劇場版名探偵コナンオタク番付

今年も劇場版名探偵コナンの季節がやってきました。
毎年4月に新作が公開されるこの時期は、前年の作品や過去作が金ローでTV放送されたり、各サブスクで過去作が開放されて観れるようになったりと、新作だけでなくシリーズを通して劇場版名探偵コナンに触れやすい時期だと言えます。

そこで、この記事ではオタクことワイが個人的主観に基づき、シリーズ各作品の面白さ、オススメ度合いを紹介します。「なんか観てみたいけど作品数多くてどれ観たらいいか分かんないよ」という方の一助となれば幸いです。


全体概要

劇場版名探偵コナンは1997年に第1作「時計じかけの摩天楼」が公開され、以降原則として毎年新作が制作・公開されています。2020年のみコロナ禍のため公開予定を1年延期したため、2024年現在の最新作「100万ドルの五稜星」で全27作となっています。また、2021年以降は新作公開の2~3ヶ月前に新作でのキーパーソンを復習する総集編映画が公開されることがありますが、こちらはTVアニメを再編集しただけのものなので本記事では割愛します。

さて、2024年現在全27作ある劇場版名探偵コナンですが、作品の傾向からシリーズ全体を大きく2つに分けられると考えています。
1作目~14作目までは、どちらかというとストーリーを重視した、いわば「サスペンス」です。当時はコンテンツとしては今より子ども向けの性格が強かったはずですが、大の大人も唸らせる面白いストーリーを持つ作品もあり、古いフリークからの人気が高い作品群です。
一方で15作目以降は明確に「アクション」に転向しています。画面の派手さ・インパクトに重きを置き、言ってしまえば簡単に楽しめる内容としたことで、幅広い層に受けるようにしました。そのため旧来からのフリークからは評価の芳しくない向きもありますが、現在まで続く興行収入右肩上がりの傾向はこの転向以降であり、商業的には正解であったと言えます。また、この中にも当然秀逸なストーリーを持つ作品も多くあります。
かく言う私も、「名探偵コナン」はミステリー・サスペンスであるという前提意識があります。アクションをやるのは別に良いのですが、そのためにミステリー・サスペンスとしてのクオリティが落ちているとどうしても評価が下がってしまいます。以下の批評はそういう価値観のもとで行っていることをご了承ください。

ではここから各作品を評していきます。結構きついことも言うので、「自分のお気に入りが批判されている!」と怒らないよう寛容な心持ちでお願いします。また、核心的なネタバレは避けていますが、より詳しいあらすじ等はWikipediaなどをご参照ください。

各作品評

第1作 時計じかけの摩天楼

★★★★☆
記念すべき第1作。TVアニメのヒットを受けて映画化に至った本作では、「普段のTVアニメ制作ではなかなかできないことをやろう」という方針から爆破シーンを主題(?)にした派手な内容になり、シリーズ全体の方向性を決定づけたとも言えます。
今でこそ「第1作」と呼べますが、当時は当然シリーズとして後が続くかも分からない状態での制作であったため、制作陣のやりたいことが詰め込まれています。連続爆破事件という内容や新一と蘭のラブロマンスはもちろん、「新幹線大爆破」(東都環状線のくだり)や「ジャガーノート」(爆弾解体のギミック)といった名作映画のオマージュや、原作者が暖めていたという壁越しの新一=コナンと蘭の会話シーンなど、単品の映画作品として完成度の高い一作です。

第2作 14番目の標的

★★★☆☆
前作の好評を受け無事制作された第2作。前作の連続爆破事件に対し、次作となる本作では連続殺人というこれまたサスペンスの定番(かつこちらも原作やTVアニメでやるのはなかなか大変)をテーマにしています。また、連続殺人の中でも見立て殺人(犯人が何らかの法則性をもって狙っていく、クリスティの「そして誰もいなくなった」「ABC殺人事件」などが代表例)というミステリーの定番モチーフを採用しており、その展開が見どころと言えます。
犯人の動機などツッコミどころもありますが、手堅い一作です。

