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下町

2度目の上京生活、上手くいかないことも多いが、住居を下町エリアに据えたことだけは本当に大正解だったと思う。地元の方との関わりは無いに等しいのだけれど、通りかかる人たちの纏う空気が飾り気なく温かい。夜は人が消えたように路地が静まりかえっているのに、建物や街並みに生活の温度や歴史を感じて、寂しくない。

なぜ、このように感じるのかまだわからないけど、東京を離れるまでに、この土地の素晴らしさを言語化したい。休みの日の朝や平日の夜、路地を徘徊していると、緊張して強張っていた肩が、つきものが取れたようにスッと落ちる。孤独だけど、ニュートラル。こんな心持ちにさせてくれる土地は今まで無かった。

散歩途中に入った、色あせた喫茶店で出てくるトーストがペリカンの食パンであることも、至高の嬉しさ。暇さえあれば、散歩しているが、どれだけこの土地を僕の足は覚えていられるだろうか。

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