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「理論」と「テクノロジー」で日本から達成するセールスイネーブルメント - CTOが語るSALESCORE その1

SALESCORE株式会社CTOの成澤です。
先日、資金調達のプレスリリースを公表させて頂きました!(やや時間が経ってしまいましたが…)

今まで開発サイドからは積極的な広報をしていませんでしたが、資金調達のリリースにあわせて開発コンセプトやSALESCOREを取り巻く様々なトピックについて書いてみます。
手前味噌ですが、なかなか面白い開発内容になってるかなと本気で思ってますので、興味をもって頂けた方はぜひご連絡ください!

第一部は「営業?ノルマとかしんどそう。自分には関係ないわ…」という方向けの「最新のセールステックは結構面白いよ!」という記事になります。少しでも興味でた方、どうぞお読みください!

レガシーで泥臭い「営業」は、本当に必要なのか?

弊社SALESCOREは、営業組織向けのBtoB SaaSを提供しています。

世間一般的に「営業」にネガティブな印象を持つ人は一定多いと考えています。その理由は「ノルマが厳しい」「無理やり売りつける」「頭を下げ続ける」「気合い(?)」など、レガシーで泥臭いものだという認知があるからでしょう。

いちエンジニアとしての自分の感覚でも、理想的な世界の形としては「アナログで非効率な営業は介在せず、デジタルで効率的に自動化された形でモノを売り買いできるべき!」という気持ちはあります。特に近年だとPLGというモデルが流行ったりもしていますね。

しかし常にPLGが正しいかというとそうではなく、PLGが適したサービスもそうでないサービスもあります。
すなわち、人が介在することでサービスの真の価値を伝え、顧客も企業も幸せにする。そんな分野は必ず存在しています。恐らく最低でもあと100年は無くならないでしょう。
営業活動の本質とは、顧客の真のニーズを汲み取り、そこにサービスの真の価値を繋げる、非常に知的で重要なものだと思います。

また、営業にネガティブなイメージを感じるのは冒頭の例のような印象があるからだと思いますが、逆に言えば非効率でレガシーな箇所を解消できれば印象が変わるのではないでしょうか?
むしろソフトウェアエンジニアの身としては非効率な部分をソフトウェアの力で解決し、人間は人間がやるべき付加価値が高い仕事だけをやってもらいたいと考えます

そして近年のセールステック界隈の発達を見ると、最先端の営業現場はむしろ効率的でモダンな現場になりつつあります。
ここでは最先端の営業活動について「セールスイネーブルメント」「海外最先端セールステック」の2本立てで紹介しましょう。

セールスイネーブルメントの波

「セールスイネーブルメント」とは、近年営業界隈で流行っている言葉です。
セールスイネーブルメントは、そのまま直訳すれば「売れるようにすること」「営業組織が上手く機能するようにすること」という意味になります。

このままだと当たり前すぎる言葉で意味が分かりづらいですが、アンチテーゼとして「レガシーで古臭い営業組織」「気合いと人脈で頑張る営業」を想像するとわかりやすいかも知れません。そういった属人性が高く再現性のない方法ではなく、再現性のある手法とモダンな仕組みで営業を改善しようという思想の言葉です。
ソフトウェアエンジニア向けには「SalesOps」という単語から受ける印象が、セールスイネーブルメントに近そうです(SalesOpsはDevOpsからの造語)。

古来からある「営業」という職種で、なぜ今更こういった概念が叫ばれているかと言えば、以下のような理由があるためでしょう。

  • SFA(Sales Force Automation, 営業支援ツール)の浸透でデータが増え、営業を科学できるようになった

  • 営業を科学することで、明らかに成果を出している企業がでてきた(海外ではSalesforce、国内ではキーエンス)

セールスイネーブルメントについて詳しく語りたいところですが、その役目は弊社代表の中内の記事に譲るとして、ここではWebエンジニアの私から見て面白いなと感じた小話を少しだけ紹介します。