第3作 世紀末の魔術師

★★★☆☆
1999年公開の本作は「世紀末」を掲げ、19世紀末のロシア最後の王朝という実在概念をモチーフにしたロマンあるヒストリカルなミステリーです。タイトルのダブルミーニングも秀逸。
人気キャラクターである怪盗キッドの劇場版初登場作であり、本作の一番の見どころと言えましょう。また、コナンの正体が新一であることが蘭に疑われる展開も大きなポイントで、さらには平次や和葉といったキャラクターが初登場なことも含めて、原作のおいしいところを集めた感じがあります。

第4作 瞳の中の暗殺者

★★★★★
何といっても「サスペンス」としての完成度が高い名作です。「警察の暗部」をテーマにした意欲作で、レギュラーキャラクターの刑事達を含めた警察陣が信用できない・疑わしい側にいるというのがとても興味深い構造です。それもあってコナンが全て足で捜査し、独力で犯人を追うという、ある意味で王道の探偵もの・刑事もののような渋い展開も特徴的です。
そして何といっても最大のポイントは蘭の記憶喪失です。主要キャラクターが記憶喪失になるという、シリーズものであることを活かした脚本的ギミックによる様々な展開が非常に面白く、「コナン」という作品を多少なりとも知っている人であればかなり楽しめると思います。
骨太で見応えのあるストーリーを持つ、オススメの一作です。


ここまで第1~4作を紹介しました。これらの初期作品はシリーズとして右も左も未定、なんなら先が続くかもわからないという中で制作された作品で、とにかく目の前の一作をつくり切ったという印象があります。
一方で、第5作以降は、「名探偵コナン」というコンテンツの人気も確固たるものとなり、シリーズとしての継続性が安定してきたことから、全体としての方向性を探り示すような作品が制作されていきます。


第5作 天国へのカウントダウン

★★★☆☆
劇場版で初めて黒の組織が登場する作品であり、組織および灰原に焦点が当てられた作品です。組織に冷酷に追い詰められる手に汗握る展開と、灰原や少年探偵団といったキャラクターの描写が際立った良作です。
超高層ビルが舞台のまとまりのあるストーリーで、後半は爆破・火災によってビル内に孤立するパニックものとなっています(洋画「タワーリング・インフェルノ」がモチーフのよう)。本作での“超高層ビル”のようにメインとなる舞台を設定する手法(以下「舞台もの」と言います)や、緊迫感ある「クライシスもの」とも言うべきストーリーは、この作品以降シリーズの定番となっていきます。

第6作 ベイカー街の亡霊

★★★★★
ファンの間では言わずと知れた名作です。面白さの一番の根本の部分としては、脚本を乱歩賞受賞の推理小説家・野沢尚が手掛けたことにあるでしょう。
没入型仮想体験ゲーム機「コクーン」という舞台装置によって、コナン達がシャーロックホームズの世界である100年前のロンドンを冒険するというストーリー、そしてゲームオーバーという形でレギュラーキャラクターの「死」の(間接的な)表現を実現していることが、本作の特徴にして魅力と言えます。さらに、リアルとバーチャル、父と子といった重層的なストーリー展開、そしてコナンに“諦めさせる”というシーンも含め、とにかくシナリオの面白さが光る作品です。また、VRゲームや人工知能といった現代のトレンドを先取りしていた感もあり、今観るとより味わい深い作品でもあります。

第7作 迷宮の十字路

★★★☆☆
京都を舞台に、平次そして和葉にスポットライトを当てた一作です。画面の派手さは控えめですが、京都という実在の街を描く雰囲気の良さやそこで繰り広げられる謎解き、そしてラブロマンスが本作の面白さとなっています。
また、実は本作では今のところ劇場版唯一の(原作でも数えるほどしかないボーナス的な)ある展開がある作品であり、そこも見どころです。あと主題歌がとても良いですね。

第8作 銀翼の奇術師

★★★★☆
ファンの間では評価が分かれるらしいですが、個人的にはかなりお気に入りの作品です。コナン達の乗った飛行機が墜落の危機に陥る、「天国へのカウントダウン」以来のクライシスものとなっています。フィクショナルな展開はあるものの精緻な航空機描写に裏打ちされた緊迫感あるクライマックスが優れています。また、キッドが活躍する回でもあり、コナンとの対決と共闘も見どころです。
「天国へのカウントダウン」に始まった「舞台もの」は、本作と次作で最高潮を迎えたと言えると思っています。

