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STORESからShopifyに移行した、左ききの道具店の備忘録。

終了間際のSTORES店。

2022年3月末をもって、左ききの道具店STORES店は終了しました。思えば、開業した2018年8月から3年半ちょっとのお付き合い。めちゃくちゃお世話になりました。そして現在、左ききの道具店はShopifyで構築されています。この辺りの経緯は、気づいたらすぐに忘れてしまうのでちょっと書き残しておこうかと。あと、オンラインショップに取り組む誰かの参考になったら嬉しいです。(4/2 21:00 図中の内容を一部修正しました)

[左ききの道具店のカート機能の推移]
①2018年8月〜 STORES単体
②2020年9月〜 STORESカートボタン + 公式サイト(WordPress)
③2021年12月〜 Shopify(2022年3月末までSTORES並行)


①2018年8月〜 STORES単体期

開店前、どこのカートを使うかはずいぶん悩んだことを覚えています。候補に上がったのは、STORES、BASE、カラーミーショップ。初期費用を抑えつつ、必要十分な機能が揃っているところ。

その中でも、当時のSTORESではデザイン性が高いテンプレートが揃っていて、かつ管理画面が使いやすかったんですよ(かなり重要)。僕も店長も初めて尽くしなので、分かりやすいというのは大きなポイントでした。

あと、これは完全に雰囲気なんですが、アピールが一番スマートだったんですね。ゴリゴリじゃない。それもうちに合っていた感じあります。

一番最初に売れた商品。ありがたさしかない。

初月で売れたのはパン切り包丁一本で、売上は4104円。開店当時の商品点数はたった5。よくもまあ、こんなスカスカの棚のお店から買ってもらえたものです。ありがたさと懐かしさ。

②2020年9月〜 STORESカートボタン + 公式サイト(WordPress)

開店当時、知名度は言うまでもなく、僕らには商品力も営業力もありませんでした。当然、資金力もなく。広告に頼ることもできないので、必然的にSNS中心、とりわけTwitterでひたすらに呟く毎日でした(店長が)。

そして予想以上に(ほんとうに)店長とTwitterの相性がよく、時間とともに着実にフォロワーは増えてきました。

開設から階段状に増えていきました

でも、いくら目に触れてサイトに飛んでも商品が少ないと、買うものがない人も多いわけです。売っているものが嗜好品ではなく、文具やキッチン用品といった暮らしの道具なので当然です。ただ、そんな人にも何かしらもってかえってもらいたい、と僕らは考え、早い段階から読み物コンテンツを書き始めました。とりあえずnoteから。

書き始めが2018年8月なので、開店とほぼ同時に始めてます。1年で10記事以上書いてるからそれなりに頑張っていたと思います。でも、書いていくうちに、お店とコンテンツが分かれていることに不満が出てきてしまって。記事の大半は商品の詳しい紹介だったりするのに別サイトへ遷移するのがイマイチ。。。あと、商品情報の本文中に写真を入れられないこともなんとかしたかった。

そこで、コンテンツと商品情報の拡充を見据えて本店サイト(hidari-kiki.jp)を新規に制作。決済はSTORESカートボタンを利用して、コンテンツ更新はWordPressで。

これでお買い物と読み物を両方楽しめるようになったんですね。めでたしめでたし。

……という状態が1年ちょっと続きます。

2021年12月〜 Shopify(2022年3月末までSTORES並行)

STORESカートボタン+公式サイト(WordPress)体制でおおむね問題なく進行していたのですが、規模が少しずつ大きくなっていくうちにいくつか懸念事項が出てきました。

懸念① 運用の煩雑さ

当時の体制

当時は上図のような体制でした。WordPressから直接表示しないのは描画速度を上げるため。サクサク見てもらえるって、それだけで正義じゃないですか。いいじゃん!と、思ってこの体制にしたんですが、これ、運用上はめちゃくちゃ面倒なんですよね(早く気づくべきだった)。。商品情報を追加するには、

  1. STORESに商品を登録

  2. STORESでカートボタンURLを発行

  3. WordPressに商品を登録(STORESと内容重複)

  4. WordPressにカートボタンURLを登録

  5. hidari-kiki のサーバーを更新する(WordPressを読み込み更新)

  6. 更新を待つこと10-20分(長い・・・)

