見出し画像

仕事と感情 感情の変化を味方につける

「仕事に感情を持ち込むな!」という人もいる。だが、仕事中、感情はめちゃ動く。ブレる。入り混じる。外見は冷静沈着を装っていたって、中はとんでもなく燃えたぎっていることもある。

2023年は、立て続けに大きな変化が起った。意気揚々としたスタートから、予想外のプロジェクトのとん挫、レイオフ、挫折、失望、転職などなど。それに伴って自分の中の感情も変化しまくった。事実はすべて自分の外で起こっている出来事。感情は、事実に対しての自分勝手な反応に過ぎない。しかし、その感情が自分の次の行動に巨大な影響を及ぼす。感情の変化が、とてつもない成功をもたらしてくれる女神になることもあれば、どん底におとしめる悪魔になることもある。女神にするか?悪魔にするか?が自分の反応次第だとしたら。。。
自分の感情の変化のパターンを把握し、感情の変化を味方につけたい。。。


2023年の出来事と感情の変化

意気揚々としたスタート

2023年初めに人事評価があった。前年度の仕事ぶりが評価され、ボスからは感謝され、給料アップもボーナスも上々だった。その時持った感情は、貢献感、幸福感、安心感、そして期待感
貢献感:大いに会社に貢献した。みんなに頼りにされている。
幸福感:この会社に入ってよかった!
安心感:最初は本当にやっていけるか心配だった。でも無用な心配だった!
期待感:今年はさらなる飛躍の年だ!

しかし、感情はそんな単純じゃない。一人の社員の昇進が発表された。彼女は、僕より少し遅れて転職してきた。全く別の部署だが、職位は僕と同じだった。その彼女が一つ上に昇進した。確かに彼女はできる社員だった。彼女と仕事をすると、最低限のやり取りでいつもすんなり片付いた。彼女はサイエンティストではなかったが、いつも僕の説明をすんなり理解してくれた。彼女は優秀だ。彼女とは仕事がやりやすい。それは僕も認める。でも、僕は嫉妬感を抱いた。
嫉妬感:なぜ、彼女だけ昇進し、僕は昇進しないんだ!
しかし、感情はさらに動く。その後、嫉妬感を抱く器のちっぽけな自分が恥ずかしくなる。心を入れ替える。強がる
強がり感:もっと成果を上げて、誰も文句が言えない形で昇進すればいいだけさ!

問題発生

春になると2つのプロジェクトで、立て続けに大きな問題が起こる。僕は両方の問題解決に大いに関わった。問題が起こったのだから、不安感焦り感が出てもいいかもしれない。しかし、ひねくれ者の僕は問題が起こると活躍の場ができたとばかり、変なポジティブ感情を持つ。
ワクワク感:この問題を見事に片づけたら、再度、チームは勢いづくぞ!
貢献感:会社は僕の問題解決力に期待している!

そして、問題解決策を準備し、役員会議でプレゼンすることとなった。
僕を含めて数人で行ったプレゼンは成功し、全会一致で承認された。
その時生じた感情は、もちろんポジティブなものばかり。
達成感:苦労してやったかいがあった!気持ちいい!
一体感:チーム一体でやり遂げた! みんな笑顔だ!
ただ、同時に不健全なポジティブ感情も顔を出し始める
優越感:また、成果をあげちゃったぜ。やっぱり俺がやらないとチームはダメかな!

しかし、その後、承認されたはずの案が別の部署で見直されることとなる。
僕の感情は一気にネガティブに移行した。
憤り感:役員会議でも承認された案を何で今更見直すんだ! あの部署は何をやってるんだ! 部内の調整は、役員会議の前に完了しておけよ!

見直しの決定は覆ることなく。その部署が引き継ぐこととなった。僕はお役御免となる。
失望感:もう勝手にやってくれ! これまでの時間と労力を返してくれ!

プロジェクトの中止とレイオフ

さらに大きな不幸が会社を襲った。会社初の新薬誕生と期待されたプロジェクトが失敗に終わった。大切な最後の臨床試験で期待された結果がでなかったのだ。プロジェクトは即中止となった。会社は、全従業員を雇用する余裕がなくなった。半数もの社員をレイオフすると発表した。大きなネガティブ感情が襲った。
失望感:せっかくこれまでチーム一丸となってやってきたのに。。。 
一緒に頑張ってきたたくさんの仲間も失ってしまった!
挫折感:思い切って転職したのに、ゴールが消えてしまった!
罪悪感:たくさんの仲間が突然レイオフされたのに、自分はのうのうと会社に留まっていいのか?