第9作 水平線上の陰謀

★★★★★
「デュアルサスペンス」を謳った本作、そのコピーに偽りない優れたシナリオが魅力的な作品です。「タイタニック」を明示的に意識した豪華客船を舞台にしたサスペンスで、ネタバレになるので詳しくは言えないものの“意外性”というミステリーの最重要概念を最も体現した、非常に面白いストーリーであると感じます。同時に、郵船クルーズ協力による実在の豪華客船(飛鳥)を再現したリアルな船の描写も見応えがあります。シリーズ中期(?)の名作であると言えます。


第5~9作は安定と発展の作品群であったと言え、秀逸な作品が多いと感じます。クラシカルなコナン映画の面白さはここにあり、かつ作風などシリーズ作品の基礎を築いた時期でもありました。
しかし、起承転結でいう“承”を繰り返していくうち、第10作以降は迷走とマンネリ化が始まることになってしまいます。


第10作 探偵たちの鎮魂歌

★★★☆☆
シリーズ第10作記念作品。オールスター作品となっており、レギュラーキャラクターの大半が登場するいわばお祭り的な作品となっています。
オールスター作品である以上どうしても展開がとっ散らかってしまう節があり、画面が派手なアクションがあるわけでもなく、やや中途半端な仕上がりになってしまっていることは否めません。ただ“お祭り”と割り切ればファンとしては楽しい一作ではあります。あと真犯人の意外性は悪くなかったと思います。

第11作 紺碧の棺

★★☆☆☆
南の島と海で繰り広げられるトレジャー・サスペンス。実在の女海賊をモチーフにした、財宝を巡るアドベンチャー的な作品です。これまでのシリーズでも要所要所で描かれてきた蘭と園子の友情関係がクライマックスの主題となっています。
決してつまらないというわけではないのですが、映画としての盛り上がりが薄味で、言ってしまえば「TVスペシャルとしては面白い」というような作品です。主題歌はめちゃくちゃかっこよく、歴代の中で一番好きです。

第12作 戦慄の楽譜

★★☆☆☆
クラシック音楽がメインテーマの作品。「音楽」という概念的なものが主題という一味違った毛色の一作となっています。クライマックスの爆破し過ぎなどツッコミどころもままありますが、前作に引き続き可もなく不可もなくといった作品だと思います。ゲストキャラクターである怜子のツンデレに萌える作品という説があります。

第13作 漆黒の追跡者

★★★☆☆
13という縁起の悪い数字にちなみ、黒の組織とコナンの真っ向勝負を描いた作品。全体的にシリアスで緊迫した雰囲気が漂い、コナンが(正体バレを含め)組織にかなり追い詰められる攻めた展開が見どころです。万人にオススメはしませんが、フリークとしてはこういう映画が一本くらいあるのは嬉しいですね。あとタイトルが非常に上手い(単に組織を示しているかと思いきや、強い酒を追いかけて飲む「チェイサー」を思い起こすと、コナンの方を指しているとも解釈できます)。

第14作 天空の難破船

★★★★☆
個人的にお気に入りの一作。前作とは打って変わって、シリーズで一番コメディ調の作品となっています。
飛行船が舞台という「舞台もの」の再来で、お宝を狙うキッド、そして危険な細菌で脅すテロリスト集団によるハイジャックと感染の恐怖と、要素が多いようにも見えますが、ストーリーは適度なサスペンスを持ちながら割とまとまっています。シリーズで数少ない死者が出ない作品でもあり、キッドとコナンの共闘や全編通してのコメディ演出を含め、見やすくて楽しい作品です。


辛口なコメントも多くなってきましたが、第10~14作は新機軸を生み出せずマンネリ化に悩んだ時期だったのではないかと思います。
これを打ち砕くべく、第15作ではシリーズを通して最もインパクトのあった転換、すなわち「アクション」への転進を図ることになります。


第15作 沈黙の15分

★★☆☆☆
毎年同じ時期に公開されることから今までは敢えてあまり季節感を持たせない作品づくりがされてきましたが、本作では志向を変えて雪国が舞台となっています。
クライムサスペンスであることは確かなのですが、終始非現実的なまでの爆破シーンありアクションありと全体に画面が派手で、単刀直入に言えばあまり頭を使わなくても楽しめる作品です。先述の通り、劇場版名探偵コナンはこの作品から明確にアクションに転向しています。

