負けながらの成長

京都戦ははっきり言って結構ひどい敗戦であった。
ツイッター上でもかなり酷評する人が多かったが、理由の大部分は無得点の所だろう。
これまでは大量失点こそするものの毎回の複数得点、磐田戦もボロボロの5失点はしたが4得点。負けたけど楽しかった、失点を減らせば勝ち目ありそう。そんなポジり方もできなくない試合を続けてきた中突然の無得点。
これは結構ショッキングな出来事だから、そりゃ感情は大きくマイナスに行くというのもうなずける。

しかし負けは負け、内容も酷いがこの敗戦から学び成長しないといけない。
今回は成長できそうなポイントに目を向けてけっこうポジ方向多めで書いていこうと思う。


1失点で済んだ守備


京都の出来もはっきり言ってお粗末だった。チームとしての方向性ややりたい事の一端こそ見えるがそれができない、ボールを奪う位置が曖昧で奪ってからも曖昧。とりあえず蹴って前に行くから淡白な攻撃で終わる。
それをお互いがやりあい続けるだけの消化不良な感じの90分だった。

とはいえ要所要所で仕事して見せる原や豊川などやはり無警戒で居たら危険な相手であったのは事実。この相手にグダグダ一緒にやってしまっても複数失点しなかったことは評価したい。

失点も大部分は上福元のクリアミス、割り切ってゴール上にはじき出しておけばよかっただけのを前斜め上方向に飛ばしてしまってゴール前で不要なスクランブルを発生させてしまった自滅。
ここも改善のしようがある失点と捉えれば、京都戦で頭を抱えるような失点はしていない。能力不足の露呈が大量発生はしていない。
次の鹿島はもっと明確に攻撃をしてくるし強さも速さもあるからこうはいかないと予想できるが、大量失点の流れをひとまず切れたこと、普通の試合の失点量に抑えられた成功体験が得られたことは収穫だろう。

高井や佐々木も若さゆえに悪い流れに逆らえず流されていた部分ってのは間違いなくある。ひとまずそれを切って試合に臨める場を作れた。今後はこれを皆でつないでいく段階だ。


鬼木監督の起用の吹っ切れ


鬼木監督は手札が固定していく傾向が強い監督だったが、京都戦では丸山と瀬古の2枚を思い切って先発に起用してきた。
その勢いで右に家長と橘田とかいうことまでやってしまったのは問題ではあるが、悪いとわかってても変えられない癖の脱却に向けての動きが活発に見えるのは好材料。

橘田の特殊起用はできれば辞めていただいて、各ポジションには適正のある本職を置くことをベースにしていただきたいというのが本音ではあるが、
・結果的に3バックなる事も辞さない
・アンカーを狙われるのなら橘田を偽SBにして枚数増やせばいい
という考え方も思い切ってやったのであればそれはそれでアリだと思う。
もう鬼木監督のやる4-3-3や4-2-3-1は完全にJ1各クラブは情報を揃え切っている。普通にやっているだけでは普通に潰されるだけ。
だから鬼木監督の方から普通を壊していく、そういうアプローチに関しては私は評価するし賛同する。それが簡単に上手く行くような楽な話ではない点も重々理解した上で賛同する。

だが本音を言えばその覚悟を昨年末のオフ入った時点でメンバー構成から持ってほしかった。今は後手に回って尻に火がついてやってるだけ。


山田の吹っ切れ


山田のパフォーマンスに関しては満場一致で拍手喝采と言っていいだろう。
前節獲得したPKを譲らずがっちり確保してぶち込んであのガッツポーズ
あの覚悟と達成が山田の中のFWとして必要だった脱皮につながったと確信している。やっぱFWは点を取るために居る生き物よ。あのギラギラした感じや突っ込んでいく力強さが出てきたのは頼もしい限り。

動き方から見てCFというよりRWGでの動きの方があってるようにも見えるので、色々と批判の多い家長の所で本格的にスタメン争いに名乗りをあげられる存在になってきたと感じる。
瀬川との争いも、瀬川は申し訳ないが便利屋としての扱いを鬼木監督が味しめてしまってるので、そっちで十分に仕事があるはず。
本来この3枚をACL含めた過密日程用に揃えたはずだが、そっちが終わってしまったので1枚余ってしまう形になってるが、仕方ない。