模索そして転職

僕は会社再建のため残ってくれと頼まれた。突然仕事を失った人たちに比べたら、ラッキーな方だ。しかし、ひねくれ者で、器の小さい僕はイカっていた。
憤り感:何でそんなブザマな臨床試験結果が出るんだよ! 臨床チームは自分たちの仕事をしっかりやり遂げたのか?
幹部たちは、たくさんの仲間をレイオフしておいて、自分たちは責任も取らずにのうのうと残る気か!

プロフェッショナル意識の高いことは、アメリカで働いて感心することだ。レイオフされることになった社員もほとんど取り乱したりしなかった。結果的に、よい転職先が見つかり、ステップアップできた仲間もいた。一方、残った社員は、プロジェクトの失敗・レイオフの痛みは、それはそれで事実としてしっかり受け止める。だが、同時にポジティブに前へ進もうとする。何とか残された初期の小さなプロジェクトから再建を図ろうとする。たくましく、素晴らしいことだ。
しかし、僕が抱いてしまったのは、疎外感だった。

疎外感:大きな目標を失ったのに、よくそんなに簡単に気持ちが切り替えられるな。僕には痛々しい強がりにしか見えない。

そして、回りのせいばかりにして憤り感、疎外感を持つ自分に気づいて恥ずかしくなる。自分も痛々しく強がる。痛々しい強がりのポジティブが、少しずつ健全に変わっていく。

強がり感:オレは自分がワクワクする道を選ばせてもらう!
自由感:残って軌道修正するか?転職して新たなゴールを見つけるか?は自分で自由に決めさせてもらう!
ワクワク感:転職活動を本気で進めよう! どんな結末が待っているか? 楽しみだ!

同時に罪悪感も持ち続ける。
罪悪感:会社も仲間たちも僕が会社に残って再建に尽力すると期待してくれている。それなのに自分は転職しようとしている。裏切り者だ!

そして、ワクワク感をもとに転職を決めた。罪悪感を持ちながら会社を去った。12月に新たな会社でスタートを切った。

分かったこと

長くなったが、これでも大雑把に書いただけだ。本当の感情の種類はもっと多く、もっと入り混じっていた。

ポジティブな感情の大部分は歓迎すべき健全なものだ。ワクワク感、達成感、一体感、貢献感。。。自分に元気・勇気を与え、新たな挑戦に向かって行動を起こすエネルギーとなる。でも、ポジティブな感情のなかにも不健全なものがあることに気づいた。それは、自己肯定感が過剰になり過ぎた優越感のような感情だ。調子こき、傲慢が顔を出す。そうすると必ず行動が強引なものとなる。そしてどこかでしっぺ返しが起こる。

健全なポジティブ感情は、純粋に自分の中から出ている。それに対して優越感のような不健全なポジティブ感情は、他人と比較している。見下したり、マウントをとろうとしている。これが危険信号だった。

ネガティブな感情の大部分は歓迎しない不健全なものだ。怒り、嫉妬、挫折、喪失。。。自分を落ち込ませ、エネルギーを奪う。でも、これらの不健全なネガティブ感情に気づいた時に生まれる健全なネガティブ感情もある。周りのせいばかりにして自分を顧みないことを恥ずかしい、情けないと思うネガティブ感情だ。

不健全なネガティブ感情は、他人や回りにばかり矛先が向かっている。起こった問題を他人や回りのせいにして、不平不満ばかりから出る感情だ。そんな潔くない、ちっぽけな自分を恥ずかしい、情けないと思う。他人や回りのせいにするのをやめ、矛先を自分の中に向ける。内省に向かうと健全なネガティブ感情に変わる。そして、健全なネガティブ感情はやがて健全なポジティブ感情を生んでくれる

世の中の人格者は、こんなことあえて気にしなくても自然とできてしまうのかもしれない。でも、僕のような、ちょっとした出来事に反応してしまう人間は、感情を意識して、見える化して、感情の変化を味方につけることが必要だと感じた。不健全なポジティブ感情・ネガティブ感情を危険信号としてキャッチし、健全なものに変えてから行動を起こすことだ。感情を味方にするのも、敵にしてしまうのも、自分の考え方次第だと。

だから、「感情の変化を味方にする」は僕のナイショの抱負だ。


#ナイショの抱負


この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?