【短編小説】梅の憂鬱③
僕は部屋へ戻り、何をするということもなくぼんやりとしていた。部屋に夕闇が垂れ込めていたが、僕は電灯をつけることもしなかった。僕は夕闇の中でじっとしていた。しばらくすると、たきが晩御飯を知らせに来た。僕はそれに従って食堂へと向かった。
食堂のテーブルには、颯爽とした白い食器の上に西洋料理が並んでいた。それはスープやサラダやオムレツ、ビフテキの類だった。だが僕はどれも手につかなかった。下女らが食事を慇懃に勧めたが、僕はスープを一口か二口飲んだっきり、カトラリーにも手をつけることが