第16作 11人目のストライカー

★★☆☆☆
コナン=新一の特技でもあるサッカーにクローズアップした本作はJリーグ全面協力で、実在のチームや選手が数多く登場します。ゲスト出演した選手の演技は仕方ないとして、実在物のストーリーへの絡ませ方は悪くなかったと思います。前作から引き続ぎ爆破とアクション盛り沢山ですが、全体的には割とまとまっていた気がします。

第17作 絶海の探偵

★★★★☆
第15作以降の後期作品(?)ではお気に入り・オススメの一作です。防衛省と海上自衛隊が全面協力したイージス艦が舞台の作品ですが、そのストーリーは「非友好国のスパイが日本の軍事機密を狙う」というかなり攻めたものとなっています。「舞台もの」らしい緻密なイージス艦の描写も相まって、シリーズの中でも特異な緊迫感を醸しています。
そして本作のポイントとして、タイトルが“誰”を指しているかに注目してほしいところです。本作の“探偵”はコナンではなく、またコナンは自分に探偵としての“負け”を認めています。そのあたりの描写もシリーズの中での試みとしてとても印象的です。

第18作 異次元の狙撃手

★☆☆☆☆
スカイツリー(作中ではベルツリータワー)や浅草周辺の実在の土地を主な舞台にした作品で、赤井秀一を始めとしたFBIのメンバーに焦点が当てられます。
「狙撃」が主題ということもあり画面的な盛り上がりに欠けてしまっています。それを補うように?犯人や被害者が絡むドラマが盛り込まれていますが、そちらはそちらで人が多すぎて煩雑で分かりづらく…。実在のランドマークを取り入れた試みは評価したいです。

第19作 業火の向日葵

★★★☆☆
星3としていますが、5と1を足して割ったような感じです。というのも、本作のシナリオはだいぶ面白いです。実在するゴッホの「ひまわり」を怪盗キッドが奪う――という現実との絡め方が秀逸でなかなか感慨深かったです。フリークを喜ばせるキャラクター描写や意外性も盛り込まれていて面白く、さらには大胆な画面のアングルも印象的です。
が、「銀翼の奇術師」ではあんなに精緻だった航空機描写が雑だったり、クライマックスの施設があまりにご都合主義的であったり、犯人の動機が浅すぎたりと、詰めの甘さが目立ちます。メタ的なことを言うとどうやら制作体制に混乱があったようで、脚本も改変されたり削られたりしてしまったようです。もし3時間くらいの完全体で完成していたら稀代の名作になったのでは…と思うととても惜しいところです。

第20作 純黒の悪夢

★★☆☆☆
シリーズ第20作を記念して、黒の組織との対決を描いた作品。ネタバレになるので詳しくは言えませんが「泣ける作品」としても有名です。
巷では高評価ですし、面白いは面白いのですが…上述の「泣ける」展開や安室と赤井さんの絡み方など、「こういうのが受けるんでしょ」という要素を安易に盛り込んだ向きがあり、正直ちょっとわざとらしさを感じました。組織との対決という意味では「漆黒の追跡者」くらいシンプルな構図の方が緊迫感があった気もしますし。第20作記念で力んでしまったかな、というところです。

第21作 から紅の恋歌

★★☆☆☆
大阪・京都を舞台に、平次と和葉のラブロマンスを主題に置いた一作。描くべきことを絞ったストーリーはよくまとまっており、ラブロマンスとしては見やすく面白かったと思います。ただ、クライマックスの舞台がいささかご都合主義的過ぎるだろう、とは…。主題歌は映画の枠を超えて広く人気になりましたね。

第22作 ゼロの執行人

★★☆☆☆
安室を描いた一作。これに尽きます。
小五郎が容疑者として逮捕されるという展開や安室が敵に回る構造は面白く、また公安を描くにあたって全編的に「テロ」が主題になっている(ただしここは「コナン」なので、人命に直結するものではないIoTテロという選択が上手い)こともあって、緊迫感があって良かったです。ただ例によってご都合主義的な舞台や展開があるのは引っかかり…本作に限ったことではありませんが、アクションのために仮にもミステリーでご都合主義を多用してしまうのはあまりいただけないとは思います。