事例紹介 - 外出報告(Pull Requestレビューの営業版)

※「セールスイネーブルメント」の流れで語るには小さすぎる話ですが、具体的な話の方が面白いということでご了承ください。

弊社SALESCOREは、DeNAとキーエンスのOBメンバーで創業した会社です。国内でも屈指の営業力を誇るキーエンスについて、面白いエピソードをたくさん聞いているのですが、個人的に面白いなと思った仕組みが外出報告、通称「外報」と呼ばれる仕組みです。
要するに外出先で行った営業内容を上司に報告する制度で、すなわち営業のレビュー制度です。
1つ1つの営業活動をレビューしている営業組織がそもそも世の中にほぼないのですが、キーエンスの外報が更にユニークなのは、営業前にもレビューが行われ承認が降りなければ営業に行けない点と、レビューの内容が非常に本質的で深いものである点です。

この仕組みは、ソフトウェアエンジニア的にはGitHubのPull Requestレビューそのものだなと感じて面白く感じました
PRレビューの制度はコードの品質向上を図るだけでなく、レビュワー・レビュイー間での知識の擦り合わせを行い、組織全体のスキルの底上げができるとても良い施策であり、エンジニアの良い文化だと考えています。
PRレビューも「承認されないとマージできない」というルールにすることでレビュー文化を醸成することができますよね。

「なんで営業のドメインに興味があるんですか?」と聞かれることがあるのですが、このPRレビューの例のように「ソフトウェアエンジニアの良い文化」を営業組織改善に輸入できそうな余地を感じるから(また一部で既にそれがやられているから)と感じています。

海外最先端セールステックの紹介

日本国内のセールステック市場はまだまだ成長途上ですが、海外では時価総額1000億円以上のユニコーン企業が続々と生まれ、年20%の成長率で市場が拡大している今アツい市場です。

そしてその市場では日本の5年〜10年ほど先を行っているようなサービスが続々と展開されています。
エンジニア的にも面白いサービスが色々あるので、ここではいくつかピックアップして紹介します。

Zoominfo

Zoominfoは2020年に大型上場したサービス。上場初日の時価総額は130億ドルと、一時期話題になりましたね。

コア機能は「企業・個人のデータベース」。どんなものかと言うと、例えば「ソフトバンク」で検索すると、現在のソフトバンクの最新企業情報だけでなく、組織図情報・役員一覧・役員(役員以外も)の携帯電話・LinkedIn・その他ソーシャルサービスへのリンクなどが表示されます
というか孫さんの電話番号も表示されます。本当に繋がるのか…?

その他にも、企業に関わるニュースの一覧や、企業が導入しているサービス一覧(例えばSalesforceを使っているとか)、また自社のWebページに訪問してるのはどの企業の人か(恐らくIPアドレスベースでのマッチング)を瞬時に把握することができ、これらの情報を使って営業活動を行うことができます。

日本の個人情報の取り扱いの常識からするとかなりぶっ飛んだサービスですが、営業する側としてはこれ以上なく嬉しいサービスになりそうです。

Outreach

これまでに4.8億ドルを調達し「Sales Execution Platform」を名乗るOutreachは「シーケンス」と呼ばれる仕組みが特徴的です
「シーケンス」を簡潔に説明すると、メールや電話を主体とした営業活動のワークフローを組める機能です。例えば以下のようなワークフローが設定できます。

  • トリガーを「顧客による資料請求」に設定

  • 「1分後にメールを送る」

  • 「15分後に電話をする」

  • 「5日後にリマインドメールを送る」

  • 「条件を満たした顧客には特別なメールを送る」

特筆すべきは、これらが自動で行われることです。
指定の日になるとメールが自動で送られ、またOutreachにログインすると「今日の電話をすべき顧客一覧」が表示されスタートボタンを押すと勝手に順番に架電されていきます
人間が「5日経ったからメール送らなきゃ」「今日はまずA社に電話をかけて、次はB社に…電話番号は…」と考える必要はありません。

