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【連載小説】悩み のち 晴れ!sideユウスケ(ライトブルー・バード第3部&FINAL《4》)

🌟前回までのおはなしです↓🌟

🌟そして今回のキャラ紹介はコチラ

  土居ユウスケ(21)  根はいいヤツだが自他共に認めるクズ男子。女の子が大好きで、10代後半から20代前半の女子、そして65歳以上の女性には優しい(おばあちゃんっ子)。それなのに最近は幼馴染みのケイイチ(♂️)と一緒にいる方が心地いいと思う日々…。

 白井ケイイチ(21)  ユウスケの幼馴染み男子。高校時代の成績は常にトップだったが、家庭の事情で進学を諦めていた。現在はアルバイトをしながら、大学受験に向けて勉強中。そんな彼が小3の時のからユウスケに恋愛感情を抱いていることは、もちろんヒミツ。

🌟そんな2人の相関図はコチラ↓

  《土居ユウスケ》


 あれは小1の時だった。

 (可愛い!! あの子誰だ!?)

 体操服を着たショートカットの子と廊下ですれ違った瞬間、ユウスケ少年の心臓に電流が刺さり、何故か頬だけが熱くなった。

 初めて見る子だ。しかしここはマンモス小学校。1年生だけでも8クラスある上に、まだ入学して間もない1学期なのだから、見慣れない同級生がいても不思議ではない。

 (何組なんだろう?)

 そう思いながら、ユウスケ少年はチラッと首を動かし、その子の後ろ姿を見送った。

 (また……会いたいな)

 そんな彼の願いは割りと早く叶うことになる。

 ちなみに再会(?)場所はトイレ……そう『男子』トイレ内だ。

 (えっ!? えっ!? えっ!? えーーーっ!?)

 思わず目を丸くしたユウスケ少年。そんな顔をしていれば、相手と目が合わないワケないだろう。向こうは向こうで首を傾げていたが、すぐに視線を解除すると、その子はそのままトイレを後にした。

「……………」

 呆気にとられたユウスケ少年だったが、この時に見た体操服のゼッケンで、名前を知ることだけは出来た。

 そして自分が数日間ときめいていた相手は男子だった……ということも同時に。 

 (お、俺のときめきを返してくれ‼️)

 『しらい けいいち』という名前を思い出しながら、ユウスケ少年は心で泣いた。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 「……………」

 おそらく当時の自分は、子どもながらに『ヤバい』と判断し、あの時の記憶を封印したに違いない。

 土居ユウスケは何ともいえない気持ちでコーヒーが入ったカップに口をつけた。思わずタバコを吸いたくなってしまったが、ここは店全体が禁煙なので、ポケットに入れようとした手を慌てて元の位置に戻す。

 自分とケイイチの友情の始まりは、小3でクラスが同じになったことがきっかけだった。『ケイイチが自由帳に描いていた絵があまりにも上手すぎたので、思わず声を掛けてしまった件』に関しては間違いはない。……が、改めて振り返ると『もしかしたら《頭の片隅に残っていた記憶の欠片》が、自分にそのような行動をさせたのかもしれない』なんて疑ってしまう。

 (今更…何なんだよ)