第15作から始まったアクション志向は、現在まで続く興行収入右肩上がり傾向を生み出し、商業的には大成功でした。ただ一方で、アクションを優先した結果ミステリーやサスペンスをはじめとしたストーリーが浅薄、粗雑になる向きが多々見られ、個人的な意見ではありますが「名探偵コナン」というミステリー作品においてそこをないがしろにするのは違うだろう、とも感じていました。
ですがこれも次第に改善されており、近年ではアクションを維持しつつストーリーも見応えのある作品づくりがされるようになってきています。


第23作 紺青の拳

★★★★☆
フリークとして面白かった印象が深い一作です。キッドとコナンの共闘に始まり、京極さんと園子に焦点が当てられたキャラクター重視の展開が原作ファンとして嬉しかったところ。一方でミステリーとしてのストーリーもしっかりしており意外性も担保されている上、シンガポールの実在の施設を描く「舞台もの」としての臨場感もあります。さらにアクションも満載で、クライマックスでは(シンガポール観光局協力で)そこまでやっていいのという派手な展開、そしてサンライズが作画協力までしている格闘シーンの見応えもすごい。コナン映画としての要素が一揃えとなっている良作です。

第24作 緋色の弾丸

★★☆☆☆
メタ的な感想ですが、第5作「ベイカー街の亡霊」の制作時、当時の制作環境では動きの多い作画が難しくクライマックスのみに絞られた「列車内サスペンス」がここにきて主題になったのが感慨深かったです。
クライマックスの舞台となる「真空超電導リニア」や展開は非現実的なご都合主義を感じますが、灰原が前面に出ていたのが嬉しいのと、事実上のメインヒロインが世良なことを始め赤井さん一家とその周辺に焦点を当てたストーリーが一味変わっていて面白かったです。原作と合わせないと分からないところが多そうですが…。

第25作 ハロウィンの花嫁

★★☆☆☆
高木刑事と佐藤刑事、そして最近流行った警察学校組にフォーカスした作品です。松田君などの登場は古いフリークとしても嬉しいのですが、ただその原典である「揺れる警視庁」に物語を継ぎ足したのは個人的には微妙でしたが…。あと表現の自粛なのか爆発の炎が総じて赤ではなくピンクだったのも物足りなさがありました。真犯人、真犯人を追う組織、コナン達という三つ巴の構造は面白かったです。
そして注目すべきは劇伴(曲)、アニメ当初から制作を担い作品のイメージを築いた大野克夫氏が勇退され、新たに菅野祐悟氏が担当しています。イメージが大きく変わりながらも作品に調和した雰囲気で安心しました。リスタートの意味もあってか第10作以来となる名曲挿入歌「キミがいれば」が流れたのも嬉しかったですね。

第26作 黒鉄の魚影

★★★★☆
ついに興行収入100億達成が視野に入った第26作では、アクションにもキャラクターにも頼り過ぎない、むしろストーリー重視の王道な作品づくりがされていて非常に嬉しかったです。この作品については単体での感想記事も書いていますのでよければご覧ください。
灰原の正体が組織側にバレて連れ去られるという展開は非常に攻めており、犯人当てのミステリー要素もありつつ全体的に骨太なストーリーでした。その上で、灰原を完全にメインヒロインに据えたシナリオも「ついにやってくれたか」という感じでしたし、原作や過去作の明確なオマージュ、前作に引き続きの「キミがいれば」(ただし敢えて別の意味を付与)などフリークを喜ばせる演出も多々ありました。
ご都合主義は無いながらもやや非現実的な舞台設定ではありましたが、全体としてはとても面白かったのに加えて“嬉しかった”ことが印象的な一作でした。


第27作「100万ドルの五稜星」は函館という街を舞台にした「舞台もの」で、キッドの真意と過去に迫る「業火の向日葵」に近そうなと展開と、平次まわりのラブロマンスという「から紅の恋歌」を思い出させる展開を予感させる、盛りだくさん目な内容となりそうです。劇場版名探偵コナンは毎年観てみるまで当たりかどうかわからないので何とも言えませんが、毎年のことながら期待はしています。

おわりに

ここまで長々とお読みくださりありがとうございました。
「名探偵コナン」はファンとしては当然原作が第一であり面白いのですが、そうは言っても100巻を超えてなお連載中、十数巻越しの伏線回収もあったりする原作はなかなかビギナーにはおすすめしづらいのも事実。まずは劇場版から「名探偵コナン」に入って行ってもらえればとオタクは思っています。ぜひよろしくどうぞ。


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