営業に馴染みのない人間からすると、このような仕組みは非人間的でネガティブな印象を受けるかもしれませんが、むしろ非人間的な無駄なタスクを減らし、人間がやるべき作業(例えばより質の高い提案をするための準備)に集中できる素晴らしい仕組みになっています。

People.ai

2億ドルを調達。
Zoominfo, Outreachはそれぞれ顧客情報更新の自動化・作業の自動化がコアな価値でしたが、People.aiは自動化よりも更に一歩進んで、各種の活動データを元にAIが各種のレコメンドをしてくれる、AIによる営業活動の全体支援サービスです。

企業ごとの担当者・それに紐づくアクティビティの表示画面

正直全体像を把握するのが困難なくらい、様々な機能が提供されています。記事が長くなるのでここでは詳細は省きますが、以下の画像を見るとなんとなく全体像がイメージできるかもしれません。

画像は公式ページより

「理論」と「テクノロジー」で日本からセールスイネーブルメントを達成する

さて、ここまで海外の最新セールステックを見てきましたが、これらの最新スタックは驚くべき程に日本国内で使われていません。国内でこれらのモダンなサービスが流行らない要因は色々とあると思いますが、主な理由は以下と考えています。

  • 個人情報、企業情報の取り扱いポリシーの違い

    • Zoominfoのように、個人情報を共有するのを前提とした機能が多い

  • PLG型ではなくSLG型のプロダクトが多いこと

    • どれも複雑で高度なプロダクトであり、ユーザーが使いこなすのをCSでサポートする必要がある。

    • その際の言語の壁と、商習慣の違いによるサポート力の低さ

  • 国内のSaaS導入が遅れている

国内セールステックが未成熟な一方で、海外の事例を見てもセールステックの波が来ることは確実であり、海外勢が参入できていない現状はチャンスでもあると言えます。

そんな中、弊社SALESCOREでは「10年後の営業組織の当たり前を作る」をコンセプトとして営業組織コンサルティング事業とSaaS事業の2事業を行っています。
この2事業を両方やっているのは、セールスイネーブルメントの市場でNo1を狙うために「理論」「テクノロジー」の両輪が必要であるためです。
コンサルティング事業を通して練り上げた営業組織の理想像を、最新のテクノロジーを使って最短でプロダクトに実装する、そんな形でSALESCOREは「10年後の営業組織の当たり前」を作ろうとしています。

しかし開発者の視点で見ると、セールスイネーブルメントのプロダクト開発は「難しい」とも感じます
その理由は、セールスイネーブルメントの実現には様々なレイヤーの大小様々な支援が必要であり、それを実現するサービスには本質的に多機能性とカスタマイズ性が求められるからです

次の記事ではこの開発の難しさについて紹介予定です。次回もお楽しみに!

おわりに

冒頭で「営業活動の本質とは、顧客の真のニーズを汲み取り、そこにサービスの真の価値を繋げる、非常に知的で重要なもの」と書きました。

もし営業現場の非効率な部分を取り除き、日本の営業組織全てがこの本質に集中できるのなら。
それは本当の意味でニーズを満たされた顧客が世の中に増え、よりたくさんの人を幸せにできるということであり、その効果は「生産性の向上」だけに止まらないより大きな意義があると考えています。

自分の職種のソフトウェアエンジニアとしての立場でいえば、このような動きは営業がより本質的な潜在ニーズを顧客から汲み上げて、より良いサービスを作れることに繋がるとも感じます。
実際、例えばキーエンスではこのようなフローが仕組み化されており、ユニークかつ圧倒的に使いやすい製品開発につながっています。

…ということで、そんな未来を作るために弊社SALESCOREでは一緒に働く仲間を募集中です!ご興味持っていただけた方、気軽にご連絡ください!

References

セールスイネーブルメントについて詳しく知りたい方向け

キーエンスについて詳しく知りたい方向け

Zoominfoについて詳しく知りたい方向け

Outreachについて詳しく知りたい方向け


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