  7. 完了

というステップを踏む必要がありました。修正時はSTORESとWordPressの両方修正。ときどき修正漏れのケースもあって、商品点数が増えるほどに煩雑さが増していきました。しかもちょいちょい更新失敗したりする。

その度に、店長が「この(両方更新する)システムほんとイヤ!」と呟くのが日常になっていて早急な対策が必要でした。

懸念② .shopと.jp

ドメインが2つ並列していました

個人的には、これが一番の懸念でした。STORESでは独自ドメインを取得できるのですが、完全な独自ドメインを実装することはできず、STORESのサービス内で限られた中から取得することになります。僕らが取得したのはhidari-kiki.shop。なかなかよいドメインです。

でもWordPressサイトはhidari-kiki.jp。公式感があって、さらによい。のですが、検索をするとこの2つのドメインが両方出てきてしまうんですね。

.shopが上に出てくるのが長いこと気になってました

僕らとしては、コンテンツを充実させている.jpを見てほしい。でも、検索時の一番上には、長くから運営している分、.shopが表示されてしまう。どちらでも買いものいただけるので、致命的な問題ではないのですが、長くお店を続けていくことを想定するとこの分散はかなりよくないと感じました。

懸念③ 拡張性

これも結構大きな課題でした。カートボタンとして決済機能のみを使用するというのは、いいとこ取りでナイスなやり方だと思ったのですが、拡張性がほとんどないんですよね。開発用のAPIもなかったし(今はあります)。STORESで充実していく機能はあくまでSTORESの.shopで使うもの。.jpを拡大させていきたい僕らには少し遠くなっていきました。


移行してみて

そんなわけでSTORESからShopifyに移行して、気づけば5ヶ月が経ちました。Shopifyを完全に使いこなしているわけじゃ全然ないですが、今のところ感じていることをメモしておきます。

よかったところ

更新がラク
当たり前の話なんですが、更新が圧倒的にラクになりました。二重管理なし。これ、普通の人は体験してないので当たり前なのですが、この当たり前がめちゃくちゃありがたいのです。商品と同じ画面で記事も編集できる。ああ、なんという便利さ(おおげさ)。

機能の拡張が容易
Shopifyの特徴に「アプリが豊富」というものがあります。世界中の人がアプリを作って公開している。スマホと同じですね。もちろんShopifyに適合したアプリなので、実装もスムーズ。よきです。

支払いサイクルが早い
これは検討時にはあまり気にしてなかったんですが、運用してみるとそのありがたさを感じます。(うちの場合は)毎週金曜日入金。早い。ちいさいお店はキャッシュフローが命なので、かなりありがたい仕組みだと思います。

開発スピードが早い
僕が実感している、というよりお願いしているエンジニアの声。開発スピードが相当に早いらしく、アップデートが頻繁。追いつく手間は必要だれど、開発の面白さがあるとのこと。なるほど。


考えどころ

イチイチ課金される
新しいアプリを入れるたびに、月々請求が増えていくのは何気なストレス。気づいたら結構な支払いになっていて、「チッ」という気持ちになる。でもゼロから開発したらゼロが何桁か違うのでよし。でも、毎月課金が増えるのはマインド的にイマイチ。

STORESの方がよかったところ

管理画面がやさしい
これは店長談。デザインも、レイアウトも、シンプルで使いやすいUI。やっぱり、国産かつ未経験の人に親切に作っているからなんでしょう。言葉づかいひとつとっても違和感がない。細かい点からも管理者としてストレスフリーだったようです。

自由度が低いが、それゆえに迷う必要がない
これも同じような感じですね。拡張性は少ない分、必要な機能が必要なだけちゃんと揃っている。だから迷う必要がない。商品開発とか仕入れやコンテンツ開発といった、本当に重要な業務に集中できます。


という感じです。

少し長くなってしまいましたが、STORESからShopifyへの移行備忘録はこんな感じです。最後に、STORESさん、本当にありがとう! このサービスがなかったら、左ききの道具店の立ち上がりは全然別の形になっていたと思います。これからも、小さなお店にはおすすめし続けていきます。

そして、Shopifyに今後もっとも期待しているのは海外展開です。左ききの道具店をどうやって越境していくか。Shopifyを選んだこと、その真価が問われるのはこれからじゃないかと思います。がんばるぞっと。

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