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転職で天職に近づく時代

僕はアメリカの製薬会社で働く日本人研究者です。自分自身は計画的に転職を行なってきた訳ではありません。成り行き上、転職を何度か繰り返すことになりました。でも、VUCAの時代になり、振り返ってみると、現在のように多種多様な職業が生まれ、その中で自分の特性に合い、自分の能力を発揮できる仕事を見つけ、それを天職にしていくには、転職を繰り返すことがとても大切だったと思えるようになりました。転職の大切さを考えてみました。

同じ職務でも転職で大きく変わること

僕は大学を卒業して以来、一貫して製薬会社で働く研究者を続けてきました。新薬の安全性を評価するトキシコロジストという研究者のみを一貫して30年以上続けてきました。それでも転職により大きく変わることがたくさんありました。

どの会社で働くかで面白さが大きく変わる

転職を繰り返し、これまで東京にある日本の会社、アメリカにある日本の子会社、アメリカの巨大製薬会社、アメリカの小さな製薬会社などで働きました。それぞれの会社にそれぞれ独自の会社文化があり、仕事をする上での面白さや、逆に嫌なことも大きく異なりました。ある会社では自分のパフォーマンスが存分発揮でき、大成功しました。別の会社では、落第点をつけられ、半分クビのような形で会社を去ることになりました。もちろん落第点をつけられた会社で働いている時は、全然楽しくありませんし、自分の仕事が天職だなどと思えることも一切ありませんでした。

誰と働くかで仕事のパフォーマンスが大きく変わる

自分のパフォーマンスが存分に発揮できるか? 特に大きな要因となったのが、誰と働くか?でした。僕の仕事は新薬を研究開発していくことなので、たくさんの同僚が関わる大きなプロジェクトになります。転職を繰り返してみて、自分を信頼してくれる上司、仲間がいて、はじめて自分のよいパフォーマンスが発揮できる、それとは逆に、自分の能力が出せない不健全な人間関係の中に留まることはとてももったいないことだ、と痛感しています。

どんなプロジェクトを担当するかで自分の専門性が大きく変わる

僕の仕事の専門的な話になってしまいますが、新薬開発と言っても薬にはありとあらゆるものがあります。それぞれの会社が選択と集中を行い、独自の強みを出そうとします。どんなプロジェクトを担当するかで、製薬会社の研究者と言っても専門性が大きく変わってくるのです。僕の専門上、どんな薬も担当することはできます。でも、専門性と自分のやりがいを高めるため、いつも癌と免疫の領域のみのプロジェクトを持たせてもらうようにしてきました。そして転職を繰り返し、より自分の専門性を高められる領域に注力している会社を選んできました。

転職の効能

同じ職種を30年続けたにも関わらず、ある会社ではぜんぜんハッピーではなかったのに、今では自分の仕事を愛し、天職と思えるまでになりました。僕の場合、まさに転職が天職に近づけてくれたのです。その転職の効能を考えてみました。

最適な環境を探究できる

1つの会社文化しか知らないのと、いくつかの会社文化を経験し、どのような職場環境が自分に適しているかを考えられるのとでは、雲泥の差が生まれます。

人脈が激増する

もちろん転職を繰り返し、それぞれの会社で仲間と切磋琢磨すれば、一緒にプロジェクトを進め、ある時は大きな成功を収め達成感を一緒に味わい、ある時は大きな失敗をして絶望感を味わった戦友がたくさんできます。これらの戦友は本当に大切な自分の財産になりました。次の転職の時に助けてくれた戦友もたくさんいます。

自分の特性、才能、能力を俯瞰できる

転職を繰り返すと、どの会社で、誰と働いた時、どのプロジェクトを率いてた時、自分は楽しかった、自分の特性、才能、能力を存分に発揮できていた、輝いていた、などが俯瞰できるようになります。

転職失敗さえも将来の転職成功に繋げられる

何となく違和感を持ったまま転職し、その後実際に会社文化にも合わず、人間関係にも恵まれず、会社を去ることになった大きな挫折も味わいました。当時はどん底に落ちたような気持ちにもなりましたが、実際にはこの世の終わりではぜんぜんなく、その失敗体験が、その後の転職に大いに生きました。これまでの成功体験ではなく、この失敗体験があったからこそ、その後、転職時にどんな点に注意すべきか? 転職後、どのように新たな環境に入り、自分を出していくか?などが自分の中でわかっていった気がします。ということは、転職で失敗することでさえ、長い目で見れば自分の人生の糧にできるのです。


#天職だと感じた瞬間

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