不安なのはブラジル人達


今シーズンフロンターレの浮沈を左右するのはブラジル人だ。間違いなく。
攻撃ではエリソンとマルシーニョが何十点取れるかが肝で、ジェジエウが復帰してCBの最低限の枚数を揃えるのも必須。
ヒカルドやヴェロンも試合に絡んでくればピースが揃ってきて対策の難しいチームに仕上がってくる。

だが3節にして早速エリソンは負傷でベンチ外、マルシーニョも怪我の多い選手だよなっていう印象が再現。
ジェジエウはいつコンディションが戻るかいまだに不明だし、ヒカルドやヴェロンはベンチ入りすらしない。

彼らが居ないと得点力は必然と下がるし、ジェジエウの理不尽なほどの守備力がなければ失点は続く。
チームとしての成熟度がガッツリ下がっているのにシーズンは始まってしまった。もはやコツコツ積み上げている時間は無い。

ブラジル人を壊さないようにタイムシェアできるよう日本人選手がしっかりサポートして、無理しないで済むよう失点を減らす。
チーム全体でいい流れを作ってブラジル人達が生き生きとプレーできるようになってくれば、順位は自然と上がってくるだろう。


家長の聖域化はまず辞めよう


家長のパフォーマンスに関しては言いたいことは結構ある、しかし彼があるべきプレーをしている時の得点関与率が高いのも事実。

なので私としては「家長は隔週稼働でもいいからコンディション重視で起用を考える」案を提案したい。

家長は数年前から「過密日程になると明確に動きが悪くなるオフの試合」でチームの足を引っ張るという事例を起こしている。
昨今のJリーグは切り替えが速く前にも速く強度も上がってきている。11人の内1人でも手を抜く選手が居ればそこの穴からカウンターの傷が広がって行く。
今のフロンターレに走れない選手が居れるポジションなど存在しない。
GKですらCBの対応ミスの時にはエリアから飛び出して行かないといけないご時世だ。
だから家長も疲れてるときはきっちり休ませる。その選択をする勇気。

それからもう1点、家長の左出張は絶対にやめていただきたい。

橘田や瀬古のRSB起用はそもそも適正と経験値的に急場しのぎでしかないし、佐々木や大南も守備力に問題がある。
こんなRSB事情の所にRWGが左行っちゃって不在とかいうのまでセットになったら、そりゃ変な失い方した瞬間ピンチ直行ですよ。
マルシーニョの近くに人数を増やしたい気持ちはわかるが、そうしたないなフォーメーションを変えろ。
今から新システムの落とし込みなんてできやしないんだから、マルシーニョの使い方は人数を増やす以外でやるしかない。
そういう無理な要望を目指そうとしてチームをぐちゃぐちゃにするぐらいなら最初から諦める。その覚悟と勇気。

家長は出場時間重ねてくると違いを見せてくれちゃうから、とりあえずで使いたくなってしまう鬼木監督の気持ちはわかる。だがそういうとりあえずの選択はもう辞めよう。
瀬川も山田も居るんだし、家長は年齢的に終わりはすぐそこ。もう彼に丸投げしてちゃいけないんですよ。
親離れというか、自分達でしっかり考えて家長から卒業する。その上で彼のコンディションが万全な時に彼の力をピッチ上で発揮してもらう。
そういう意図的なプロセスを踏んでメンバーと戦術選びましょうよ。


次節鹿島戦


確実に苦しい試合になる。エリソンが復帰してくれれば殴り合いの展開に持ち込むこともできなくはないが、それでも相手の攻撃に晒される苦しみから逃れることは不可能。
ボラン知念が出てきてしまう懸念もある。
彼はフロンターレ戦でめちゃくちゃ気持ち出してくるし、今中盤は強度不足なのでそこに強度で上回れる知念が来るのはけっこうマズい。

苦しむことは間違いないが、ここ数年のフロンターレアレルギーでけっこうすんなり行ってしまう可能性も否定できない。

どうなるかはメンバー含めて当日の開けてのお楽しみだが、今節よりすこしでも成長した姿が見られることを祈ろう。

お気持ちよろしくです。