 ヒトはふとした時に記憶の蓋が開くことがある生き物だ。

 ちなみにユウスケの場合、約15年の時を経て『黒歴史』を思い出した原因については、大体の目星はついていた。

 彼はカップをソーサーに戻すと、テーブル越しに座っている白井ケイイチの顔をじっと見つめる。

「何? ユウくん?」

 怪訝そうな顔をするケイイチ。

「……ケイ、いい加減髪切ったら?」

 忙しさと節約精神からヘアカットを先延ばしにしているケイイチの髪型は、彼を女子と間違えてしまった小1のあの頃にそっくりなのだ。

「えっ? もしかして僕、不潔な印象与えてる?」

「いやいや、それはないけど」

 それどころか、結構似合うと思っている。流石は中性的イケメンだ。

「この間まで1200円だったカット料金が1600円に値上がりしちゃったんだよね。だからつい……」

 そう言って苦笑いしながら、前髪をかき上げるケイイチ。その仕草を見て、ユウスケは何故かドキッとしてしまった。

「…………」

「ユウくん?」 

「えっ? あー何でもない何でもない! そそそ、そうだよな。『1000円カット』って既に死語だしなー」

 誤魔化すようにテキトーなセリフを吐いたユウスケは、心の中で呼吸を整える。

「だよね。でも店側だって値上げをしたくて、しているワケじゃないからね。仕方がないとは思ってる」

「ケイ…、今日の映画代は俺が出すぞ?」

「それは拒否するよ。僕は節約できることはするけれど、やりたい事は別。自分のお金でキチンと楽しみたい」

 顔に似合わず彼は結構頑固者だ。

 現在はまるで半同棲のように暮らしている2人。食事関係はほぼケイイチによって成り立っているが、彼は『材料費は自分が全額負担する』というユウスケの申し出を断っていた。

「全額はいらない。僕だって、ここで食事しているし、泊まる時には電気ガス水道を使っているからね」

 これがケイイチの主張だ。

 そして話し合いの結果、負担割合は今のところ『7(ユウスケ):3(ケイイチ)』で落ち着いている。

 (……固いよな、ケイは)

 と、つくづく思う。

 いつものユウスケならば、ここで終わっていたハズだ。しかし今日は引き下がる気持ちになれず、やや強めの口調で会話を繋いだ。

「いや、今日は俺が払う! ケイは一応浪人生で学費を稼いでいる身だし。それにオマエがメシ作ったり掃除したりする手間は食費に換算していないんだから、こういう時くらい俺に礼をさせろや」

「…………」

 目を丸くするケイイチ。そして肩をすくめると「ありがとう。じゃあ今日だけユウくんに甘えるよ」と微笑んだ。

「分かりゃいいんだよ」

 以前のケイイチなら「ユウくん、そういう気づかいは『未来の彼女』にでも言ってやりなよ」という余計な一言がもれなく付いてきただろう。2週間前にお互いの意見が衝突したことで、頑固者のケイイチは少しだけ変わったと思う。

 そして、そんな彼が素直に喜んいるのを見ると、何だかくすぐったい気持ちになった。


「今日の映画楽しみだったんだよね。スクリーンでドラえもん観るなんて、久しぶりだからさ」

「確かに。小3の春休みから中2までは映画館行ってたけど、あとはDVDで済ませてたからな」

 楽しみだったのはユウスケも同じだ。おかげて待ち合わせ場所のカフェには30分も前に到着してしまった。遅刻常習犯である自分が…だ。
 
 反対に『外で待ち合わせする時は10分前到着が鉄則』という生真面目なケイイチが今回は5分の遅刻……。慌てて送ったであろうLINEメッセージ欄には『外国人に話しかけられて、流れで道案内をすることになった。ごめん遅れる』と書かれていた。

「ケイ、そういやオマエ、ちゃんと目的地に連れて行けたのか? ホラ、ここに来る前に道案内したっていう外人……」

 思い出したように質問したユウスケと、何故か一瞬目が泳いだケイイチ。

「ん? あ、まあね」

 そう言ってケイイチは何かを誤魔化すように横を向いた。

 (…………?)

 ユウスケは何かを言う為に口を開こうとしたが、約1秒差でリードしたケイイチが言葉を被せてしまった。ただし小声で……。

「ユウくん……反対側のテーブルに凄い美少女がいる」

「へっ?」

「今泉さんにも負けてないくらいの……」

「えー? 言い過ぎじゃね? 今泉さんクラスの美少女が、こんなビミョーな田舎に何人もいるわけが……」

 そう言いながら、さりげなく横に視線を送るユウスケ。しかし少女の姿を確認するやいなや「あっ……いたよ」と呟き直した。

 通路中央に置かれた観葉植物越しに見えた少女は、今泉マナカとはタイプが違うが、はっとするような美人だ。彼女はアイスティが置かれているテーブルの上で、一生懸命何かを書いている。こちらからではよく分からないが、なんとなく絵を描いているように見えた。

