官能について

 どんな資本家だろうと、どんな優れた起業家だろうと、結局ひとりの美の前では、その官能と美とに服従する運命にあるのだ。


 彼らが表社会において発露させている崇高さと威厳は、たちまち官能の前ではつき崩れる。

どんな偉大な経営者だろうと、どんな才知優れた研究者であろうと、どんな敏腕な政治家であろうと、官能の前では光栄も引き摺り下ろされ、権威も失墜せられ、圧倒的な無力さに帰せしめられる。人は皆、この点において同じである。


 人としての節操なんてあったもんじゃない!男としての威厳なんてあったもんじゃない!自尊心なんて知ったこっちゃない!


 あゝ、人間は何故こうも愚かしいのか! 何故神は人間に官能という麻薬を与えたのか!この劇薬とやらに人間は翻弄されている。支配されている。弄ばれている…

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