様子だったで、何かあるとは思えなかったけれど)
そんな働き方を見て、驚くと同時に色々と考えてしまった。
もし本当に、ただ新聞を読んで居眠りしているだけだったとすれば、あまりにもラク過ぎる働き方だ。というか、働いていない。
その割に、日系大手ということもあるので、給与水準は悪くない。
遊んでて給料がもらえるのだから、そんなラクなことは無い。
(じゃあ、その企業に転職したい?)
自分の中で問いかけが浮かぶ。
私の答えは No だった。
確かに、楽して儲かるのだから、悪い話ではない。
しかし、どうも自分自身がそんな人生を楽しめるとは思えないし、そのオジサマは50代過ぎで、それまで頑張った結果の安息かもしれないが、当時の私はまだ20代で、安息より経験と成長を欲していたからだ。
世の中には色々な企業があって、色々な働き方がある。
楽して儲けることも悪くはないし、苦労して経験を積むことも悪くない。
どちらの方が自分に合っているか、それさえ見誤らなければ、働き方という点でのストレスは抑えられる。
不幸なのは、ゴリゴリ働きたいのに閑職に就かされたり、出来れば静かにほどほど働いていたいのに、ゴリゴリの最前線に配置されて、ミスマッチが生じ、且つその環境にうまく馴染めない場合だ。
もしそんな時は、上司に異動やアサイメントについて相談するか、いっそのこと転職などで環境自体を変えてしまうことだ。
難しいのは、瞬間的な感じ方と数カ月後の感じ方にギャップがある(今は慣れていないけれど、慣れる見込みが高い)かもしれないし、実はその違和感というのは、企業固有のものではなく、業界特有のものかもしれないけれど、その判断するための情報を持ち合わせていないことだ。
というわけで、なんとなくでも、働き方や環境に違和感を感じる人は、誰かに相談してみることをお勧めします。できれば色々な経験を積んでいる人や、相談の専門家(そう、キャリアコンサルタントなど)に。
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