「それにしてもキレイな女の子だね。芸能人って言われても素直に信じちゃうよ」

 ケイイチは感心しているかのような目で少女をそっと見る。

「本当だなぁ。……なあ、今更だけどケイはどんな女の子が好みなの? 付き合い長いのに、オマエとはこういう話をほとんどしなかったもんな。もしかしてあれぐらいの美人とか?」

「僕? う~ん……」

 頬杖をつきながら考えるケイイチ。そして「う~ん、やっぱり分からない」という答えを出すと、ユウスケに向かっておどけた表情を見せた。

 その姿を目の当たりにしたユウスケは、再び心臓が刺激されてまう……。

 (さっきから何なんだよ俺は!? 動悸か!? もしかして具合でも悪いのか!?)

 その時だった。

「Ravi de vous revoir!」
 
 ユウスケとケイイチの間に、突然、外国語が割って入ってきた。

「はっ?」

 驚いた2人は同時に顔を上げ、声の主を辿る。そこには背の高いブロンドヘアの外国人男性が、自分たちのテーブルを見下ろすように立っていた。外国人の見た目だけでは年齢を判断するのが難しいが、おそらく40歳前だろう。そして彼は今、メチャクチャ上機嫌だった。

 (……だ、誰?)

「Cest Ie destin!」

 この外国人氏が何を言っているのかは全く分からない。しかし彼の目的は、自分ではなくケイイチだということはすぐに分かった

 (あ、もしかしてコイツ、さっき道を聞いてきたっていう外国人か? 礼でも言ってんのかな? ……に、しても全然聞き取れねー。だってコレってフランス語だろ?)

 そう、外国人が話しているのは英語ではなくフランス語…。英会話ならある程度の会話が可能だがフランス語は無理だ。大学生だった頃、第二外国語として履修登録をしたが前期で挫折してしまった。とにかくめんどくさい。発音もそうだが、名詞の区別が一番ワケがわからなかった。『男性名詞』や『女性名詞』のなんて知るか!…と、ユウスケは今でも思っている。

 ちなみにケイイチは、自分の目の前でフランス語を普通に使いこなしていた。

「……………」

 ヒトは『凄い』というレベルを目の前で越えられると、『コイツは頭おかしい』と錯覚してしまうことがある。ユウスケにとって今のケイイチがまさにそれだ。

 (ん?)

 しばらくの間、ユウスケは2人のやりとりをただただ見ていたが、よく見ると、ケイイチの目が全く笑っていないことに気がついた。確かに道案内のお礼にしては話が長いし、言葉の響きだけで感じ取ったニュアンスには違うモノを感じる……。

「あのさ、オッサン」

 無意識にユウスケの口が動く。真っ昼間のカフェであることだけは考慮して、ボリュームは控えたが、その口調はかなり尖っていた。

 ユウスケは続ける。

「俺の気のせいかもしれないけど、実はケイコイツ迷惑してね? だとしたら遠慮して欲しいんだけど?」

 オール日本語。英語で言った方が伝わる可能性が高かったかもしれないが、脳内で英語変換する前に口から勝手に日本語が飛び出してしまった。

「????」

 案の定、外国人氏はユウスケを見て首を傾げる。

 (ここは日本だっつーの!)

 偏見だとは思うが、外国人は日本人に比べて現地の言葉で対応しようという気持ちが少ないような気がする。さすがにフランス語はレアケースだが、英語しか話そうとしないヤツは別に珍しくない。ユウスケはファストフード店のカウンターでそんな外国人を何人も見てきた。

 (あー! しゃらくせぇ!)

 不本意だが英語で言い換えよう…とユウスケが思った時……

「Monsieur……」

 ケイイチが口を開いた。『Monsieurムッシュー』? 多分、英語で言うところの『Mr.』だ。これだけは何とか聞き取ることが出来た。

「Monsieur……C’est mon petit ami」

 もちろん、他は何を言っているのか分からない。

 そんなケイイチからの一言に対し、外国人氏は「Oh!est-ce possible ?」と言いなかがら、苦笑い交りで再びユウスケを見た。そして何故かウィンクをされてしまう。

 (へっ?)

 そして「Au revoir!」という言葉を残して外国人氏は奥の席へと去って行った。

「………………」


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 
 せっかく一件落着(?)したというのに、2人の間には何故か気まずい空気が残ってしまった。更にケイイチはユウスケと目を合うことを避けているようにも見える……。

「ケイ……オマエ、フランス語話せたんだな?」

 そんな彼を敢えてガン見しながら、ユウスケは呟くように言葉を吐く。

「日常会話に毛が生えた程度のレベルだよ」

「毛? どんな剛毛だよ? それからさ……ケイ?」

 ユウスケは目力を強めた。

「何?」

「『道案内をしていた』なんてウソだろ? オマエ、あのおフランス・・・・・野郎にナンパされたな?」

 ケイイチの表情が、無言で『イエス』と言っていた。

「ユウくん……珍しく鋭いね」

「何でウソついた?」

「カッコ悪くて言えるワケないでしょ? 『男にナンパされた』なんて。……まあ、よく考えてみれば、話しかけられた時点でフランス語を分からないフリをすれば良かったんだよね。それは反省点」

「……………」

 実はおフランス・・・・・野郎の気持ちが分からないでもない……なんて言ったら、自分はケイイチにぶっ飛ばされるだろうか? 

 きっとケイイチの容姿はヤツにとってストライクだったのだろう。更にソイツが自分の国の言葉を話せる……なんて知ったら、積極的なヤツはグイグイ押すに決まってる。

 (…………ん?)

 もしかしてケイイチは、過去にも同性に言い寄られたことがあるのでは? 

 急にそんな疑問が生じた。

 何だかイラっとしてきたが、それを口に出すのはさすがに躊躇ってしまう。

 その代わり、彼は別の言葉を口にした。

「……言えよ」

「えっ?」

「ケイ……もしも、これからあんな感じのヤツが現れたら全部俺に言え。さすがにフランス語は分からねーけど、日本語なら、俺が代わりに言ってやる。なんなら俺を利用したっていい!」

「…………はっ?」

 ケイイチの目が丸くなった。

「ん?……」

 そしてユウスケも我に返る。

 (いやいやいやいや……よく考えてみたら、ケイが男に言い寄られたからって、男の俺が対抗するようなこと言わなくたっていいんじゃね? ケイがフツーに『女の子が好きでーす』『彼女いまーす』って言えばいいじゃんっ! バカなの俺!?)

 その時、ユウスケの『記憶の蓋』が再び開いた。

 (…………あっ!!)

 別に封印していたワケではない。ただただ単純に忘れていただけの記憶。

 大学生だった時に、ちょっとだけ付き合っていた女の子がいた。その子は同時期にサークルの男子からちょっかいを出されていたらしく、彼氏である自分に相談をしてきたことがあった。

 正直、面倒だった。ガキじゃないんだから、嫌ならば自分の口できっぱりと断ればいいだけだろうと…。

「ふ~ん大変だね」

 そんな気持ちから出てきてしまった言葉がコレだった。一応労ったつもりだったが、このあと速攻でフラれたっけ……。

 「ユウスケは、私が欲しい言葉を全然言ってくれないっ!!」と。

 あの時は彼女がそこまで怒る理由が全く解らなかった。むしろこっちがイラついたくらいだ。

 現在いまなら解る。あの子が欲しかったのは、たった今、自分がケイイチに言ったセリフだ。

 (……悪いことしたよな)

 だけど時は元に戻らない。

 ならば自分が元カノにできることは、『今、あの子と付き合っているカレシが、そんな言葉を掛けてくれるようなヤツでありますように』と願うことだけだ。

 そして『そんな言葉』を言われたケイイチは、初めこそ驚いていたものの、やがてププッと吹き出し、今は爆笑するのを必死で堪えている状態だった。

「ケイ、そんなに笑わなくてもいいだろ? ただの言い間違いだよ」

 口を尖らせながら抗議するが、ケイイチの笑いはなかなか止まらない。「ゴメンゴメン…」と言いながら、彼は肩を小刻みに揺らしている。

「全くよぉ…」

 ユウスケは恥ずかしくなり、プイッと横を向いてしまう。すると反対側のテーブルにいる美少女と目が合ってしまった。

 (………えっ?)

 当然ながら驚くユウスケ。それは向こうも同じだったようだ。しかし彼女はすぐに笑顔を作り、ちょこんと首を斜めに傾げる。

 (か、可愛い!)

 そして美少女は、ユウスケから自然に視線を外した。

 (いやぁ、マジで目の保養だったわ~)

 ちょっと前の自分なら、さっきのおフランス・・・・・野郎のようにハイテンションで声を掛けていただろう。だけど今は見ているだけで充分だった。理由はよく分からない。自分で言うのもナンだけど、少しは大人になれたのだろうか?

 ユウスケが美少女に鼻の下を伸ばしている間に、ケイイチはようやく落ち着いてきた。笑い過ぎたせいで涙が出たのか、少々瞳がうるんではいるが……。

「だからっ! ケイはいつまで笑ってんの?」

「だからゴメンって…………でもユウくん、ありがとう」

 ケイイチの口調が、急に改まる。

「へっ?…………お、おう」 

「これからはユウくんの存在を、ありがたく利用させてもらうよ」

 ケイイチはいたずらっ子のように微笑む。

「はっ?」

「………………っていうか、もう利用した」

 ケイイチのこのセリフは、かなりの早口で小声だった為、ユウスケには聞き取ることができなかった。

「えっ? ケイ、今何て言った?」

「んっ? 何でもなーい」

「??」

 ケイイチがさっきの外国人氏に言った言葉『Ces´t mon petit ami』を日本語に訳したら『彼は私の恋人です』という意味になることをユウスケは知らない。

「さてと……ユウくん、そろそろ映画の時間だよ」

「あ、そうだな」

 2人は立ち上がり、伝票を持ってテーブルをあとにした。ユウスケは何気なく美少女の方を見る。彼女は相変わらず熱心に何かを書いているようだった。

 (やっぱり勉強かな? 何だか分からないけど、頑張れよ!)


   《井原ナルミ》


 (ふぅ……あぶないあぶない。あのチャラい方のお兄さんと目が合っちゃったけど、気づかれてなかったよね?)

 『美少女』こと井原ナルミは、ユウスケたちをそっと見送ったあと、ホッとしながらアイスティーを飲み干した。

 ネットで連載していた漫画BL『近すぎて遠い君へ』は大好評のうちに終了。これは弟のサトシと幼馴染みの星名リュウヘイをモデルにしていたのだが、高評価で気を良くしたナルミは、次のBL漫画を始める為に、別の『素材』を探しているところだった。

 そのタイミングで、ナルミはあの2人を見つけた。たまたま立ち寄ったカフェで、こんな出会い(?)があるなんて!……と、彼女は勝手に運命を感じている。

 「うん、あのお兄さんたち最高。 さてと、どっちを『攻め』にしようかな? う~ん……あのメガネのお兄さんの方が、案外適役かもね」

 独り言をいうナルミ。彼女のスケッチブックには、ユウスケとケイイチの姿を模写したイラストがたくさん描かれていた。

「よし! 今回はちょっとだけ過激にしようっと♥️」

 井原ナルミ、又の名をアマチュア漫画家『るなP』。そんな彼女が描く『新・近すぎて遠い君(仮タイトル)』は4月に連載開始予定だ。そしてナルミの餌食になったユウスケとケイイチは、その恐ろしい事実を永遠に知ることはない。

 《5》に続きます。そして『新』相関図はコチラ(笑)↓

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